迷宮映画館

開店休業状態になっており、誠にすいません。

ソウルガールズ

2014年05月22日 | さ行 外国映画
リアルタイムで映画を紹介して、沢山の人に映画館に足を運んでもらおうと・・・・と言うのが、ブログの趣旨だったのに、まったく情けない始末で、本当に反省しているのですが、いかんともしがたい。すいません。こんな気持ちになったのが、この映画を紹介できなかったこと。飛ばして、さっさと書きゃよかったんですが、それもしなかった自分を深く反省してます。

いやーーーー、よかった。素晴らしかった。はっきり言って、ナメテました。ありがちなサクセスストーリーもんで、才能はあるけど埋もれていた。で、きっかけをつかんで、スターになった人たち!!!っていうもんだと思い込んでいたのですが、いやいや御見それしました。そんなお手軽なもんではありませんでした。もっともっと複雑なものが絡んで、そこに時代も加わって、愛まであって、戦争ももれなくあります。お見事でした。

見逃された方、ぜひともなんかの機会に見てください。見る価値あると思います。

時代は1960年代、オーストラリアの原住民のアボリジニの姉妹、ゲイル、シンシア、ジュリーは歌が大好き。そんでもってうまい!町で行われるコンテストに出れば、明らかにとびぬけてうまいのに、賞とは無縁。白人たちのあからさまな差別が当然のようにある。そんな彼女らが出会ったのが飲んだくれの落ちぶれたミュージシャンのデイブ。彼女らと組んで売り込むことを画策する。

三姉妹には従妹がいた。ちょっと色の白いケイ。彼女も加えて4人で歌うのがベストなのだが、ケイは政府の同化政策によって、家族と引き離され、アボリジニとしてのアイデンティティを喪失したと思われ、かつ自分もそう思って白人の社会の中で生きていた。

この辺から、普通のサクセスストーリーもんとは、一線を画してきます。

・・・オーストラリア政府は、白豪主義という名のもと、原住民を迫害、殺戮、拉致などによって、多くのアボリジニをこの世から消していった。その後、原住民保護という名目で、アボリジニの子供を親元から離して、集団教育を施し、アボリジニとしての自覚をなくし、白人優位の社会を構築しようという政策を行っていた。このことを表した「裸足の1500マイル」という作品がある。・・・

アボリジニとしてのプライドを持つゲイルと、自分のせいではないのにどう生きたらいいか模索しているケイとの確執、ベトナム戦争の慰安団として、海を渡った彼女らが見た戦争の現実、生死を共にしている彼らの中にも厳然としてある差別の意識と問題、すべてのことに立ち向かっていこうとするゲイルのたくましさ。ケイが見出した自分の進むべき道等々。そして、愛。

こんなにいろんなものを、過不足なく、きっちり納め、見事に表す。おまけに歌がまたいい。「ドリームガールズ」っぽくして集客しようとしたのか、それこそ普通のサクセスストーリーみたいに思わせる題がいまいちだったと思います。彼女らのグループ名の原題のままの方が、ストレートに伝わった気がします。

アボリジニの彼女たちも素晴らしかったし、ダメンズの雰囲気を根っから醸し出してるデイブ役のクリス・オダウドがいい味出してます。最後もよかったし、とってもいい映画でした。って、今頃紹介してる自分が情けないです。

◎◎◎◎○

「ソウルガールズ」

監督 ウェイン・ブレア
出演 クリス・オダウド デボラ・メイル ジェシカ・マーボイ シャリ・セベンズ ミランダ・タプセル


最新の画像もっと見る

コメントを投稿