つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

紅黄とくれば……

2006-02-18 14:02:02 | ファンタジー(現世界)
さて、困ったときのマリア様頼み(?)の第445回は、

タイトル:マリア様がみてる いばらの森
著者:今野緒雪
出版社:集英社コバルト文庫

であります。

背表紙の折り返しに書いてあるのから見ると、これがたぶん第3巻。
1巻は紅薔薇ファミリーの祐巳、祥子、2巻が黄薔薇ファミリーの令、由乃の話になっていたので残るは白薔薇と言うことで、白薔薇さまロサ・ギガンティアの話題が中心。

紅薔薇のつぼみの妹ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン プティ・スールの祐巳は、いつもながらの平均点を確保すべく、2学期の期末試験に向けて勉強に余念がない。
そんな中、いつもはそんな祐巳とおなじく休み時間も勉強に精を出しているはずのクラスメイトのお喋りの中から白薔薇さまロサ・ギガンティアの名前が出てくる。

さして気にしなかったその噂は、実はある少女向け小説で出版された自伝的小説の作者が白薔薇さまロサ・ギガンティアであるということ。
舞台は当然リリアン女学園、そしてそこでの生徒ふたりの恋を描いたもの。
白薔薇さまロサ・ギガンティアの過去を知っている生徒から見れば、自伝としか思えないそれの真相を解き明かすため、祐巳と由乃が行動するのが表題作の「いばらの森」

もうひとつは、この小説のおかげで話題となった白薔薇さまロサ・ギガンティアである佐藤聖がまだつぼみだったころに出会った後輩の少女久保栞との出会いから別れまで描いた「白き花びら」で2本立て。

まぁ、何というか……。
ウィキペディアの「マリア様がみてる」の項目で、白薔薇さまロサ・ギガンティアがファンの間で未だに人気トップと言うのがよくわかる。

普段は祐巳曰く「セクハラ親父」で、豪放磊落な様子を見せつつも、祐巳と祥子のいざこざにはたいてい面倒見のいいお姉さんを演じ、悲恋の過去を背負い……とまぁ、人気が出るキャラと言うのはこういうものだ、と言わんばかりのキャラ。
きっと、作者もノリノリで書いていることであろう。

それにしても、やはりと言うか、2巻でも思ったが、このひと、ノリはいいのだが文章はさほど上手ではないな。
要所要所で詰まるのなんの。
書いてる人間の悪い癖なのかもしれないが、自分ではわかるが、読んでいる人間にはすんなり入ってこない描写というのがあるんだから、もうちょっと気をつけてもらいたいもの。

あと、雑誌のほうにも出している関係か、展開が早すぎる。
特に「白き花びら」なんかは顕著だろうねぇ。
枚数制限とか、いろいろあるんだろうけど、少なくとも全体の3分の1くらいは増やして、展開ごとの余韻というか、落ち着く場所を作ったほうが、全体としてより雰囲気のある話になるのではないかという気がする。

いかにもなストーリーでおもしろくないと言うわけではないのだが、こうあらが目立ってくるとなかなかいい評価は出せないだろうね。
ノリで読むにはいいけど、評価するならぎりぎり及第と言ったところか。



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