さて、これでいいのか!? と思ったの第831回は、
タイトル:赤城山卓球場に歌声は響く
著者:野村美月
出版社:エンターブレイン ファミ通文庫(初版:H14)
であります。
日曜ラノベの今回は、エンターブレインが主催する「えんため大賞」の第3回で最優秀賞を受賞した女子大生9人の友達が織りなす友情の物語。
さて、ストーリーは……紹介文がダメダメなので自前。
サークル名「ロイヤル・ハーモニー・スペシャル・ボイス・オーケストラ」を構成する女子大生9人組。放浪癖などがあったりするような友達を除いた朝香たち5人(後6人)は、民俗学の講義のために講義室にいた。
他愛ないお喋りに花を咲かせる中、ふと友達の中で特別な存在でもある、華代ちゃんがいない。
まじめで、講義に欠席することもない華代ちゃんを心配して、携帯に電話をしてみるが解約したらしく、「使われていません」の音声。余計に心配になった朝香たちは実家にかけるも混線していてつながらない。
心配が募った朝香たちは、とうとう華代ちゃんの実家がある群馬県まで行くことに。
華代ちゃんの実家に到着した朝香たちは、そこで華代ちゃんが卓球神の巫女であり、卓球魔人を倒すために戻ったことを知り、親友である華代ちゃんのために、ともに戦うことを決意する。
……読み終わった直後、これが最優秀賞でいいのか? とけっこう疑問に思った。
まず、ストーリー構成がとにかくぐだぐだ。
現れない華代、心配になって群馬へ、事情を知り、ともに戦うことを決意し、魔人を倒して大団円……ほんとうは、ほぼこれだけでストーリー紹介がすむくらい。
メリハリもなければ盛り上がりにも乏しく、状況に流されるままストーリーが展開していく構成は、まさに「ぐだぐだ」と評するにふさわしいダメさ加減。
キャラは、語り手の朝香と、華代ちゃんこと華代子はメインキャラでふたりのエピソードがいくつかあるのでいいが、他の友達(ユリノ、る子ちゃん、若菜、紗恵、ローラ、柊子さん、太宰)はキャラが立っているように見えて、実は立っていない。
それなりにしっかりしているように見えるのは、すべてのキャラが見事なほどのステロタイプなので、脳内補正が容易なため。
文章は、朝香の一人称だが、これはけっこう読みやすい。
時折、誰が喋っているのかわかりづらいところはあるが、一人称の範囲を逸脱した描写もなく、読みやすいほうだろう。
ただ、強調したい部分でフォントサイズ大、ゴシック+太文字……なんてのを使うのはやめれ……。
これさえなければ、文章は悪くないのだがねぇ……。
……と、さんざんなことを書いているが、実際、分析型のひとにはまずオススメできない作品であろう。
かなりの確率で、酷評されるストーリー構成とキャラとなっているからね。
では、おもしろくなかったのか……と言えば、意外にもそう言い切れない。
構成はぐだぐだだが、文庫の紹介文に「笑いと涙のハートウォーミング・ノベル」とあるように、朝香たちがいかに華代子を親友として大事にしているかと言った姿や、朝香と華代子のエピソード、ラストのお約束の大団円など、「ハートウォーミング」の単語にふさわしいストーリーと雰囲気を持っている。
また、卓球神に卓球魔人と言ったばかばかしさや、朝香を語り手とする軽快な文章はコメディの要素をしっかりと持っており、くすっと笑える部分はある。
ただ、こうした部分を楽しめるのは、どちらかと言うと感性型だろうねぇ。
良品とは100%言えないが、感性型には構成などがぐだぐだのマイナスに、よいところとラノベ点を考慮すれば及第。
分析型にとっては高確率で落第。
読み手によって評価は二分するだろうが、私は感性型なので甘々の点数をつけて及第にしておこう。
しかし、私が下読みだったらこれ、通すかどうか、かなり微妙だろうなぁ。
他にめぼしいのがなかったら、通すかな。
――【つれづれナビ!】――
