わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

GODZILLA ゴジラ(注:ネタバレしまくり)

2014-05-18 | 映画・ドラマ・本
 さすがゴジラさん、パねえっす!!

 と、いう映画でした。もう、これからは呼び捨てなんてできません。さん付けです。ゴジラさん萌え~!


 昔のゴジラさんはティラノザウルス・レックスだったように思うのですが、実は背中にギザギザがついてるし、ステゴサウルスだったのでしょうか?身体に比べて頭が小さく、なんかふっくら体型なのも、ティラノというよりステゴザウルスさんが進化して(?)二本足歩行を始めたから?でも、顔がアップになると、さりげにゴリラ顔で、ゴジラさんのコンセプトへの敬意が感じられました。

 ケン・ワタナビー演じるドクター・セリザワは、オリジナルの芹沢博士というより山根博士の役割だと思った。ゴジラさんを倒す役ではなく、一体あなたはゴジラさん教信者ですかってくらい、ゴジラさんに入れ込んでて、あんまり科学者っぽくありません。でも、訳もなく空母内の作戦中核部を徘徊しているようでも(アメリカ海軍のセキュリティーって?)、存在感は十分あります。ドクター・セリザワの活躍は次回作以降に期待?

 この映画も近頃はやりの三部作の予定らしいので、最終的にはゴジラさんと共倒れの運命が待ち受けているのでしょうか?そして、放射能を食料とする怪獣たちを核ミサイルでおびき出して破壊しようとするアメリカ軍を、広島に落とされた原爆を思い起こさせて止めようとするのは、やはり日本人でなきゃならないのかも。お父さんの持ち物だったという、広島原爆投下の時間で停まったままの懐中時計を大事にしているのですが、父が祖父から受け継ぎ、それを自分が託されたってのでもないと、博士が生まれて直ぐにお父さんが原爆で亡くなったとしても、70歳手前。これは無理があると思う。

 一方で、日本の原子力発電所の幹部や主要科学者がアメリカ人ばかりなのが、ご都合主義で白けました。そして、役に立たないといえば、アメリカ軍。派手にカッコ良く戦闘を展開するんだけど、ゴジラさんのお供で太平洋を渡る他は、MUTO(Massive Unidentified Terrestrial Organism:巨大未確認地球生物)に全く歯が立たなくて、ひたすらやられっぱなし。それもゴジラさんシリーズのお約束の一つだから?そして、狂言回しである主人公の兄ちゃん(スタンフォードで博士号を取ったエリートらしい)は、それなりに頑張ってはいるんだけど、彼の設定がありきたりすぎるのと、俳優さんに十分なカリスマがないせいか、共感できないのも人間ドラマが邪魔に感じる一因でしょう。


MUTOの♂は、これそっくり


 ここで唐突に、公開日の昨日に見に行った上息子の感想:
Okay. Godzilla. THAT WAS AMAZING. Though, unfortunately, I did not hear anyone scream "EETS GOZEERA!!" which mildly disappointed me. And there was too much human time. Nobody cares about some stupid dude. I WANNA SEE GODZILLA SLAUGHTERING STUFF. And I was NOT disappointed. Dude, the first what, 3/4 of the movie was kinda slow, but DAYUM. Those monsters. Dem tings. Those were amazing. Then GODZILLA. MY GOD. SASSIEST DUDE EVER. He was like NO. IM DONE WITH YOUR SHIT. DIE. Okay thank you. I'm tired now. Graphics. AWESOME. Monsters. AWESOME. Humans. Who gives half a shit about humans in Godzilla. Fights. AWESOME. UUUUUUUUUGH. Yes.

オーケイ、ゴジラだ。すごかった!でも、あいにく誰も「うわー、ゴジラだ~!!」と叫ばなかったのには、少しがっかりした。そして、人間ドラマが長過ぎる。だれも、どっかのアホなにーちゃんのことなんぞ気にしてない。オレはゴジラが大暴れしてるとこが観たいんだよ!でも、失望はしなかった。最初の、そうだな、3分の4はちょっとダレでた。ところが、だ!怪獣!すごかった。そして、ゴジラ。史上最高にクールな奴。お前らのおふざけはもう十分だ、死ね、って感じ。グラフィックは驚異的。怪獣たちも超素晴らしい。そして人間たち。誰がゴジラの映画で人間なんか気にすんだよ?バトルは凄い、とにかく凄い!


