つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

夜明け前……って映画もあったな

2005-02-18 23:52:40 | SF(海外)
さて、裏の坊主の世界は関係ない第80回は、

タイトル:夜明けのロボット
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

しまった……原書が手元にない。どこにしまったっけ?
記憶を頼りに書くので間違ってたらすいません。

というわけでイライジャ・ベイリ・シリーズの第三弾にして最終作です。
(第一弾は第76回、第二弾は第78回にて紹介)
今回の舞台はダニールの故郷(?)オーロラ。
彼とは別の人間型ロボット・ジャンダーが破壊される事件が起こります。
再び事件に挑むベイリとダニールのコンビ。果たして犯人は……?

前回登場したグレディアが再登場し、事件に絡んできます。
個人個人が隔離された世界から人同士が絡み合う世界へと出た彼女。
ベイリとの距離も本作でぐっと縮まります。
しかし、彼女とのエピソードは飽くまで枝葉。

今回の目玉は、以後の作品に深く関わってくるロボット――ジスカルドです。
詳しくは書けませんが、彼にはある不思議な能力があります。
次作『ロボットと帝国』ではダニールと協力して、ある重大な事を行うのですが……それがなんとファウンデーション・シリーズにつながっているのです。(あ、やっと書けた)

あ、時間がもうない。
駆け足でしたがこの辺で退散します。



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日輪と書いてひのわと読んだりして

2005-02-17 23:18:01 | 学術書/新書
さて、どっかの明王さまが乗り移るマンガを思い出した第79回は、

タイトル:「魔」の世界
著者:那谷敏郎
出版社:講談社学術文庫

であります。

なや、と聴くと「ごろう」と呼びたくなるひとは私だけではあるまい(爆)

さておき、古今東西、さまざまな国や伝承で「魔」に属するとされる、いわゆる妖怪、魔物の類を解説した本。

初っぱなから「ナッツ(精霊)の国で」という題名でビルマ(現ミャンマー)の「魔」の話から入る。

ミャンマー!?

いきなりこれですかい。

だいたい「魔」というと、いわゆる悪魔。
ファンタジーだとだいたいヨーロッパ……キリスト教絡みを想像するかもしれないし、少し知ってるといろんな神話(ギリシャ、エジプト、インド、中国などなど)が出てくるかもしれない。

でも、初っぱなからミャンマーの「魔」から始まって、ミャンマーでは、ある政府要人が訪日する際、このナッツに「方角が悪い」と言われて、何の用事もないのに別の国に行ってから日本に来た、と言う話もある。

平安時代は「方違え」と言って、陰陽道で方角が悪いからいったん別の方角に行って、参内する、ってのがあったけど、未だにそれをやってる、と言う話も載っている。

魔を題材にした話だからと言って、いわゆる辞典のような感じじゃない。

魔を題材にしながら、その国の風俗や他の国の魔との関連性などなど、その国の説話や伝奇などの紹介をしながら、紹介していくもの。

学術文庫だから、って肩肘張って読むようなものじゃない。

タイトルで買ったものだったけど、かなり当たりだと思う。
すらすら読めておもしろかったし、いろんな国の「魔」……ホントの悪魔や精霊、龍などなど、いろんな発見もある。

ファンタジーが好きで、東洋の文化が好きで、いろいろ神話や伝説の類は読んだことがあるけど、それでもこれはおもしろい。

高い金を出して買う勝ちはあると思うよ。
これは学術文庫の中ではけっこうおすすめ。
本はあんまり……ってひとでも、魔が象徴する異文化の香りに浴することができると思う。
(おぉ、ひさびさのべた褒め(笑))

日輪の力を拝借して……

2005-02-16 15:21:29 | SF(海外)
さて、ストックが尽きた時のことを考え中な第78回は、

タイトル:はだかの太陽
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

舞台は、とんでもない数のロボットが少数の人間を世話している奇妙な星ソラリア。
その星で起こった密室殺人事件の担当としてベイリは選ばれ、宇宙に飛びます。
隔離された安全な地球を飛び出し、宇宙人の待つソラリアへと向かうベイリ。その心の中にには不安と孤独しかありません。

しかし、強力なパートナー――ダニールが再登場し、彼を助けます。
再会を喜びつつも、ダニールがロボットであることに葛藤するベイリ。
そんなベイリの気持ちをよそに、献身的に尽くすダニール。
異郷の地で再結成された名コンビは再び事件を解決できるのか?

