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アナザー・ハッピー・デー

2013年02月21日 | あ行 外国映画
家族だからといって、皆が分かり合い、お互いをいたわり、居心地のいい家庭・・・・などとは限らない。家族だからこそ、言葉の壁が取り払われ、感情がぶつかり、とげとげしいものになる。いやでも顔を突き合わせ、そこで暮らしていかねばならない。でも、誰しも居心地のいいところにいたいはず。好き好んで、とげだらけのところに身を置きたいなどない。

しかし、世の中うまくいかないもんだ。幸せいっぱいで始まったはずの夫婦に亀裂が入り、憎しみ合う。赤ん坊をその手に抱いたとき、この子を一生守ろうと決意したはずなのに、そんなことは見事にどこかに行ってしまう。それは時間?気持ち?心の変化?何かが間違った???

そんないろんな間違いを抱え込んで、長男の結婚式のために久しぶりに実家に帰った母親。幼いころに離婚し、元夫に長男、自分のところに娘を引き取ることにした。二人とも再婚。元夫の妻が最強の50歳!デミ・ムーア。いやーーーーーー、今回も最強でした。すごい、すごすぎる。娘に「ビッチみたい」といわれるのも道理なくらいのビッチぶり。

母の方は、再婚した相手との間に二人に息子がいるが、どっちもかなり個性的だ。何と言ってもエズミ・ミラーのエリオットでしょう!存在感が半端ない。これからのしのし出てきそうですが、普通の役も振ってもらえるのかな。ドラッグ中毒の高校生がはまりすぎ。

家族や兄弟が、最大の理解者で、お互いを守ってくれるなんてのは幻想だ。痛くもない腹を突っつき、人のあら捜しをし、ああだこーだと、あることないことうわさするおばさんたち・・・・。デミ・ムーアママも最強だったけど、こっちのおばさんの方がやけに真実味があった。勝手なこと言うんだよね。「そうかもしれない・・・」が、いつの間にか、「そうなんだ」になり、ただのうわさが事実になっちゃう。つい、わかる、わかる!!と相槌打ってた。

問題山積・・・、自傷癖のある娘に、ドラッグ中毒の息子、アスペルガー気味の末っ子に、神経に障る元夫、さらにそれを逆なでする妻に、口さがない自分の姉妹。神経症気味の母親は、せめて自分の母くらいには、わかってもらえるだろうと不満をぶつけるが、母も自分のことで精いっぱいだ。だよねえ、自分を見なさいよ。母として、余裕をもって子供に向き合ってるか?否。母であろうと、仏様であろうと、いっぱいいっぱいです。いや、精いっぱいに生きてるんです。

誰もが精いっぱいに生きてるはずなのに、うまくいかない。そんなもんなんでしょうかね~。

あまりにばらばらで身勝手な連中。自分も含めて、、、。結婚式という超ハレな時くらい、何とかなるだろうと思って集まったのですが、結局はエゴのぶつかり合いとなるのです。極端っていえば、極端な人たちなんですが、多かれ少なかれ、私たちもこんな感じです。見ていて、笑いながらも身につまされます。わかりすぎるくらいにわかって、苦笑いしかない。

エリオットが、みんなの絆を深めるのは結婚じゃなく、愛じゃなく、死だ!!という言葉がズドンすぎて、心情としては頷きたくないけど、うなってしまいます。認めたくないけど的を得てる。そしてそれが見事に証明されてしまう皮肉。



なんと監督は若干27歳!すごいわ。どっかの家族をモデルにしたのかしらとも思うのですが、それこそみんながわかる、と思うということは、普遍的な話かもしれません。バリー・レビンソンの息子さんだそうで、これは楽しみな監督登場ですわ。思いっきり、はめ外した作品をぜひ見てみたい。今回も外れてはいましたが。

この話を気に入って、プロデュースに名乗り出たというエレン・バーキンがハンサムだわ。年相応の体当たりの役で、お見事な存在感を見せてくれました。いやーーーー、いろんな意味でとにかく強烈。でも、いやーな感じじゃない!という作品を生み出せる力はとっても魅力的です。次回作も大きく期待です。

◎◎◎◎○

「アナザー・ハッピー・デー」

監督 サム・レビンソン
出演 エレン・バーキン ケイト・ボスワース エレン・バースティン トーマス・ヘイデン・チャーチ


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8 コメント

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好きな作品です。 (rose_chocolat)
2013-02-21 19:58:44
『チキンとプラム』も、これと同じく2011年のTIFFで観た作品です。これらが続々と去年公開になりました。
良作だと思います。今でもとても印象に残っています。

