時代はちょっと前。まだ赤電話が隆盛だった頃。
一風変わった病院に、一風変わった患者さんたちが集っていた。
ジュディ・オングしちゃうオカマのおじさんに、顔にブラックジャック並の傷を持つやくざのチンピラ、消防車にはねられた消防士に、昔は超かわいかった元子役の自殺願望青年。
体とともに心にも傷を抱えているような面々ばかり。その中でも異彩を放っていたのが、オオヌキさん。一人で会社を作り上げて、大会社まで育てた孤高の人。ワンマン社長なのだが、心臓発作を起こして、ここにいる。
ここにいることがいやでいやでたまらない。いらいらの塊。こんなところにくすぶってる自分ではない。自分がいなきゃ、あの会社は立ち行かないはずなのだ。あーーー、いらいらいらいら。
彼の得意な言葉は「おまえがおれを知っているというだけで腹が立つ」ですから。うーん名せりふ。そんなオオヌキが逢ったのが、同じ入院患者の女の子。鬼のような形相のオオヌキ天使のような無垢なパコちゃんの対比がすばらしい。
いつものように自分以外の人間を邪険に扱うオオヌキだが、パコと会うと、なんだか調子が狂ってくる。それはパコが事故によって、一日しか記憶がもたないからだ。一晩しまうと、前の日のことはすべて忘れてしまう。
そのことを知らなかったオオヌキはパコにひどいことをしてしまうだが、それすらもパコは覚えてない。
自分を覚えられることにすら腹を立ててたオオヌキの強がりの仮面がはがれる。パコのために何かできないか?パコの心の中に、自分を置くことはできないのか・・・。
そしてオオヌキは決意をする。パコが毎日、毎日読んで、でも、毎日はじめて読む本。あれをみんなで劇にしようじゃないかそれは、オオヌキだけじゃなく、患者も医者も看護婦も部外者もみんなで一つになって、何かをやり遂げる・・・。でも・・・・・。
色使いが印象的で、「下妻物語」で、ぶっ飛びのデビューを飾った中島監督の三作目。ファンタジーのイメージ行くとこれが大違いで、子供向けの映画では決してない。
傷を抱えている大人たち、生きるのがとっても下手な大人たちが、一歩踏み出して周りを眺め、自分の役割を見出して、再生していくのだ。
病院というシチュエーションが生きてる。大人なんだけど子供の気分でいられることが許されるところであり、傷ついた自分を繭の中のように守ってもらえる。我を出し、無理をつい通せる居心地のいいところなのだが、己の醜さも露骨に見える。
その特異な世界の中で、無垢で新鮮で屈託のないパコを見ている大人たちは、素直に生きることを知る。一生懸命、前を向いて、明るく生きることを改めて知るのだ。
大人たちが一癖もふた癖もあるような人たちばかりで、どれもキャラが立ってるが、みなどれもすばらしい。役者って、つくづくすごいなあと感嘆させられる。今回の筆頭はなんつってもヤゴです(見てください!最高の阿部サダが見れます)。
うわさにたがわず可愛かったアヤカ・ウィルソンちゃん。ほんと、可愛いです。
つうことで、大いに笑って大いに泣ける、一本で二度おいしいお得な映画。中身もぎっしり詰まってて、濃いです。中島監督、どっかの域に達した感のある傑作でした。
見ようかどうか悩んでる人、これは傑作です。ぜひ、ご覧あれ。
原作者の後藤ひろひとさんのお話はこちら。
◎◎◎◎○●
『パコと魔法の絵本』
監督 中島哲也
出演 役所広司 アヤカ・ウィルソン 妻夫木聡 土屋アンナ 阿部サダヲ 加瀬亮 小池栄子 劇団ひとり 山内圭哉 國村隼 上川隆也
原作 後藤ひろひと(「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」)
一風変わった病院に、一風変わった患者さんたちが集っていた。
ジュディ・オングしちゃうオカマのおじさんに、顔にブラックジャック並の傷を持つやくざのチンピラ、消防車にはねられた消防士に、昔は超かわいかった元子役の自殺願望青年。
体とともに心にも傷を抱えているような面々ばかり。その中でも異彩を放っていたのが、オオヌキさん。一人で会社を作り上げて、大会社まで育てた孤高の人。ワンマン社長なのだが、心臓発作を起こして、ここにいる。
ここにいることがいやでいやでたまらない。いらいらの塊。こんなところにくすぶってる自分ではない。自分がいなきゃ、あの会社は立ち行かないはずなのだ。あーーー、いらいらいらいら。
彼の得意な言葉は「おまえがおれを知っているというだけで腹が立つ」ですから。うーん名せりふ。そんなオオヌキが逢ったのが、同じ入院患者の女の子。鬼のような形相のオオヌキ天使のような無垢なパコちゃんの対比がすばらしい。