というわけで、第76回で紹介したイライジャ・ベイリ・シリーズの第二弾です。
前作よりもミステリ色がアップしており、SFミステリの名に恥じない作品に仕上がっています。

『鋼鉄都市』が地球に閉じこめられた地球人の特異性を扱っていたように、この『はだかの太陽』では数多くのロボットに保護されたソラリア人の生活がストーリーの核となっています。
ベイリの状況はそのまま作品世界と照らし合わせになっており、ダニール(ロボット)に保護されるという立場から、彼は少しずつ事件の背後にあるものを読み取っていきます。
社会派ミステリーの基本ですね。

ちなみに前作は刑事物のノリでしたが今回は探偵物に近くなり、それに伴ってベイリ=探偵、ダニール=助手の図式が濃くなっています。
もっともそれが一層二人のキャラクターを引き立てていますので、ダニール・ファンの方はご安心を。

話のネタを全部しゃべってしまいそうなので、このへんで。
第80回では『夜明けのロボット』について語ります。



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やっぱり平安ものは好きだねぇ

2005-02-15 22:03:28 | ファンタジー(現世界)
さて、次のストックを何にしようか考え中(平成教育委員会風)の第77回は、

タイトル:異邦の影を探しだせ
著者:結城光流
出版社:角川ビーンズ文庫

であります。

もともと古典を専攻していた……しかも平安、鎌倉初期の和歌を専攻していただけあって、平安ものは大好き。

なので手に取ってみた小説。

今風に受けそうなイラスト、「少年陰陽師」というシリーズの名前。
……はっきり、なーんにも期待していなかった。
明らかに平安もの、ってだけで手を出したもの。
(なんかすんげーひどいことを言ってるような……(爆))

でも、はずれとは言わない。

主人公は、かの大陰陽師阿部清明の孫の少年。
付き従うは犬か猫かよくわからない物の怪のもっくん(実は十二神将のひとり)

話はお約束でまったく取り上げるところはなし。
たやすくラストが予想できてしまうくらいだけど、まぁ、お約束だから逆に安心して読めるかも。

まぁ、比較的テンポはいいし、主人公ともっくんの漫才はくすっとするところもあって読みやすい。

ただ、1文1行で区切ったり、戦闘シーンの描写に難ありだったり、文章力に些か未熟さがあるけど、それさえなければ、軽く読める話だと思う。

今時のライトノベルの王道を行く、って感じだろうなぁ。

まぁ、そうは言ってもいらない期待はしないほうがいい。
ただ軽く、あっさりと読みたいときはいいかな、ってくらい。

でも、やっぱり平安ものは好きだから、買ってもいいかなぁ、とは思うけど(笑)



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装甲惑星ではない(トラップ)

2005-02-14 10:06:52 | SF(海外)
さて、まだまだストックはある第76回は、

タイトル:鋼鉄都市
著者:アイザック・アシモフ
文庫名:ハヤカワ文庫

であります。

相方のシリーズ物が終わったので、今度はこっち。
知る人ぞ知るアシモフ先生のイライジャ・ベイリ・シリーズです。
ファウンデーションはどうしたって? 実はそれに関係があるのですよ、これ。

人類が、地球に残り都市に潜って暮らす地球人と移民星に旅立っていった宇宙人の二つに分かたれた時代。
地球在住の宇宙人の一人が殺されるというとんでもない事件が起きた。
しがないC-5級私服刑事イライジャ・ベイリは誰もが嫌がるこのヤマの担当にされた上、宇宙人が寄こしたロボット――ダニール・オリヴォーと組むはめになってしまう。
宇宙人を殺したのは誰か? ベイリはC-7級に昇進できるのか?

