つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

魔界大作戦

2006-02-27 23:52:54 | ゲームブック
さて、結局450回記念はやらなかったなと思う第454回は、

タイトル:魔界の滅亡
著者:鈴木直人
文庫名:創元推理文庫

であります。

ゲームブック『ドルアーガの塔』の最終巻。
四十一階から六十階までの冒険を描きます。
一巻についてはこちら、二巻についてはこちらを参照。

二人の友と別れ、再び孤独な旅を続ける勇者ギルガメス。
強敵ゴルルグを倒した喜びもつかの間、さらに塔の上部を目指す彼の顔に疲れはない。
ようやく、旅の終着地が見えてきたのだ……ブルークリスタルロッド、カイ、そして倒すべき悪魔ドルアーガのいる場所が。

というわけでドルアーガ三部作の最終巻です。
741分岐、500ページ強を誇る、堂々たる完結編。
500分岐、300ページちょっとの第一巻と比べると、その分厚さに圧倒されます。

前巻あとがきでも触れていたように、今回ギルを待ち受けるのは上下左右くまなく行き来できる立体迷路。
すべてのフロアを歩き回らない限り、ドルアーガの待つ五十九階に辿り着くことはできません……しかも全部のフロアのマップが書ける。(笑)

各階は謎解きのオンパレード。
算数の問題が出たり、『倉庫番』ごっこをやったり、暗号解読を頼まれたり、とパズルマニアにはたまりません。
全部解く必要はありませんが、解けないとかなり辛いことに……幸い、時間制限はないのでじっくり考えましょう。

ただ、謎解き要素が濃くなった分、道中のドラマは薄くなっています。
前作のような、サブキャラとの掛け合いで進む大冒険を期待すると肩すかしを食らうので注意。
ラスト近くはかなり盛り上がりますが……パズルも迷路も退屈、という方はそこに行くまでが結構辛いかも。

ちなみに、スポット的なイベントは過去最多。
登場キャラがとにかく多く、顔ぶれも多彩。(もちろん、例の二人も出ます)
前巻、前々巻で得たアイテムが使えたり、思い出したように懐かしい敵が出たり、原作ゲームにあったシーンが再現されていたりと、遊び心満載です。

エンディングにも少し触れておきましょう。
本作のエンディングは二種類用意されていますが、正統(?)ではないアナザーエンディングの『七一八』が実に美しい。
当のギルやカイにとってみれば『七四一』の方が幸せなんだろうけど……実際プレイされた方、どちらがお好みですか?

一巻、二巻と続けて読んできた方にはかなりオススメ。
ただ……これ単独だとさすがに辛いかなと思います、前を読んでいないと出てくるキャラやアイテムがピンとこないと思うので。