つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

小枝と言うとチョコレート、ではない

2006-02-26 21:44:11 | マンガ(少女漫画)
さて、なんか久々にマンガを扱うなぁの第453回は、

タイトル:オルスリートの銀の小枝(全4巻)
著者:紫堂恭子
出版社:角川書店 ASUKA COMICS DX

であります。

オルスリートという国は昔、魔術国ラバンサラと大国カラマスルートの若き王が絶え間なく勢力争いを繰り広げていた両国の間に、あるときは争いの壁として、あるときには対話の窓口として、平和のために両国の国境に建国したもの。

その建国の理念を受け継ぎ、両国のみならず、世界中に争いなどの問題を解決する「金枝の使者」を送り出してきたシルヴァン学院に学ぶアリアン、フェンネル、ヴィンセンスの3人は、学院長から直々に、ラバンサラのある姫君を学院までお連れする、と言う任務を与えられる。

学院を卒業した金枝ではなく、銀の枝を受け取り、一行は姫君を迎えに学院を旅立つ。
と言うのが1巻第1話のお話。

剣術などの運動は得意だが勉強のほうはからっきし、6人兄弟の末っ子で食事とは奪うものと言う環境で育ったために食い意地は金枝なみ、単純明朗な性格で他のふたりよりも年下のアリアン。
生真面目で努力家、とは言うものの何かとアリアンと口げんかをしているヴィンセンス。
強大な黒魔術ブラックアートの力を持つ家系に生まれた天才肌でいつににこにこ冷静沈着なフェンネル。

この凸凹3人組が、姫君のお迎え……と言っても300年前に殺され、幽霊はたまた霊魂になっていたロスマリン姫と出会ってから、黒魔術を操り、ひとびとに害を成す「仮面の王」との戦いに巻き込まれ、それを解決していくお話。

このひとの作品は、ギャグメインでシリアスな話を持っていくものと、シリアスな話の中だがふんだんにギャグを散りばめたものの系統があると勝手に思っているけれど、こちらは前者のほう。
そもそもアリアン自体がギャグ担当キャラで、しかも主人公だし(笑)

しかも最初の任務で出会ったロスマリン姫は、過去に仮面の王に操られていたこともあり、ストーリーの中でも重要な役割を果たすけれど、学院にいるとき以外は主にアリアンに乗り移って、アリアンを見た目は絶世の美少女へと変身させる。
2巻ではヴィンセンスに乗り移って、カラマスルートの王子に一目惚れされたりする。
もちろん、アリアン、ヴィンセンスと来ればフェンネルもそうだけど、フェンネルは仮面の王とのストーリー上なので、乗り移られたことでのコメディはない。
かなーり残念だけど(笑)

にしても、相変わらずこのひとのギャグセンスはおもしろい。
すんごいシリアスな話や場面でも、ものの見事に気を抜けさせてくれる。
もちろん、ストーリーは仮面の王の過去なども絡んで、ストーリー紹介をするだけなら、けっこうシリアスな話にはなるだろうけどね。

なんか久々に読んだけど、他の「辺境警備」とか、「癒しの葉」とかのシリーズも読み返したくなってきたなぁ。
奇を衒ったような奇抜なストーリー展開はないけれど、シリアスもギャグもふんだんに入っているし、ギャグ中心のものなので手軽に読むにはいいと思うよ。

でも、表紙絵の派手さに引かなければ、の話だけど(^^;



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