迷宮映画館

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少女は自転車にのって

2014年05月22日 | さ行 外国映画
いろんなサウジのトリビアがあって、世の中まだまだ知らないことがいっぱいあるんだということを思い返しました。映画はとってもみずみずしくて、元気がもらえそうな気分になりました。

10歳のワジダは、ちょっとお転婆な女の子。もうごくごく普通。普通の10歳の女の子が興味を持つようなことを素直に表現してるが、それがここではうまくない。ここは厳格なイスラームの国だから。ちょっとおしゃれをしたり、ボーイッシュなスニーカーを履いたり、ベールをめくってみたり、自転車に乗りたいと思ったり。そんな普通のことを思ってはいけない!ということが面白くない。

サウジなんて、みーーんな金持ちで、豊かな生活を送っているんだろうな~などと思っていたけど、そうでもないらしい。お父さんはたまにしか来ない。イスラームの男性は、4人まで妻を持ってもいいということになっているが、それはちゃんと4人の妻を養えるだけの財力がないといけない。その辺の事情は詳しくはわからないが、ワジダのお母さんは、正式な妻ではない模様。でも、ちゃんと家族の面倒を見るのが男じゃないの?と思ってしまったのでした。

お母さんは、遠いとこまで車を借りて、働きに出なければならない。車の運転手と契約を結んでるようなのだけど、トラブルが絶えない。疲れて帰ってきても、たまにやってくる夫(?)は歓待しなければならない。いやいや、女性に対する負担が大きくて、この辺にもびっくりした。

どうしても自転車が欲しいワジダは、ちょこちょこ小遣い稼ぎをするのだけど、焼け石に水。遠く及ばない。そんな時に、コーランの暗唱コンクールで優勝すると、賞金が!やった!これで買える。でも、ワジダは宗教に関しては劣等生。一念発起でコーラン暗唱に取り組む!!

ワジダの思惑通りに進むと思いきや、なかなかのどんでん返しが待ち構えていて、一筋縄ではいきません。お父さんもワジダ親子のもとを去って、別の女性と正式に結婚をする模様。なんじゃこの男は!理不尽きわまりない。そんな世界でいいわけがなく、女性は一体どういう存在なんだ!と憤ってしまうのです。だからこそ、こういう作品を作ろうと思い、物議を醸しだすのでしょうが、こうやって世の中変わっていけるのでしょうか。

多分、変わんないんだろうな~と、逆に空しくもなりました。ワジダはこれからも生きにくい世の中を生き、理不尽な目にあい、そのたびに悔しい思いをし、また立ち上がる。ワジダの未来に幸あれ!この小さな一歩が大きな道につながればいいなあぁと、願うばかりです。

◎◎◎○

「少女は自転車にのって」

監督・脚本 ハイファ・アル=マンスール
出演 ワアド・ムハンマド リーム・アブドゥラ


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