「県政オンブズマン静岡(静岡県庁の光と闇)~よりよき未来のために~」管理人のブログ

注)teacupブログから移転の2022年5月以前の投稿には、文字コードの違いから多くの文字化けがあります。

机上の空論?奨学金ばらまきで税収増のからくり

2015-04-08 21:11:00 | 雑感
静岡空港の経済波及効果計算を請け負った同じ学者が、毎年学生200人に県内就職を前提に奨学金50万円を支給すれば、大きな経済波及効果が生じ、10年~20年で税収増効果によりペイできるという試算を発表したとの記事が今日の朝日新聞県内版にありました。

そんなおいしい話があるのでしょうか?
よく読むと、空港の経済効果と同じで、「需要の移転」を考慮していないことがわかりました。
つまり、この学者の試算は、200人全員が県内に定住し就職する「純増」であることを前提としているということです。

これは、静岡空港の経済効果を算出する際の、「静岡空港の利用者全員が空港がなかったら旅行しなかった人々である(=空港利用者全員が純増旅行者)」という前提と同じ、非現実的な前提です。

現実には、奨学金をもらった者が元々県内に就職するつもりの者であるなら「奨学金をもらわなかった者」が「奨学金をもらった者」に区分が変わるだけで経済効果に変動が生じるわけがありません。
また、県内企業の採用枠自体が奨学金の有無で変動するわけではないのですから、採用枠自体が奨学金効果で増加しないならば「奨学金をもらった者」が採用されれば、その分「奨学金をもらわなかった者」の採用が減ることになるだけで、これまた経済効果に変動が生じるわけがありません。
それを、「奨学金をもらわなかった者」のマイナスを無視し、「奨学金をもらった者」だけで経済波及効果を計算することで大きな効果が生じて、税収まで増えるというフィクションが生まれてしまったのです。
換言すれば、この学者の試算は、奨学金を受けた学生は元々は県内に就職する予定の者ではないことに加え、県内の大卒採用枠が、奨学金の支給により毎年200人づつ増え続けなければ成立しない虚構なのです。
売り手市場の就職状況ならいざしらず、この就職難時代にあまりにも現実離れした虚構というべきです。

それよりも、これをマスコミが無批判に垂れ流す異常さのほうに、驚きを隠せません。
ジャーナリストの正義や批判精神はもはや過去のものなのでしょうか。

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