つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

続編……出ませんね

2007-03-16 23:04:48 | ゲームブック
さて、そう言えばこれも持ってたんだ、な第836回は、

タイトル:スーパー・ブラックオニキス
著者:鈴木直人
出版社:東京創元社 創元推理文庫(初版:S62)

であります。

初の国産RPG『ザ・ブラックオニキス』のゲームブックです。
著者は、『ドルアーガ三部作』で知られる鈴木直人
どこか寂しい雰囲気の漂う街・ウツロを基点に、四人の冒険者達が地下迷宮に挑みます。

主人公は、ギルガメス(笑)のような英雄になることを夢見る若者テンペスト。
彼がウツロの街に辿り着き、秘宝「ブラックオニキス」の噂を聞いたところから物語は始まります。
最初はテンペスト一人ですが、途中から気のいい盗賊バムブーラが加わり、以後、ゲームの進行と共に魔術師シモン、女戦士タラミスと、仲間が増えていくのは嬉しいところ。

システム面では、今回もドルアーガの塔と同じ双方向式ダンジョンを採用。
あちらが一巻二十階だったのに対し、こちらは全七層と少なめですが、その分――
1フロアが無茶苦茶広い
ので、さらにディープな冒険を楽しめます。
マップもきっちり書ける仕様になっており、病的迷宮愛好家(ラビリンス・マニア)にはたまらない作品と言えるでしょう。

お得意のギャグも健在。
緊張の合間に、「悪の十字架!(開くの十時か!)」なんてベタベタなネタをやってくれるのはさすがです。
街も迷宮も暗い雰囲気な上、絵がかなり濃いので、これがないとちょっとキツイという噂もあるけど。(苦笑)

とまぁ、これだけなら他の作品と同じと言えば同じなのですが……。
自ら、飽きっぽい性格と言ってしまう作者だけあって、本作でも新しい試みがなされています。

それに当たるのが、四人パーティの管理システム。
主人公だけが戦い、他のメンバーは緊急時のアイテム扱いされるシステムや、主人公さえ生きていれば、仲間が何人死のうと関係ないシステムと違い、本作は全員に体力と戦力(魔術師のみ魔力)が存在し、四人中誰でも一人生き残れば迷宮から生還出来るというユニークなシステムを採用しています。
コンピュータ・ゲームでは常識なれど、ゲームブックという媒体でやるのはかなり難しいシステムですが、本作はこれを、『迷宮中で体力がなくなっても死なず、街へ戻る際に死亡チェックする』という方法でクリアしています。お見事。

ちょっとラスボスのキャラが薄かった気がするけど、それをさっ引いても充分に面白い傑作です。オススメ。
最後に、有名な話ですが本書は非常にバグが多いです。
運良く手に入れた場合、こちら→『鈴木直人伝説、内、SBO正誤表』を参照し、修正を行ってからプレイして下さい。