拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

『PLUTO』最新号レポート―つーか4巻の表紙、お前かよ

2006-12-20 22:01:19 | 漫画
今日は久々にビッグコミックオリジナル最新号に載った浦沢直樹作『PLUTO』のコメントを。今回はなかなか自分好みの展開だったのでコンビニの雑誌コーナーで何度も読み返してしまった。以下ネタバレありでいろいろと書きます。




今回、久々に物語の舞台が日本のトーキョーシティーに戻ってきた。ここ最近はずっと主人公のロボット刑事ゲジヒトのいるユーロ連邦が物語の舞台だったが、今週はアトムの妹・ウランが再登場。多分しばらく舞台はトーキョーシティーになり、ゲジヒトはしばしおあずけだと思われる。『PLUTO』の世界でアトムやウラン、お茶の水博士が住んでいる街・トーキョーシティーは、一見漫画の外にも実在する現代の大都市の様相が広がってるのだが、細部で「アトムワールド」な未来アイテムが使われている。例えば、飛び降り自殺防止システム。トーキョーシティーには目に見えない電磁波ネットなるものが張られており、高い所から飛び降りたとしても絶対に助かるシステムになっているそうだ。それから今週号でウランが座っていたトーキョーシティーの小学校にある未来型ブランコ。ブランコと言っても鎖の部分が存在せず、腰掛部分が宙に浮いていてなんだか奇妙。でも可愛い。現実的過ぎず、適度にメトロポリスな匂いがする、このバランス感覚がとても好き。
さて、そんなトーキョーシティーで再びウランの物語。謎の怪物ロボット・プルートゥに兄・アトムを殺され(今春、この「アトム死す!」という大ネタバレを堂々と電車の中吊り広告に載せていた小学館は、どうかしてる)、すっかり落ち込んだ様子のウラン。彼女を見ながら、可哀想に思いつつ「ロボットでも落ち込むんだ、さすが高性能」と感心する小学校の先生たち。そんな先生たちを見て、校長先生が「こういう時はロボットも人間も関係ない」という旨の発言で一喝。この校長先生、「伴先生」と呼ばれていたが、もしかしてもしかすると「ヒゲオヤジ」?「ヒゲオヤジ」とは、手塚治虫のあらゆる漫画でチョイ役・脇役として登場している人気(?)キャラクター。本名「伴俊作」。もちろん本家「鉄腕アトム」にも登場しているが、浦沢版にも出てきました。浦沢版のヒゲオヤジ、ルックスが『MONSTER』のライヒワイン先生にしか見えないがあれはファンサービスか何かだろうか。あと、ウランの小学校には「坂本」というロボット先生もいた。もちろん金八先生のパロディー。「私のような旧式ロボットでも(アトムの死は)悲しい」と呟く…。
落ち込むウランだが、以前から感じ取っていた不思議な「小さな動物がブルブル震えているような」感覚をまたもや受信。彼女には悲しんでいる動物や人間の気持ち…負の感情を感じとる能力が備わっているようで、街中をかけまわり、負のオーラを発している動物や人間を助けて回る。弱っている子猫、いじめを苦に自殺しようとしている少年、散歩に連れてってもらえない犬、財布を落とした老人…。しかし彼らに一通り手を貸しても、まだ感じ続ける負のオーラ。感じるままに歩き、たどり着いたところはある少年のお墓。墓に刻まれている名前は「天馬飛雄」…。天馬博士の息子であり、アトムを造る際にモデルとなった少年でもある。そのお墓の前で、ウランは何を読み取るのか…。
うー、また面白くなってきた。やっぱアトム・ウラン・天馬博士が絡んでくると俄然面白くなる。天馬博士といえばやっと発売された『PLUTO』最新刊で表紙を飾っている。初登場の頃から「碇ゲンドウ過ぎる」と指摘されていたが、表紙も相変わらずのゲンドウぶりで笑える。つーか表紙お前かよ、みたいな。前巻のラストのコマで登場したキャラが次巻の表紙を飾るという法則はあっさり崩れた。じゃあ5巻の表紙は思い切ってDr.ルーズベルトにしてほしいな。可愛いじゃん、クマのぬいぐるみが表紙なんて。ちなみに単行本は例によって1400円もするおまけ付き豪華版が先行発売。通常版は来週発売。年末は出費がかさむので今回は豪華版スルー。今回は小学館の戦略には乗せられないぜ。4巻の内容は全部知ってるし、急いで買うことはない。手に入れたらまたレポート記事書きますよ。
来週は『20世紀少年』がやっと再開、年始は早くも『PLUTO』の続きが登場。「2006年は色々やらかしちゃったけど、年末年始の浦沢直樹は一味違うぜ」ってな感じで今日の記事をしめたいと思います。
 

●今日の一曲
「Daphne Descends」/smashing pumpkins(『Adore』)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