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タイトル:赤城山卓球場に歌声は響く
著者:野村美月
出版社:エンターブレイン ファミ通文庫(初版:H14)
であります。
日曜ラノベの今回は、エンターブレインが主催する「えんため大賞」の第3回で最優秀賞を受賞した女子大生9人の友達が織りなす友情の物語。
さて、ストーリーは……紹介文がダメダメなので自前。
サークル名「ロイヤル・ハーモニー・スペシャル・ボイス・オーケストラ」を構成する女子大生9人組。放浪癖などがあったりするような友達を除いた朝香たち5人(後6人)は、民俗学の講義のために講義室にいた。
他愛ないお喋りに花を咲かせる中、ふと友達の中で特別な存在でもある、華代ちゃんがいない。
まじめで、講義に欠席することもない華代ちゃんを心配して、携帯に電話をしてみるが解約したらしく、「使われていません」の音声。余計に心配になった朝香たちは実家にかけるも混線していてつながらない。
心配が募った朝香たちは、とうとう華代ちゃんの実家がある群馬県まで行くことに。
華代ちゃんの実家に到着した朝香たちは、そこで華代ちゃんが卓球神の巫女であり、卓球魔人を倒すために戻ったことを知り、親友である華代ちゃんのために、ともに戦うことを決意する。
……読み終わった直後、これが最優秀賞でいいのか? とけっこう疑問に思った。
まず、ストーリー構成がとにかくぐだぐだ。
現れない華代、心配になって群馬へ、事情を知り、ともに戦うことを決意し、魔人を倒して大団円……ほんとうは、ほぼこれだけでストーリー紹介がすむくらい。
メリハリもなければ盛り上がりにも乏しく、状況に流されるままストーリーが展開していく構成は、まさに「ぐだぐだ」と評するにふさわしいダメさ加減。
キャラは、語り手の朝香と、華代ちゃんこと華代子はメインキャラでふたりのエピソードがいくつかあるのでいいが、他の友達(ユリノ、る子ちゃん、若菜、紗恵、ローラ、柊子さん、太宰)はキャラが立っているように見えて、実は立っていない。
それなりにしっかりしているように見えるのは、すべてのキャラが見事なほどのステロタイプなので、脳内補正が容易なため。
文章は、朝香の一人称だが、これはけっこう読みやすい。
時折、誰が喋っているのかわかりづらいところはあるが、一人称の範囲を逸脱した描写もなく、読みやすいほうだろう。
ただ、強調したい部分でフォントサイズ大、ゴシック+太文字……なんてのを使うのはやめれ……。
これさえなければ、文章は悪くないのだがねぇ……。
……と、さんざんなことを書いているが、実際、分析型のひとにはまずオススメできない作品であろう。
かなりの確率で、酷評されるストーリー構成とキャラとなっているからね。
では、おもしろくなかったのか……と言えば、意外にもそう言い切れない。
構成はぐだぐだだが、文庫の紹介文に「笑いと涙のハートウォーミング・ノベル」とあるように、朝香たちがいかに華代子を親友として大事にしているかと言った姿や、朝香と華代子のエピソード、ラストのお約束の大団円など、「ハートウォーミング」の単語にふさわしいストーリーと雰囲気を持っている。
また、卓球神に卓球魔人と言ったばかばかしさや、朝香を語り手とする軽快な文章はコメディの要素をしっかりと持っており、くすっと笑える部分はある。
ただ、こうした部分を楽しめるのは、どちらかと言うと感性型だろうねぇ。
良品とは100%言えないが、感性型には構成などがぐだぐだのマイナスに、よいところとラノベ点を考慮すれば及第。
分析型にとっては高確率で落第。
読み手によって評価は二分するだろうが、私は感性型なので甘々の点数をつけて及第にしておこう。
しかし、私が下読みだったらこれ、通すかどうか、かなり微妙だろうなぁ。
他にめぼしいのがなかったら、通すかな。
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