家族だからうまく行くと思うのは大きな間違い、次々と起こる難題が凄過ぎる。
そして家族であるということに依存せずに過ごしていかないと、上手く行かないんですよね。
こうあるべき、白黒ハッキリ、よりも、案外のらりくらりと過ごすことの方がいいのかもしれません。そのくらい家族とは難しいものだと思います。
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エズラ目当て (KON)
2013-02-22 10:49:43
でいそいそと見に行きました。あまりに「少年は残酷な~」が素晴らしかったので。
親類が一堂に会するということは、お互い見たくないものを見せあうようなもので。
結婚式だろうとお葬式だろうと、血の繋がりが互いを甘えさせぶつけさせ、大抵
ロクなことにならないです。幾多のドラマで扱われているこのテーマ、はたから
見ているとこんな面白い風景はないですが、自分の事として見つめるとつらい。
デミ継母、まさに闘犬!ビッチ!エレン・バーキンの痛々しい生活感、発言、
イライラさせてくれました。そして何よりエズラ君、期待通りの暴走ぶり。
どうしても若き日のディカプリオさんと重なります。
どうか幅広い役を演じられる役者さんになって。
願わくば、太らず、小汚くならないで・・。
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>rose_chocolatさま (sakurai)
2013-02-25 14:26:25
コメントありがとう。

予告を見たときから、複雑で、さまざまなものが含まれてる興味深いなあと思っていたのですが、予想通り。
すごかった。
最近、ちょっとないくらいのインパクトありました。
家族だからこその壁もあるでしょうが、本音でぶつかり合ってもほしいし、入り込んでほしくないとこもあるし、難しいわあ。その辺のさじ加減も絶妙でした。
次回作が楽しみです。
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Unknown (YO)
2013-02-26 04:23:51
レイチェルの結婚、と比べるとレイチェルの方がテーマが際立ってよく表現されていたように思います。こちらの作品は、テーマなど機にせずに方の力を抜いてのんびり見られる安心な映画だったと思います。でミムーアを見たとたん、ああこの人がまたひとがんばりするんだな、と思い起こさせるので、ある意味心地よい(新しい発見はあまりないですが)、そんな内容だったように思います。
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>KONさま (sakurai)
2013-02-26 09:46:05
KONさま、好きそうなキャラ(?)かもねえ。
一癖も二癖もありそうな御仁。
アタシは苦手だわ。
私はもちろん、正統派のイケメンでございます!
というのは置いておいて、なかなかの作品でしたね。
人物描写が見事。
配役の妙も大きいですが、この配置は本当にうまいと思った。
エレン・バーキンが気に入ってプロデューサーを買って出た!という気概もいいですね。
エズラ君、うーん、どうかな。
10年後が楽しみ。
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>YOさま (sakurai)
2013-02-26 10:08:40
コメント、ありがとうございます。
「レイチェルの結婚」と結構比較されてるようですね。
あっちは、アン一人がいろんなものを背負ってて、彼女を中心に話が回っていたんで、テーマがはっきりしていたかもです。
こっちは、ちょっと問題抱え過ぎ。
一家にそんなに問題はないだろ・・とも思いましたが、それが噴出するきっかけがまたすごい。
すべてはデミが持ってた!ですかね。
アタシは、あの親戚連中にやけに頷いてました。
こういう人たち、いるわ・・って。
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こんにちは (オリーブリー)
2013-03-03 13:00:23
まずなんと言うか、お直し過剰のたたりか?なエレン・バーキンの顔が役柄以上に痛々しかったです(苦笑)

例えば、ノーマル集団の中にデミ・ムーアがいたら、煙たがられる存在だけど、段々と一番まともやん!と思えてくる面白さはありました。
見渡す限り、変わり者が集まる映画は苦手なのかもしれません(反省)
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>オリーブリーさま (sakurai)
2013-03-07 20:17:36
あれはお直しをしたんですね。
なるほど。
もともと好きなタイプの女優さんじゃなかったので、すんごく冷静に、第三者的にみてたかも。
といいつつ、この家族やうるさい親戚に、あるあると思いつつ。
うーん、もしや親せきに恵まれてないあたし?
極端だけど、なぜか面白く見てしまったあたしでした。
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