 そうなの、その通りなの!ゴジラさんの出番が少ないの!!ストーリーのほとんどが、アメリカ人主人公とリア充(リア獣か?)なMUTOさんご夫妻の家族愛に占められていて、「ゴジラ」ってタイトルの映画を観に来たのに、右往左往するアメリカ軍と、ありがちすぎて薄笑いしか出ないような主人公の兄ちゃんの話、そして実は兄ちゃんこそがMUTOマグネットなのか、それとも♂MUTOは兄ちゃんのストーカーか、ってくらい、彼の居る場所に必ず都合よく現れるMUTOさんで大部分が終わってしまう。ビキニ島実験は、実はゴジラとMUTOを倒すためだったという説明を含めたオープニングは出来はいいけど、キノコ雲もくもくはちょっと嫌な感じ。私、父が長崎で被曝してるし。ちなみに、ビキニ島実験に参加した元軍関係者の皆さんのその後の真実は、アメリカでも少しづ明かされてきているようです。

 冒頭部分の変な日本の描写はお約束だから、むしろ正しい日本すぎると、かえって私はがっかりしたかも。だけど、いきなり地震で原発事故が起こったり、政府や会社が隠蔽工作してたり、ハワイでは怪獣の上陸にともなって津波が起こるシーンがある。主人公は、勝手に1人でモノレールに乗り込んだバカ日本人少年を守るんだけど、この子も親も一言も礼を言わずに去っていくセグメントがあったり(日本人はもっと礼儀正しいぞ!)、一体、ゴジラを産んだ日本に敬意を払って現代日本の問題を織り込んでみたんだか、むしろ日本人の癇に障ることを片っ端から盛り込んでムカつかせるのが目的なんだかが謎。日本での公開が遅らされたのは、こういったトラウマを突っつくような内容や映像が先行情報で伝わって、いきなり前知識なしに見て激怒したり、落ち込んだりしないようにじゃないか、なんて勘ぐったりする。実際に津波のシーンはリアルで、トラウマになっている人が見たら、相当にきついと思います。

 そして、ゴジラさんへの畏敬はあるかもしれないけど、肝心な反核のメッセージは全くなし。核ミサイルの一つが至近距離で爆発しても、「あ、眩しい!」で終わってしまう。冷蔵庫に入っていれば、グラウンド・ゼロ付近にいても大丈夫らしかったインディアナ・ジョーンズや、爆風が収まったら外に出ても平気な「ウルバリン・サムライ」と同様、ハリウッド映画に原爆症や放射能症といった概念は存在していないらしい。いきなり掌を返して、ゴジラさんが「わが町を救ったヒーロー」とか「モンスターの王(Kaijuじゃないのは、去年の「パシフィック・リム」への配慮?)って新聞の大見出しになっているのにも違和感。ゴジラさんってのは、こう、もっと、殺伐としていてほしい。ドヤ顔で咆哮一声、海に帰還っていくゴジラさんと、温かい眼差しで見送る人々って、なんか違う。

   
この映画におけるゴジラさんのイメージ:気さくでクールなDude


 ゴジラさん的には、自分の大敵であるMUTOを倒しただけなのに、勝手に人間が「自分たちを助けてくれたんだ!」と、盛り上がっちゃたならいいけど、人類の救世主になったりしたら、それはゴジラさんじゃないでしょう、と思う。環境破壊への警告らしきものが少し出てくるので、結局、ゴジラさんは地球の守護者であり、人類こそが地球を汚染していると判断したゴジラさんが人類征伐に乗り出し、ドクター・セリザワがゴジラさんと相打ち、とかって方向に持っていくのかな?まぁ、勝手に色々と想像してしまいますが、次は兎に角、もっとゴジラさんの勇姿をたっぷり見せて欲しいです。MUTOとガチンコ対決のゴジラさんも良かったけど、やっぱ尻尾でビルをなぎ倒し、新幹線を掴んでは投げ、高速道路を蹴っ飛ばし、東京タワーを踏み潰してこそのゴジラさん。あと、雄叫びが似て非なるものなのも気になった。もっと金属的に吠えてほしい。


こういうのを期待してたのに…


 ところで、地震での原発メルトダウン以来、15年間閉鎖された街の様子が、東京幻想さんの描いたイラストかと思ったw

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