ある夜、沢蔵司(たくぞうず)という修行僧が「余は千代田城内の稲荷大明神である。か
ねて浄土宗の勉学をしたいと思っていたが、多年の希望を達した。元の神にかえるが、永く
伝通院を守護して思いに報いよう」と告げて、暁の雲にかくれたといいます。お告げを受け
た伝通院の住職廓山上人は、沢蔵司稲荷を境内に祭り・慈眼院を別当としました。
伝通院門前のそば屋に沢蔵司はよくそばを食べにいったそうで、沢蔵司が来た日の売上の
中に必ず木の葉が入っていたといいます。店の主人は稲荷大明神であったことを知って、そ
ばを供え続けたといいます。
沢蔵司 てんぷらそばが お気に入り という古川柳が残っています。