迷宮映画館

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ショート・ターム

2015年01月23日 | さ行 外国映画
子供を虐待するという情けないニュースを聞いても驚かなくなってしまったのはいつからだろうか。それでは絶対にダメなはずなのに、痛ましいニュースが飛び込んでくる。保護されたとか、逃げ出したというなら、まだ救われる。取り返しがつかない状態で見つかってしまったとき、気付いてやれなかったのか、周りの大人が何かしてやれなかったのか、子供がなにか発信してなかったの・・・・と、考えてしまう。

そんな子供を短期間保護する施設が「ショート・ターム」文字通り「短期間」。そこでケアマネージャーとして働くグレイス。若いのに頼りがいがいかにもありそう。所長も頼りにしている。施設にいる子どもたちからの信頼も厚い。しかし、そこには彼女自身の人生が繁栄されているから。

中にいる子供たちのそれぞれの壮絶な人生がまたすごい。親が一番大事にすることはなにか、親がするべきことは子供を守ることだ。そこにあるのは、愛とか打算とか何か言葉で表さねば!じゃなく、親だから。ただひたすらに親だから。親は子供を守らねばならないし、子供は親に守られているという絶対の安心感のもとに生きている。

その親が守ってくれないのだ。いや、守るべき親から攻撃されている。こんなことがあってはならないが、これもまた生きる者のサガ、昔からあることだ。じゃあ、どうしたらいいのか。そこは人間という集団の生き物。集団を守るためには個を守らなけらばならない。そのために大人がいるのだ。

子供を見、子供の声を聞き、子供の気持ちをおもんばかる。やろうよ、大人。やれないなんて情けなさすぎる。グレイスなんて、まだまだ子供だよ。でも、いろんなものを見てきて、体験し、子供の内なる声を懸命に聞こうとしている。それはグレイス自身が壮絶な体験をしたからかもしれないけど、私たちもできるんじゃないか?聞こうとしてる?

「ショート・ターム」で過ごして、大人になって世の中に出て行った元子供たち。これからの人生の方こそ過酷かもしれない。うまくいかないことの方が多いはずだ。今まで見たいに守ってくれる人もいなくなる。自分ももしかしたら、自分の親のようになるかもしれないという恐怖と戦っていかねばならない。

大丈夫・・・・なんて言えない。ただ、できることをガンバって・・・。それしか言えない大人です。

噂通り、素晴らしい作品でした。有名どころはいないけど、主人公のグレイスを演じたブリ-・ラーソンが素晴らしい。すでに深い。なによりも雄弁に表情が物語っていたような気がしました。彼氏もいい感じだったし、看板に偽りなしの珠玉の作品でした。

◎◎◎◎●

「ショート・ターム」

監督 デスティン・ダニエル・クレットン
出演 ブリー・ラーソン ジョン・ギャラガー・Jr. ケイトリン・デバー ラミ・マレック キース・スタンフィールド


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