拝啓 夏目漱石先生

自称「漱石先生の門下生(ただのファン)」による日記

「出発しんこ~う!」

2007-08-24 12:17:52 | 音楽
ニコニコ動画で宇多田ヒカルのライブ映像を見て以来、DVDを買おうか迷い中。見たのは去年のツアー『UTADA UNITED 2006』の映像。宇多田の夫であったキリヤ氏が総合演出を手がけたライブである。私が見てかなりテンションが上がったのは、ライブ前半の「This is love」~「traveling」~「Movin' on without you」の三曲が超スムーズに繋がって展開していく映像。キリヤ氏による大規模なスクリーンを存分に使った豪華な映像演出ももちろんすごいが、何より惹かれたのは各曲たちの素敵なライブアレンジ。「This is love」は随所に挿入される幻想的なギターのリフが絶妙で、「この音CDでも入れればよかったのに!!」と思ったね、マジで。宇多田が一人でアレンジを手がけるという孤独な作業から生まれた、CDに収録されている原曲も当然素晴らしいんだけど、一流のプレイヤーたちによって表現されるライブ音源は、さらに凄いことになっていた。生で聴いたら恍惚状態になるだろうなぁ…。で、曲は途切れることなく、DJによるプレイのように「traveling」へ繋がる。「みんな、準備いいかな?出発しんこ~う!」と、歌っている時とは緊張感がまるで違う、「素」を丸出しの宇多田が客席に声をかけているうちに、いつの間にか「traveling」の前奏が聴こえてきて…たまらんぜー。で、「traveling」もまたCDよりカッコよくなってて。2001年にリリースされた曲ながら、「いつ聴いてもカッコイイなぁ。古さを感じさせないぜ…」と常々思っていたこの曲だが、これもライブアレンジに進化するとエラいことに。間奏のシンセの音がたまらないねぇ。多分本人もライブアレンジに関わったんだろうな。新バージョンとしてCD化してくれって感じ。で極めつけは「Movin' on without you」ですよ!「traveling」で最高に盛り上がったのも束の間、スピード感のあるほわほわした音に酔いしれてると、唐突に、しかし自然なタイミングでシンセの音が耳に飛び込んでくる!冒頭の「Nothing gonna stop me. Only you can stop me~」のメロディーをシンセが奏でている~!カッコよすぎるっつーの!この曲は『First Love』の頃の、初期の曲。当時私は何故か宇多田の魅力に気付いておらず、スルーしていた。そして「traveling」を聴いて目覚めるわけだが、それでも初期の曲をそこまで愛聴するまでにはいかなかった。ブラックミュージック全般にあんまり興味が無かったし。でもね、「Movin' on without you」ライブバージョンは別だ。デビューから数年で一気にアレンジの力を身につけた現在の宇多田及びミュージシャンの手にかかり、超パワフルなハウスチューンに生まれ変わっちゃってるよ!余裕で原曲越え。
とにかく、宇多田ヒカルに対して一番惹かれる点である「ふわふわしつつもクールで独創的な音世界」がCDよりも進化しまくっていて、いちいち感動。曲自体の素晴らしさも再確認できた。あの3連発に勝る興奮を与えてくれるミュージシャン、なかなかいないでしょう。ライブCDとして売られてるんだったら即買うけど、DVDってのが何気に難点。もちろん演出も凄いけどさ、それよりも音の方に魅了されたわけで…。