わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

Mighty Putin to Rescue(?)

2013-09-12 | 時の話題
 化学兵器を渡さないなら爆撃するよ!と、脅したものの、アサド政権がのってこないので窮地に陥ったオバマ政権、思わぬロシアの提言に助けられたような形になっています。下は、LA Timesに載っていた、それを風刺する漫画なのですが、シリアのオプションの上で猛火に囲まれたオバマが、救出の手を差し伸べるプーチン大統領に「アンタがオレを助けに来てくれるとは思ってなかったよ!」と、言っています。このプーチンさん、かっこいいなぁ。

インディアナ・ジョーンズのテーマ曲が聞こえてくるような

 プーチンさんは、シリアでの化学兵器使用問題の外交的解決を求める記事、「ロシアからの警告と嘆願」をニューヨーク・タイムズ紙の論説欄に寄稿して驚かせたのですが、私的には「なんでワシントン・ポストじゃなくて、ニューヨーク・タイムズ?」だわ。特に、NY Timesはつい先週、ハッカーに侵入されて、ウェブページを乗っ取られたばかりだし。

 ともあれ、ロシアのポジションは、一貫してシリアの内戦の平和的手段による解決。曰く、

(扮装勃発の)発端時から、ロシアはシリアの人々が自分達の未来へ向けた妥協案を育む対話を提言してきた。ロシアはシリア政府を守っているのではない。国際法を護っているのだ。
From the outset, Russia has advocated peaceful dialogue enabling Syrians to develop a compromise plan for their own future. We are not protecting the Syrian government, but international law.

シリアで戦われているのは民主化のためにではなく、多宗教国家における政府対反政府派の武力抗争なのだ。
Syria is not witnessing a battle for democracy, but an armed conflict between government and opposition in a multireligious country.

どんなに目標を定めても、どんなに武器が洗練されていても、この空爆によって護るべき老人を、子どもたちを含めた一般市民の被害を避ける事は不可能だ。
No matter how targeted the strikes or how sophisticated the weapons, civilian casualties are inevitable, including the elderly and children, whom the strikes are meant to protect.
(A Plea for Caution From Russiaより引用。訳:わにこ)

 
「アメリカだもん、外国での内部闘争に軍事介入するのは当然だよね~!とか思ってっだろ。(military intervention in internal conflicts in foreign countries has become commonplace for the United States. )」とか、

「世界中の何百万人もの人々が、アメリカを民主主義の見本としてではなく、『オレの味方なのか、敵なのか、二つに一つ』って単細胞な暴力だけのジャイアン野郎だって思い始めてんぞ。(Millions around the world increasingly see America not as a model of democracy but as relying solely on brute force, cobbling coalitions together under the slogan “you’re either with us or against us.”)」とか、

「アメリカだけ例外とか、うぬぼれてんじゃねーよ!(I would rather disagree with a case he made on American exceptionalism.)」等々、批判したこの記事に、露骨に不快感を表明している議員もいます。しかも、ロシア自身が2008年に国連安保理決議なしにグルジアに侵攻した前科があるだけに、「オマイが言うな!」とか思ってそう。ところで、この訳文には、訳者の個人的感情も含まれてますので、そこんとこご了承願います。

 でも、シリアで化学兵器が使われたことは確からしいんだけど、誰が使ったのかは、未だに公式には特定されていないし、シリアは化学兵器禁止条約(CWC)への加盟に関する文書を国連に提出したし、もう少し粘れば平和的解決もあるかもしれないって状況だけに、周りが「オマエが言うな!」とムカついていようとも、オバマ政権にとってロシアの「横槍」は、むしろ有り難いんじゃないか、なんて思っちゃうんですけど。お金もかかるし、「ブッシュとは違うのだよ、ブッシュとは」でアピールし、ノーベル平和賞まで貰っちゃったオバマ大統領としては、武力行使は避けたかったんじゃないかな。

 シリアのアサド政権側も、化学兵器の完全撤廃を要求するCWCへの加盟で、アメリカの軍事介入を回避したい。ね?なんだか、外交的解決案到達まで、あと一息って感じがひしひしとしませんか??早まるな!空爆一秒、死人累々。



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