本書はアシモフ初のSFミステリ長編ですが、謎解きよりも地球人と宇宙人の関係、人類とロボットの関係、そして人類全体の未来についての考察が大きな比重を占めています。
ミステリとして読むより、SFとして読んだ方がいいかも。

探偵役のベイリですが、非常に普通の刑事さんです。
「実はね、あたし最初からあんたを疑っていたんですよ」
なんてことは間違っても言わないし、
「退屈しているんだよ、僕は」
なーんて優雅な台詞を言う暇もない。
とにかくよく失敗するし、始終自分の立場を気にかけています。
ただし(当然ながら)、ただのお馬鹿さんではありません。

相棒のダニールは、この世界唯一の人間そっくりなロボットです。
背が高く、腕力も強く、冷静で、美男子、おまけに礼儀正しいという凄いお方。
いかにも優等生って立ち位置ですが、実際登場してすぐにベイリを出し抜きます。
ただし、完璧な人間がいないように彼も完璧な存在ではありません。
ちゃんと失敗しますし、少しずつベイリとの距離を縮めていきます。
非常に女性読者の人気が高かったとアシモフ自身が語っていました。

かたや、ロボット嫌いで宇宙人嫌いの刑事。
かたや、宇宙人の制作した人間型ロボット。
当然ながら捜査は難航します。
〈トミーとマツ〉か〈ナイトライダー〉か?(笑)
デコボココンビの行く先やいかに……。 

続編の〈はだかの太陽〉については第78回で書きます。
なぜこれがファウンデーション・シリーズとつながるかは、その次に。

ちなみに石ノ森章太郎の〈ロボット刑事〉の元ネタはこれだと睨んでいるのですが……どうでしょう?



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とうとうラストか

2005-02-13 17:17:14 | ホラー
さて、ストックもこれでおしまいかの第75回は、

タイトル:悪霊だってヘイキ!(上)(下)
著者:小野不由美
出版社:講談社X文庫ティーンズハート

であります。

あー、とうとう最終巻。

今回は前回から時間的には一続き。
前の事件を解決して能登から帰る途中、誰かさん(綾子……速攻バラすなよ)のせいで道に迷う。
そこで廃校になった小学校で起きる事件の調査を依頼される。

……わけだけど、もうひとつ、ナルが日本で渋谷サイキックリサーチを開いていた理由も……。

で、調査のほうはいままでと毛色が違って哀しい話。
児童数たった18人の学校。
でも、何年か前、遠足の帰り道に山津波に巻き込まれ、引率の先生も含めて全員死亡。

それが学校にとらわれて……。

あとは読んでもらうこととして(定型文(笑))、ただひとつ、いつもにも増して麻衣が大活躍。

で、これだけシリーズものを続けてて、ぜんっぜん書いてなかったのが、少女小説の定番、恋愛の話。
1巻で、主人公の麻衣は霊視で出会うナルに惚れてしまって、それで真砂子と言い合ったりしてたんだけど、うーむ、夢のナルはそうだったのか……。

でも、最後の最後でちょっと、ってとこ。

まぁ、最終巻だし、種明かしってとこもあるんだろうけど、解説文が長いのが玉に瑕。

でも、久々に全巻読み返してみたけど、おもしろかったなぁ。
これ読むと今度は十二国記を読みたくなってくるな。

あ、でも他にも、これの続編の「悪霊の棲む家 ゴーストハント(上)(下)」もあるし、「緑の我が家-Home, Green Home」もあるなぁ。

うーむ、やはり実家で段ボールに包まれて眠っている蔵書を漁るしかないか……。

不思議の地球の私

2005-02-12 22:58:17 | その他
さて、金曜日は本屋に出かけ~砂糖と動物を買ってきた第74回は、

タイトル:奇談千夜一夜
著者:庄司浅水
文庫名:現代教養文庫

であります。

世の中、不思議でいっぱいです。

奇妙な風習、奇妙な記録、奇妙な出来事、奇妙な人間等々。
嘘のような本当の話、それを集めた本です。

常識ってのは不確かな物です。
私の常識と他人の常識が完全に一致するなんてことはあり得ないとは解ってます。
何するにしても人それぞれだし、風習も土地それぞれではありますが……。

嘘だろ?

とつっこんでしまうことばかりですね、世の中。

四十一年間、安息日以外は断食してた人とか。
片手を上げて、手の上に鳥が巣を作るまで十年間そのままの体勢を続けた人とか。

この手の本は沢山あるので、これが一番面白いかどうかは解らないけど。
とりあえず楽しかったです、はい。

シリーズものもそろそろ終盤

2005-02-11 16:29:29 | ホラー
さて、暑い夏でも暑いお茶がけっこう好きな第73回は、

タイトル:悪霊とよばないで
著者:小野不由美
出版社:講談社X文庫ティーンズハート

であります。

綾子大活躍の巻。

以上っ!