いつものように自分以外の人間を邪険に扱うオオヌキだが、パコと会うと、なんだか調子が狂ってくる。それはパコが事故によって、一日しか記憶がもたないからだ。一晩しまうと、前の日のことはすべて忘れてしまう。
そのことを知らなかったオオヌキはパコにひどいことをしてしまうだが、それすらもパコは覚えてない。
自分を覚えられることにすら腹を立ててたオオヌキの強がりの仮面がはがれる。パコのために何かできないか?パコの心の中に、自分を置くことはできないのか・・・。
そしてオオヌキは決意をする。パコが毎日、毎日読んで、でも、毎日はじめて読む本。あれをみんなで劇にしようじゃないかそれは、オオヌキだけじゃなく、患者も医者も看護婦も部外者もみんなで一つになって、何かをやり遂げる・・・。でも・・・・・。
色使いが印象的で、「下妻物語」で、ぶっ飛びのデビューを飾った中島監督の三作目。ファンタジーのイメージ行くとこれが大違いで、子供向けの映画では決してない。
傷を抱えている大人たち、生きるのがとっても下手な大人たちが、一歩踏み出して周りを眺め、自分の役割を見出して、再生していくのだ。
病院というシチュエーションが生きてる。大人なんだけど子供の気分でいられることが許されるところであり、傷ついた自分を繭の中のように守ってもらえる。我を出し、無理をつい通せる居心地のいいところなのだが、己の醜さも露骨に見える。
その特異な世界の中で、無垢で新鮮で屈託のないパコを見ている大人たちは、素直に生きることを知る。一生懸命、前を向いて、明るく生きることを改めて知るのだ。
大人たちが一癖もふた癖もあるような人たちばかりで、どれもキャラが立ってるが、みなどれもすばらしい。役者って、つくづくすごいなあと感嘆させられる。今回の筆頭はなんつってもヤゴです(見てください!最高の阿部サダが見れます)。
うわさにたがわず可愛かったアヤカ・ウィルソンちゃん。ほんと、可愛いです。
つうことで、大いに笑って大いに泣ける、一本で二度おいしいお得な映画。中身もぎっしり詰まってて、濃いです。中島監督、どっかの域に達した感のある傑作でした。
見ようかどうか悩んでる人、これは傑作です。ぜひ、ご覧あれ。
原作者の後藤ひろひとさんのお話はこちら。
◎◎◎◎○●
『パコと魔法の絵本』
監督 中島哲也
出演 役所広司 アヤカ・ウィルソン 妻夫木聡 土屋アンナ 阿部サダヲ 加瀬亮 小池栄子 劇団ひとり 山内圭哉 國村隼 上川隆也
原作 後藤ひろひと(「MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人」)
もお、大傑作ですね。中島監督、サイコー!
あ、マイブログにリンク貼らせていただきました。
今後ともよろしくです。
その辺で大いに笑わせてもらって、そして泣いちゃうと。濃い映画でした。
リンク、ありがとうございます。
私も貼らせていただきます。
何かしら背負っている入院患者たちが、パコの純真無垢な笑顔の前で徐々に変わっていく様子がさりげなく、でも丁寧に描かれていましたね。
こういうところがきちんとしているから、阿部サダヲがハチャメチャに笑いをとっても作品がヘンにブレることがないんだと思います。
素晴らしい映画でした!
原作者の方、山形だったんですねー。
パコの名前はワンちゃんが由来だったとは。
なるほど、確かに犬っぽい名前・・・。
映画は笑って泣けたいい映画でした。
なんだか舞台も見たくなったなあ。
再演とかあるのだろうか・・・。
それぞれの人生や、背負っているものが見えてくるようでしたね。
その辺をキチンを描いて所に好感が持てました。
阿部サダヲのぶっ飛びぶりは見ごたえありました。
舞台を見ているようでしたわ。
その場も知ってるので、なおさらですかね。
原作者の方は、なかなか有名な演劇界ではカリスマだそうで、トンと知りませんでした。
いまは、別の舞台なようですが、ぜひ故郷舞台もやってほしいです。
そういう気分になる映画でしたもんね。
sakuraiさんコメント&TB有難うございます
(^_-)-☆sakuraiさんが言われる通り本当に素晴らしい映画でしたね。
大人向けの笑いのシーンや泣けるシーンや感動できるシーンなど、素直な気持ちで入り込めたのは多分初めての邦画かも知れません。
チャンと内容的や視覚的にもファンタジーとして1級品でしたし、観ていたオコチャマも満足したようで、凄い映画ですね
見てるこっちも素直になれましたね。
こういう邦画が、なかなかないです。
素晴らしかったと思います。