わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

Sherlock The Abominable Bride

2016-01-31 | 映画・ドラマ・本
 BBCのお正月スペシャル(イギリスでは1月1日に放映)、人気シリーズの「シャーロック」1時間半特番「The Abominable Bride(忌まわしき花嫁)」を、ネットで観ました。シャーロックとワトソンがタイムスリップとか、特番なのでキャストをオリジナルの時代に据えてみました、ってだけのお手軽作品だけではありません。流石の趣向と、いつもながらのスタイリッシュな演出で、期待通り、いえ、それ以上に面白かった!

 ただ、日本では劇場公開?って、ネットで読んだんだけど、あくまでも特番的な内容なので、これを劇場でやるの?という気もしました。TV版をシーズン3まで観てないと、置いてかれるストーリーですから。でも一方で、何しろ舞台がビクトリア朝だけに、ファッションやお城がとても素適。これは大きくて明るい画面で堪能したかった。以下、私には珍しく(?)ネタバレはなしです。

 左のB級ホラー映画のポスターから伺われる通り、殺人を繰返す死んだはずの花嫁の謎に、シャーロックが挑みます。勿論、モリアーティー教授の影もチラつき、背後には秘密結社の存在も。過去と現在が行き来する中で、ポスターにある通り「友情、冒険、殺人」が。なんか少年ジャンプの三大原則みたい。ゴシックな雰囲気の中で繰り広げられる幽霊、動く死体、謎のメッセージ、そして背後に潜む秘密組織の謎解きも、19世紀だからこその設定で、安易なコスチュームプレイに終わっていない。ワトソンは科学者らしく、「幽霊だなんてバカしい!今は19世紀だぞ!」って言ってましたが、これって笑うとこなんだよね?



 上の画像では、シャーロックはシルクハットを被っていますが、下のポスターのように、ハンチング帽を被ってパイプをふかすシーンもあります。昨年公開された、イアン・マッケランが晩年のホームズを演じた「Mr.ホームズ 名探偵最後の事件」では、ハンチング帽なんて被ったこと無いし、しかも私はタバコ派だ!って言ってましたが、こちらのMr.ホームズは、インバネスコートのハンティング帽の正統派スタイルも披露。ただし、違う帽子をかぶろうとしたホームズに、「帽子はこっちだろう、君はシャーロック・ホームズなんだから!」と、ワトソンがどさくさに紛れてハンチングを渡すシーンがあり、実はワトソンの演出だったのか?と笑っちゃうw

 「Mr.ホームズ」は、同系のBBC Filmが共同制作に関わっているし、挿絵通りにハンチング帽でパイプをくゆらすので、もしかしたら意識して、こちらのシャーロックには、わざとお馴染みスタイルさせたのかな?なんて想像すると、ちょっと面白かった。映像世界でもこのスタイルを決定化したような感のある、ピーター・カッシングがホームズ役の、1968年版テレビシリーズも、やっぱりBBCですものね。下のポスターは、まるっきり、古典版のパロディー(?)じゃない?

 そして、ワトソンのカイザー髭は、すごく似合ってますね。TVシリーズではお馴染みの、 画面上にテキストメッセージやツイッターの文面が飛び交う演出は、19世紀でも健在です。デジタルの代わりに紙媒体が画面を舞うのですが、これがまた、お洒落なの。私はこんな演出を見たことなかったのですが、これって初めての試みかしら?いろんな作品で画面にデジタルメッセージが出てくる演出を観るようになりましたが、このスタイルも今後よく観るようになるかもしれませんね。 

 勿論、阿片も大事な役割を果たし、オリジナルのコナン・ドイル版ホームズをしっかり意識していると感じられました。トラディショナルなシャーロキアンたちをも満足させる出来じゃないかと思います。TVの方は第4シーズンも決まったそうですが(そりゃ、第3シーズンのあの終わり方のままで尻切れトンボじゃあんまりですよね)、そこへつながっていくエピソードでもありました。だから、テレビで人気あるらしいから、入門編として映画を見に行くか、ってお客さんは、ポカーンなっちゃうかも。でも、TVシリーズのファンは楽しめるんじゃないかしら?私は楽しかったよ!

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