名南将棋大会ブログ 名古屋

名南将棋大会告知や結果のほか、
将棋が強くなるための記事を書きます。
まずは将棋上達法則を見てください。

聖の青春

2015-11-04 | 将棋本 断捨離
聖の青春 (講談社文庫)
単行本は2000年、講談社文庫で2002年、角川文庫でも今年再出版なんですね。

大崎善生さん(将棋連盟職員から将棋世界編集長、今は作家で高橋和先生の旦那様)のノンフィクション、古い方ならご存知でしょう。
村山聖先生の生涯を丹念に追いかけた本です。再読してまた泣きました。お目にかかったことはないのですが、同時代を生きていたのでとても身近に感じます。もう16年ですか。体が弱かったのは不幸ですが、これだけ周りに愛されていて、志半ばとはいえトッププロのまま亡くなったのですから幸せな人だなあ、と思います。今でも多くの人に思い出されているのでしょうし。

羽生先生によると

村山将棋の最大の長所は感性の鋭さにあります。
棋譜を調べることによるうまさというよりも、それ以前の感覚的なセンスの良さがあり、指されてみればなるほどなと思うが、指されなければ気が付かずに通過してしまっている、というようなセンスの良い手が多いのです。
本能的な感性の良さに加え、20代になってからは序盤が非常にうまくなりました。研究に基づいた理論的な面と、感性の鋭さがうまくかみ合って強さとなっていました。村山さんが少し悪いかなと思うような局面での、勝負手を見つけ出す本能的な嗅覚は、まねできない独特のすごさがありました。
村山さんはいつも全力を尽くしていい将棋を指したと思います。言葉だけじゃなく、本当に命がけで将棋を指しているといつも感じていました。

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20151104今日の一手<その197>; 駒損の攻めを読み切る

2015-11-04 | 今日の一手
20151104今日の一手

先月3日の名南将棋大会から、KさんとYさんの対局です。形勢判断と次の一手を考えてください。









昨日の一手の回答

☆ 形勢判断をします。
駒の損得はありません。
玉の堅さは先手のほうが堅いです。
先手の攻め駒は88角で1枚。
後手の攻め駒は42飛で1枚。54金は45に利いているので入れてもいいような微妙な位置です。
総合すればやや先手が指しやすいか。

大局観として
直前は44に銀がいるところ、45歩と打って引いてもらいました。これは少し安心です。55銀とされるのは怖かったと思います。
後手の手番なら36歩から桂馬を取られてしまいますから、それに対応しなければなりません。33銀と引かせて言い分を通した形ですから、ここは序盤の考えどころです。収めるのか攻めるのか。


× 実戦は35銀でした。これでよければ一番いいのですが。

35同角同歩36歩

2枚換えになりますね。47金37歩成同金に55桂は攻防の手。

68玉45金に65角はどちらを持っても怖いのですが

54銀同角同歩53銀43飛45飛が大技。

でも53飛で後続がなく、44歩42歩56歩28角。

局面が落ち着くと駒の損得がものを言います。55桂は取られても香車を取り返して馬を作れますから後手のペースです。
56歩で38金打と粘ったらまだ難しいようですが。

途中、65角には67桂成が怖いです。

67同玉56金で王手飛車。56同玉48飛成で

32金をとっても後手玉にはまだ響きません。これは後手よし。
65角以外の手も後手が指せそうで、角と銀桂の2枚換えは後手がよいようです。55桂から45金というのが後手の好手順でした。


× 47金は駄目だとわかりますね。

36歩同金57角成です。



○ 受けるなら46飛が頑張った手。

後手からは44歩くらいしか見えません。35歩45歩36飛46歩48歩

36飛は窮屈ですが、これで落ち着きました。
22角68玉62玉78玉72玉まで囲ってから34歩。

44銀に35銀は少し無理で46飛としておきます。

これでやや先手有利。玉の堅さが違います。


○ 15歩は駒損ですが攻める手。

36歩14歩37歩成

37同銀22角13歩成

13同香は14歩なので13同桂で25桂を狙います。そこで34歩

34同銀22角成同金13香成と桂馬を補充します。

13同香に56桂で両取り。

手抜きはできず、43銀54桂同銀に31角

52飛に44歩で

これが受けにくいです。
42歩には22角成、41香には43金、32飛は53角成、45香は同飛同銀43歩成。先手優勢です。


△ 35歩もあります。

36歩に34歩22銀15歩

桂損の代償に角をいじめます。37歩成同銀45飛くらい。

14歩48飛成同銀46角

13歩成同香同香成同角56香

ここまで来れば先手がよさそうです。一本道ではないのでやや不安ですが。
まあ1歩得するよりは早く攻めたいので、15歩のほうが優っていると思います。



問題図では先手やや指しやすいです。玉の堅さが違うから。

実戦の35銀は欲張りで、2枚換えから金が離れては玉が薄くなってやや悪くなりました。

46飛はその形がやや不安ですが、局面を収めてしまえば、それでも後手玉が堅くはならないので先手のペース。

15歩や35歩から15歩というのは攻めの手で、前に指した16歩を生かす手でもあります。桂馬は損しても十分手になる、という感触が得られるまでは読まなければいけません。手が付けば後手玉は薄いのですぐに勝ちになります。

攻めるということは駒損になることが多く、失敗すればすぐに形勢が悪化します。だから(よいと思うところまで)読み切ることを要求されます。とはいえ、形勢がよければ自然な手をつなげていけばよいわけで、手を探すのに困ることはないでしょう。うまく手がつながる、という感覚をもって先を読めばいいのです。
問題図の場合は、角を攻める、桂馬は取られても棒銀が玉に近づくので守りに働きやすい、88角の利きを生かして攻める順はないか、という思考過程ですね。














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