先生や、文科省の関係者のみなさんにもぜひ読んでもらいたいと思います。
平井信義さんの著書「スキンシップで心が育つ(出版:企画室)」より、内容を抜粋してご紹介します。
以下は、ソクラテス教室・大学クラスで、師のタケセン(武田康弘氏)からの依頼で西山裕天(ひろたか)が作成しました。
タケセンが指摘される通り、抜粋した個所は、平井さんの考えの核心であり、このページで一番最初にご紹介するものとしてまさにぴったりだと思います。
「難解である」とか「専門的である」事と対極の考え方・書き方で、自らの思想の根幹を解りやすくやさしい言葉で提示されると、どなたも自然に納得できるのではないかと思います。
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1 人格の四つの柱
○「思いやり」と「意欲」が人格の土台
子供の心の発達という事を考える場合、私は四つの柱を立てて考えています。
そして、最も大切な柱から順番に層を重ねて、三角形を作ります。ですから、お母さん・お父さんが子どもの心を育てるにあたっては、三角形の図の下の層にある要素ほど十分に注意を払わなければなりません。
知性はいちばん上にありますが、それがいちばん大切というわけではないのです。むしろその逆に、人格形成の上での大切さから言えば、四番目になるのです。
「思いやり」と「意欲」といった心の基礎的な要素を十分に養うことなしに、知的能力の発達にばかり励みますと、いわゆる頭でっかちの逆三角形となり、ちょっとした困難で挫折してしまうようなもろい人格構造になってしまいます。受験競争の低年齢化で、近年そのような人格構造の子供たちが増えているのは大変心配なことです。
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2 第一の柱 ―― 思いやり
○親子のスキンシップが「思いやり」を育てる
人格の第一の柱は「思いやり」です。
この「思いやり」の心は、人が社会生活を営んでいく上で、最も大切な心の要素だと私は考えています。「思いやり」のある人が多くなれば、住みよい温かい社会が実現するでしょう。このもっとも大切な「思いやり」の心は、乳幼児期における両親(特にお母さん)とのスキンシップによって促進されます。
乳幼児期に、どのように親子でスキンシップを楽しんだか、ということが、その後の子どもの「思いやり」の心の発達に影響を持ち続け、それは思春期以降にまで及びます。その点でも、乳幼児期は子供の心の基礎を作る大切な時期なのです。
この乳幼児期にスキンシップが不足していた子どもは、その後においては、体も大きくなり、年齢が上がると共にますますその不足を取り戻すことが難しくなります。このようなことから、「思いやり」の心が順調に発達しない例が多いのです。
ですから、最も自然にスキンシップを楽しめる乳幼児期に、お母さん・お父さんは子どもと十分に遊んでほしいと思います。そして、乳幼児期におけるスキンシップが少なかったことに気づいたら、何とかして自然な形でスキンシップが実現できるように工夫してみてほしいのです。
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3 第二の柱 ―― 意欲(自発性)
○子どもにまかせる育て方が意欲を伸ばす
第二の柱は意欲(自発性)です。
自発性というのは、自分で考え、自分で行動する力です。ただし、この「自発性の発達」は、その下の層の「思いやり」に支えられて意義のあるものになるのです。「思いやり」に支えられないと、利己主義になってしまい、周囲のものに迷惑を及ぼすことがあるからです。
子どもの自発性は、親にまかされることによって発達します。ですから、お母さん・お父さんとしては、口を出したり、手を貸したりしないで、子どものする事を見守っているという姿勢が大切です。
逆に言えば、親から過保護・干渉を受けている子どもは自発性の発達が遅れています。そのような子供は、「おとなしい、よい子」にされてしまっているのです。そのことに気づいたら、お母さん・お父さんは過保護・干渉をやめ、子どもに自由を与え、子どもにまかせて自発性の発達を促す必要があります。
自発性の発達が遅れている「おとなしい、よい子」は、思春期になって自己決定を迫られるようになると、それが出来なくて様々な問題を起こすことが多いのです。
この「自発性の発達」は意欲と結びついています。意欲とは、いきいきと生きる力であり、それは「自発性の発達」に伴って育ってきます。
さらに、「自発性の発達」を基盤として、創造性が発達します。
創造性とは新しいものを生み出す力で、この力が発揮されるには、これまでの枠組みをはずしたり、それに挑戦する努力が必要になります。社会的には「型破り」と言われることになることもあります。
したがって、現状を改革しようとする意欲や「右にならえ」に抵抗する力も必要になります。その意味で、封建時代が長く続き、今日でも、その時代の仕組みや教育がたくさんに残っているわが国では、非常に育ちにくい人格の柱です。
しかしながら、国際社会では最も必要になる人格の柱と言えるでしょう。
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「スキンシップで心が育つ(出版:企画室)」 P36 から P40 まで
以下にアマゾンへのリンクを張っていますが、残念ながら絶版のようです。
中古本が数点出品されていますが、再販を強く望む一冊です。
https://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%82%AD%E…/…/ref=sr_1_1…