……ではなく……(笑)

さて、6巻の舞台は能登にある料亭を切り盛りする家族からの依頼でゴーストハント。

料亭で吉見家を襲う変事……家族が亡くなり、客も、ついでに頼んだ霊能者も事故死。
まぁ、これまでいろんな事件を解決してきただけに、こんなもんで「さようなら」と言うわけもなく……つか、それをやると話が続かんって。

ちなみに今回はナルがダウン。
話の途中で霊に憑依されて、リンさんが作った結界の中で長期離脱。

ブレーンがいなくなってここで頼れるのは当然ぼーさんとリンさん。
リンさんはナルを封じるために手持ちの能力を出してしまったので、いきおいこうなる。
ぼーさんは作中の解説係だし、他に頭脳労働に適材がいない。安原少年は探偵役なので参加できない。

リンさんとぼーさんを中心に、話は展開していくけど、今回はかなりハード。
ぼーさんはいままで以上に怪我しまくるし、後半には土左衛門の大量襲撃。

でも、この大量の土左衛門……霊を浄化したのが綾子だったりする。
うんうん、よかったねぇ。
初っぱなから出てるメインキャラだったのにいままでぜんぜん活躍できなかったのに(笑)

でもそれで終わりか、と言うとそうじゃない。
またさらに強力なものが……(以下略)

今回はホラーとして怖い、と言うよりもぼーさんとかの立ち回り(?)が楽しい。
まぁ、いつも冷静で、場を締めてくれるナルがいないからってのもあるかもしれないけど。

今までとはかなり毛色の違うもの

2005-02-10 23:44:21 | その他
さて、寒い中アイスを食べつつ第72回は、

タイトル:愛しきSEXドライバー――スクールエイジの性白書
著者:家田荘子
出版社:廣済堂

であります。

というわけで、またしても不得手なジャンル。
え? ラブロマンスではないって? まあまあ、そこは置いといて。

月刊『ポポロ』(未読……)に連載されていた取材記。
女性作家の視点から見た、十代~二十代のモテる男のコの話です。
総勢18人の男性にインタビューを行い、それについて作者が色々感想を述べる……そういったところ。

えーっと……何でこれ買ったんだっけ?
なんとなく、未知の世界を覗いてみたいと思ったからだったろうか?

登場する男性陣に負けず劣らず、作者のコメントもなかなか強烈です。
特に印象に残ってるのは医大生。
彼が医大生じゃなかったら、誰もよって来ないだろう、みたいな。

間にちょろっと入ってるアンケートがいい味出してます。ある意味こっちの方が楽しいかも。

すいません、半分寝ぼけてるんで今日はこのへんで。

こちらもホラーは不得手だが……

2005-02-09 20:05:51 | ホラー
さて、ずっと季節はずれを続けて第71回は、

タイトル:悪霊になりたくない!
著者:小野不由美
出版社:講談社X文庫ティーンズハート

であります。

悪霊シリーズも5作目。
今回の舞台は……、とその前に新キャラ。
妙齢の女性キャラで、ナルシストで自信家のナルを操れるひと。
すごいぞ、まどかさん(笑)

旅行に行っていたナルを一言「戻ってきてくれる、でしょ?」で戻らせてしまう離れ業を初っぱなからかましてくれる。
をををををを……、麻衣でなくても驚くぞ(笑)

作中でも、調査結果をもって洋館に夜にやってくるし。
危険だから来るなと言うナルのセリフなんざにこやかな笑顔で無視するし。

漫才のぼーさんと麻衣、ぼーさんと安原さんとは違う明るい雰囲気を振りまくキャラで、いいアクセントになってるよなぁ。

さておき、今回の舞台は長野県諏訪に建つ洋館。
きっかけはこの洋館で少年がひとり、行方不明に。
そしてその捜索に来た消防団の青年までもが行方不明に。

家にとらわれている悪霊……そやつが……ってな感じ。
んー、なんか今回の悪霊が一番悪霊っぽいなぁ。

健康を求めて他人の生き血を浴びる……ヨーロッパにはどっかの貴族が自分の容色が衰えるのを嫌っておなじようなことをした話があるけど、これが元ネタだね。
(これくらいならあんまネタバレにはならんだろう)

あ、それともうひとつ。
悪霊退治とは別の目的もあったりして。

いつもどおりだけど、内容は読んでね。
巻を重ねるごとに長くなってるけど、一気に読めること間違いなし、だしね。