さて、久々に続きを読んでみる気になった第824回は、
タイトル:カレとカノジョと召喚魔法
著者:上月司
出版社:メディアワークス 電撃文庫(初版:H16)
であります。
お初の作家さんです。
いつも『日曜ラノベ(既に企画?)』を書いているのは相棒の方なのですが、本日は諸事情により私が担当致します。
いつもと何か雰囲気が違うと思った方……書いてる奴が違うから仕方ないか、と見逃してやって下さい。(爆)
*
カレは幼い頃に悪魔を召喚し、一つの契約を交わした。
代償として『緊張』と『恐怖』を失ったが、今でも普通に暮らしている……表面上は。
カレの名は水瀬遊矢――頭脳あり、恐怖心なし、巨乳趣味ありの無敵美少年である。
カノジョは幼い頃に、自らの過失で右足を失った。
幼馴染みの犠牲によって救われた時、彼が捧げたものを必ず取り戻すと誓ったが、未だ果たせていない。
カノジョの名は白銀雪子――パワーあり、行動力あり、胸囲なしの無敵美少女である。
カレとカノジョは今でもずっと悪魔を探している。
八年前の契約時に、相手が仕掛けてきたゲームに勝利するために。
探し出すべき者の名はリールゥ――可愛いもの好き、イタズラ好き、退屈大嫌いの上位悪魔である。
*
まずは、定番の一言感想から。
実にオシャレな作品です。
え? 解りにくい?
読み終わった後の正直な感想なんですが……。
もうちょっと詳しく言うと、『ベタベタなラブコメだけど、下世話さが感じられない不思議な作品』ってとこでしょうか。
内容は、頭脳担当の少年と体力担当の少女が、半径十キロ以内に潜伏している悪魔リールゥを探すという、学園ファンタジーミステリ。(長っ!)
自分達の高校で起こった『謎の多人数貧血卒倒事件』、それにリールゥが関係しているのではないか? と睨んだ二人は調査を進め、最終的にとんでもない存在と対峙するハメになってしまう、大まかな流れはそんなとこ。
ミステリの王道を踏襲し、最後に遊矢がすべての謎を解き明かしてくれるのですが……空間把握能力皆無の私にはちと厳しい伏線が一個ありました。いや、筋は通ってるんですけどね。(爆)
上手いのは、悪魔だの吸血鬼だのと言ったファンタジー要素が、ちゃんとミステリ的物語の中で生きていること。
これらを、ファンタジー的小道具以外のもので代用することも可能ですが、こっちの方が断然据わりがいいです。
さらに、『××との契約(これは主人公とリールゥの契約だけを指すのではない)』という要素も決定的な鍵として使い切っており、見事にファンタジーミステリと呼べる物に仕上げています。
リールゥはどこにいるのか?
今回の事件とは一体何なのか?
遊矢の秘密とは? それを知った時に雪子が取る行動とは?
物語はノンストップで進み、とりあえず当面の危機を回避してさらっと終わります。
(最後の最後は定番だけど、その直前の問題解決編は実にオシャレでした)
ついでに言うと、キャラ物としても良品。
ほのぼのとした顔のまま理詰めで全キャラを圧倒する遊矢、自分の弱さを自覚しながらそれでも必死で闘う雪子、変な性格だけど妙なところで優しい悪魔リールゥ、そして、何かと主人公二人にちょっかいを出す傍迷惑な同級生にして、とんでもなく強い快楽主義者・井沢玲、主要四人組は全員キャラが立ってます。
特に、典型的なトリックスターである井沢玲の格好良さと間抜けさ(笑)は絶妙で、出てくるだけで場が盛り上がること盛り上がること……。
ネタの一つ一つは、どれもこれもベタベタです。
ただし、放り込んだベタ要素をストーリー上できっちり消化しているのは好感度高し。
受けそうなネタを節操なく放り込んだだけの作品が多い中、こういうのが書ける人って貴重だと思います。
お気に入りの一冊です。三重丸のオススメ。
冒頭でも書いたように、続き読みます。つーか、もう買いました。(爆)
二巻、三巻と、キャラ物のベタな展開が続くみたいだけど、主要四人組が出てくるだけで我慢できる……筈。
――【つれづれナビ!】――
◆ 『カレとカノジョと召喚魔法』のまとめページへ
◇ 『ライトノベル一覧表(その1)』へ
