わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

犬好きの見た「僕のワンダフル・ライフ」

2017-09-22 | 映画・ドラマ・本
 原題は「Dog’s Purpose(犬の目的)」。全編、犬が出ずっぱりの、犬好きの、犬好きによる。犬好きのための映画。逆に言えば、ただ画面に犬がいるだけで幸せになれる人以外には、冗長な二時間だと思います。犬好きのための、と書きましたが、正直、ドン引きする場面や設定があって、ベストセラーになった原作の作者は、本当に犬が好きなのかな?特定の犬は好きだけど、犬全体にメロメロというタイプの犬好きではないんじゃないか、と、思いました。

この映画、アメリカでは公開直前に、撮影中に嫌がる犬を何度も川に突き落としているビデオが出回って、結果、ひっそりと終わってしまったのですが、その後、調査の結果、この糾弾ビデオはわざわざ、犬が虐待されているように見えるよう編集されていたことが判明。なんか、闇が深そうですが…


 今月末の日本公開に向けた予告が、超絶ネタバレなのだそうで、こちらもネタバレ全開でいきますが、まず、路地裏で野良犬の子として生まれたばかりの可愛い雑種仔犬が、いきなり野犬狩りにつかまって殺処分。ボーゼン… パピーミルで、ゴールデン・リトリーバーとして生まれ変わり、暑い車の中で死にかけているとkろを助けてくれたのが、少年イーサンとその母親なのですが、いきなり路上に停めてある車の窓をぶっ壊し、犬をそのまま連れ帰る。まぁ、気持ちはわかるけど、これって犯罪じゃ…

ベイリーと名付けられた犬は、イーサンと共に成長し、幸せな日々を過ごします。イーサンはアメフトQBとして活躍し、可愛いガールフレンドと楽しく過ごしていましたが、そんな彼に嫉妬する同級生や、死後がうまくいかない父の存在が影を落とします。前途洋々だったはずのイーサンの運命は、ある日、二階から飛び降りて足を複雑骨折したことによって一転しますが…アメフト選手なんだから、もっと上手く着地できんだろ、それくらいで大怪我すんな、と、思わずツッコミ。 

老衰で死んだベイリーは、警察犬に生まれ変わって、妻を亡くして鬱になってるハンドラー、カルロスと共に大活躍。ジャーマン・シェパードに生まれついたら、何度も犯人逮捕に協力したり、行方不明の子供を探し出して褒賞を受け、素晴らしい犬生だとおもうのですが、イーサンが恋しくて満足できない元ベイリー。孤独なカルロスを救うこともなく、ひたすら前世にこだわってる。ここは犬好きとして、すっごく不満です。

 コーギーとして生まれ変わって、女子大生の恋を取り持ちますが、ここでは、介護犬でもないのに犬連れで大学の建物内を闊歩する飼い主のマヤにドン引き。そういう学校なんだ、という説明もなく、他に犬なんか歩いてないし~!普通に常識を守り、他の人に迷惑をかけないのは、犬飼いの大前提だよ~!!誰もが犬好きとは限らない、犬アレルギーの人や(しかも抜け毛多いコーギー)、犬が怖い人だっているやん!

 ベイリー時代から幾星霜、大型犬の雑種として生まれ変わって、スーパーの駐車場で、いかにもホワイトトラッシュな(ごめん)若い女性に買われたけれど、彼女のどう見てもヤク中毒の雨の日も雪の日もいかにも貧困層の家の庭に繋がれっぱなし、とうとう捨てられますが、やっとイーサンと再会し、かつての恋人ホリーとの仲を取り持って、自分の犬としての「目的」を果たした、ってお話。

図書館で借りたDVDには、原作者のW・ブルース・キャメロンが、愛犬を亡くして悲しんでいる恋人にドライブ中に聞かせたお話が元になっているとか。だから、死んだペットは、いつかまた会いに来るよ、ってお話なのですね。私も、逝ってしまった犬たちが、毛皮を着替えて帰ってきて欲しいって思うけど、他の犬や、他の何かに転生している間にも、十分にその犬生だか何だかを堪能し、満ち足りた生を送ってほしいと思う。で、母さん、また来たよ!って、変ってきてほしい。自分が愛情を注いでいる犬(猫でも、鳥でも、イグアナでも)が、実は心の奥底で、他の飼い主を求めてるなんて哀しすぎる…

『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』や『HACHI 約束の犬』を撮ったラッセ・ハルストレム監督だけど、偏向した犬への愛が残念でした。犬たちは可愛いんだけど、幸せじゃない犬を見るのは辛い。犬は何度生まれ変わっても、他の飼い主と出会っても、自分だけを思ってくれているなんて、凄いエゴだと思う。

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