つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

三つ目

2006-02-05 00:17:23 | ファンタジー(現世界)
さて、買うのも読むのも恥ずかしくなくなったの第432回は、

タイトル:マリア様がみてる 黄薔薇革命
著者:今野緒雪
出版社:集英社コバルト文庫

であります。

とりあえず、表紙の折り返しに掲載されている名前順に2巻だと思って買ってみたのがこれ。

第一巻は主人公の福沢祐巳が、学園祭を通じて紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)である小笠原祥子の妹となるまでの話で、紅薔薇ファミリーの話。
この2巻はタイトルどおり、主人公たちが通う私立リリアン女学園の生徒会「山百合会」の幹部である三薔薇のうちの黄薔薇ファミリーの話。

ストーリーは、黄薔薇ファミリーの2年生で黄薔薇のつぼみ(ロサ・フェティダ・アン・ブゥトン)の支倉令、そしてその妹(スール)の島津由乃が中心。

従姉妹同士で、家もお隣という仲のよい姉妹の令と由乃。
令は剣道部に所属する、ショートカットで凛々しい美少年と言った少女。
逆に由乃は昔から心臓の持病を抱えて、三つ編みにした見た目も清楚な少女。

だが、その内実はお菓子作りや編み物が得意で、少女小説が愛読書、好きな言葉が真心という令と、スポーツ観戦が好きで愛読書が剣客小説、好きな言葉が先手必勝というまるで正反対なふたり。

そんなふたりのある日。
心臓病のために、あまりにも過保護すぎる令に業を煮やした由乃は、姉妹の契りの証であるロザリオを令に突き返してしまう。
縦関係の厳しいリリアンにあって、姉から姉妹関係を解消されることはあっても、その逆は極めて異例。

……はずだったのだが、それをやってしまった由乃。
そのことは新聞部が発行する「リリアンかわら版」に、まるで小説のように憶測と創作で掲載され、似たようなことがあちこちで起きる始末。
ついでに、そのふたりの姉である黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)は、そんなことが起きているなんてことすら知らないほどのぼけっぷり。

しかも黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)まで、何やらありそうな気配……。

と言うわけで、ストーリーは黄薔薇ファミリーの出来事を中心に、祐巳と祥子のふたりのちょっとした変化も交えて進んでいく。

まー、なんとゆーか、令、由乃の姉妹は、この百合話でなくとも王道中の王道。
ネタ、オチともに、支えるほうと支えられるほうの見た目と内実の対比をテーマに進むと言う、これまた王道。
黄薔薇さま(ロサ・フェティダ)のネタも、混乱を深めると言うアクセントにはなっているが、まぁ、そこまでストーリー上、必須のネタかと言われるとどうかな。
まぁ、黄薔薇ファミリー3人いるし、タイトルどおりで行くと出さないわけにはいかないとは思うけど。

あと、文章。
一人称の文体は前作と一緒だから、と言うわけではないのだろうが、一人称の中心人物が変わるのに最初かなり違和感があった。
慣れればどうってことはないのはないけど……。

それから話し言葉。
前作は、基本的に祐巳、祥子の話だったし、薔薇さまの3人はそれぞれ特徴のある口調で書いていたのでいいのだが、ここに由乃がメインで加わったため、話し言葉の区別をつけるのがめんどい。
流れに乗ったまま、すいすい読んでいると、いまのはどっちのセリフだ? と言うことがしばしばある。

そのあとに誰のセリフかと言う地の文があればいいのだが、それがないことがそれなりにあるので、こういうところは減点対象。
場面転換も、流れを滞らせるくらい妙なときもあるので、こういうところもいただけない。

やはり2巻目となると、そこそこあらが目立ってきたりするもんだぁねぇ。

それにしても、最後の最後は祐巳と祥子のふたりで締めてくれているのだが……。
お姉さまと呼ばなければ返事をしない、って、子供か、祥子さんよ……。



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