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タイトル:カレとカノジョと召喚魔法
著者:上月司
出版社:メディアワークス 電撃文庫(初版:H16)
であります。
お初の作家さんです。
いつも『日曜ラノベ(既に企画?)』を書いているのは相棒の方なのですが、本日は諸事情により私が担当致します。
いつもと何か雰囲気が違うと思った方……書いてる奴が違うから仕方ないか、と見逃してやって下さい。(爆)
*
カレは幼い頃に悪魔を召喚し、一つの契約を交わした。
代償として『緊張』と『恐怖』を失ったが、今でも普通に暮らしている……表面上は。
カレの名は水瀬遊矢――頭脳あり、恐怖心なし、巨乳趣味ありの無敵美少年である。
カノジョは幼い頃に、自らの過失で右足を失った。
幼馴染みの犠牲によって救われた時、彼が捧げたものを必ず取り戻すと誓ったが、未だ果たせていない。
カノジョの名は白銀雪子――パワーあり、行動力あり、胸囲なしの無敵美少女である。
カレとカノジョは今でもずっと悪魔を探している。
八年前の契約時に、相手が仕掛けてきたゲームに勝利するために。
探し出すべき者の名はリールゥ――可愛いもの好き、イタズラ好き、退屈大嫌いの上位悪魔である。
*
まずは、定番の一言感想から。
実にオシャレな作品です。
え? 解りにくい?
読み終わった後の正直な感想なんですが……。
もうちょっと詳しく言うと、『ベタベタなラブコメだけど、下世話さが感じられない不思議な作品』ってとこでしょうか。
内容は、頭脳担当の少年と体力担当の少女が、半径十キロ以内に潜伏している悪魔リールゥを探すという、学園ファンタジーミステリ。(長っ!)
自分達の高校で起こった『謎の多人数貧血卒倒事件』、それにリールゥが関係しているのではないか? と睨んだ二人は調査を進め、最終的にとんでもない存在と対峙するハメになってしまう、大まかな流れはそんなとこ。
ミステリの王道を踏襲し、最後に遊矢がすべての謎を解き明かしてくれるのですが……空間把握能力皆無の私にはちと厳しい伏線が一個ありました。いや、筋は通ってるんですけどね。(爆)
上手いのは、悪魔だの吸血鬼だのと言ったファンタジー要素が、ちゃんとミステリ的物語の中で生きていること。
これらを、ファンタジー的小道具以外のもので代用することも可能ですが、こっちの方が断然据わりがいいです。
さらに、『××との契約(これは主人公とリールゥの契約だけを指すのではない)』という要素も決定的な鍵として使い切っており、見事にファンタジーミステリと呼べる物に仕上げています。
リールゥはどこにいるのか?
今回の事件とは一体何なのか?
遊矢の秘密とは? それを知った時に雪子が取る行動とは?
物語はノンストップで進み、とりあえず当面の危機を回避してさらっと終わります。
(最後の最後は定番だけど、その直前の問題解決編は実にオシャレでした)
ついでに言うと、キャラ物としても良品。
ほのぼのとした顔のまま理詰めで全キャラを圧倒する遊矢、自分の弱さを自覚しながらそれでも必死で闘う雪子、変な性格だけど妙なところで優しい悪魔リールゥ、そして、何かと主人公二人にちょっかいを出す傍迷惑な同級生にして、とんでもなく強い快楽主義者・井沢玲、主要四人組は全員キャラが立ってます。
特に、典型的なトリックスターである井沢玲の格好良さと間抜けさ(笑)は絶妙で、出てくるだけで場が盛り上がること盛り上がること……。
ネタの一つ一つは、どれもこれもベタベタです。
ただし、放り込んだベタ要素をストーリー上できっちり消化しているのは好感度高し。
受けそうなネタを節操なく放り込んだだけの作品が多い中、こういうのが書ける人って貴重だと思います。
お気に入りの一冊です。三重丸のオススメ。
冒頭でも書いたように、続き読みます。つーか、もう買いました。(爆)
二巻、三巻と、キャラ物のベタな展開が続くみたいだけど、主要四人組が出てくるだけで我慢できる……筈。
――【つれづれナビ!】――
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