わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

アメリカが「一番」を辞める日

2016-05-06 | アメリカのニュース
昨日に引き続いて大統領選のことを語りたい。オバマは、ノーベル平和賞を受賞したり、TPPを推進して、国際的な存在も大きな大統領でしたが、その政権はむしろ内向重視だったと思います。勿論、キューバとの国交回復、前政権の悲願であったビン・ラディン暗殺に成功、そして米国大統領初の広島訪問も実現されそうで、外交面でもアメリカを大きく躍進させたのですが、一方でシリア爆撃には参加していないし、リビア爆撃には米軍は参加したものの、積極的に率先したのではなく、1986年のレーガン政権がカダフィを暗殺しようとして失敗した「エルドラド・キャニオン作戦」やブッシュ時代の「砂漠の~」とは異なります。そして、イスラエルとの距離をおいたのも、今までの政権とは一線を画しているところです。

 オバマ大統領の功績は、国民皆保険制度(通称オバマ・ケア)、26500万エーカー(約3244億坪!)の国立公園指定による公共の土地の環境と野生動植物の保護、そして何より国内の景気回復させたことだと思います。子ブッシュ政権が中東のドンパチに浪費した挙句の巨額の負債を引き継ぎながらも、なんとか経済を回し、景気回復、失業率差削減を達成したのは讃えられるべきだと思うのですが、なぜか不満なアメリカ人も多いのは、マスコミ(特にFOX)の情報操作に踊らされてんじゃないかと思う。喉元すぎれば何とやら、で、小ブッシュ時代末期から、第一期オバマ政権時代の苦しい状況のことは、すっかり忘却の彼方なのでしょうか?それでも、実際の数字を見れば、完全ではなくとも経済が好転していることは直ぐに判ることなのになぁ…

 そして、オバマ政権の内政重視を更に突き詰めたのが、トランプ候補の孤立主義方針だというのは、トランプ支持者の多くが、オバマ嫌いであることを鑑みれば、随分と皮肉な気もします。トランプ支持者の多くはまた、懐古主義でレーガン大統領時代の再来を望んでいます。トランプ候補の「アメリカを再び偉大な国に(Make America Great Again)」というスローガンは、レーガン大統領の時代の「Great」な覇権者、アメリカを意識しているのですが、トランプ候補の主張する米国の(目先の)利益を第一に考える、なにはともあれアメリカだ、な、スタンスは、レーガン政権の唱えた「世界の警察官」を自ら放棄することであり、全くの矛盾だと思うのですが、支持者の人々はその辺りをどう考えているのでしょうか?

 オバマ政権が進めてきたTPPに対する批判からは、自由貿易への反対、つまり保護貿易主義の傾向が伺われます。確かに、危ない綱渡りを続けてきた中国経済は崩壊目前、ヨーロッパ経済はテロや難民問題で溺れかけ、日本の経済は比較的安定しているとはいっても好調とは言い難く、世界経済を引っ張る力はない。

 冷戦中だったレーガン時代、アメリカは西側のリーダーとして東側勢力に対抗するため、経済的にも、安全保障面からも、自分たちの負担で西側諸国を庇護しなければなりませんでした。でも、共産主義の脅威は消滅し、アルカイダとは違って、ISISのテロの対象は、むしろヨーロッパ側に比重があるみたい。

 こんな状況で、自国経済を保護し、イスラム過激派との戦いを自分たちだけで負担するのは不公平だと感じるのは当然かもしれません。ですが、アメリカが今まで背負ってきた「World Order」を護るための自己負担を放棄し、自分達の得になること以外は知ったこっちゃねーよ、って方向に向かえば、世界的秩序はどうなってしまうのでしょうか?ロシアのプーチン大統領が、
トランプさんが大統領になったらいいなって思うの、と言っているのは、共産圏崩壊、いわば冷戦に敗れた元東側の棟梁として、チャンスキター!!と、ほくそ笑んでんじゃないかと勘繰っちゃうよ。

オバマが荷物をまとめて出て行った日にゃ、オレが自由世界のリーダーな

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