![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/cd/41bae5c684a7da788caabd05e95a5df3.jpg)
試写会にて鑑賞。どんな重苦しい映画かと思ったら、どっか楽しいコメディになっていたのがいい感じ。
小説家の大谷は、今日も今日とて、金もないのに酒をのみ、くだをまき、妻も子も省みず、勝手をしていた。久々に帰ってきたと思ったら、懇意にしている飲み屋のお金を盗んだというではないか!
愕然とする妻だが、どこかけろっとしている。こういう夫を持つと、妻も肝が据わるらしい。
妻。佐知は翌日からその飲み屋・椿屋で働かせて欲しいと願いでる。美人の小間使いが一人いると、店の雰囲気ががらっと変わる。彼女を目当てに客が集まり、明るい笑い声が店に響き渡る。
しかし、夫は相変わらず。どうにもしゃきっとせず、グダグダと酒ばかり呑んでいる。店には大谷目当ての女も来れば、佐知に惚れた男も通い詰める。何も変わらず、混沌としたままの状態の夫をしり目に、佐知は、日に日に美しくなり、生き生きしてくる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/72/a26236648345196e8a237f8ae1a4ddf2.jpg)
そんな妻に嫉妬抱く理不尽な夫。重々、理不尽なことは本人が一番わかっている。でも自らをどう処したらいいかわからない夫は、愛人の女性と心中を図ろうとする。・・・・「夫に心中された妻は、どうしたらいいのでしょう・・・・?」「勝手なようだが・・・・・」
という、太宰治の『ヴィヨンの妻』を中心に、彼の文学のエッセンスを、ところどころにちりばめた彼を描いたものではないのだが、太宰の人となりをうかがい知る作品になっている。
太宰の作品は、若いころにかなり読んだが、本編は読んでいない。若い時は、やけに自虐的になり、太宰でも読んで、自己憐憫にひたって悦に入るような時期があると思うのだが、(・・あたしだけかしら・・・・)そんなときにやたらに読んで、「あたしは太宰をわかっている」みたいにしたもんだ。
しかし、それも一時で、ほとんどその後は手に取ることもなかった。なんだか久しぶりに太宰に、懐かしい人に会ったような気がした。まず、それが映画を観た最初に感じたこと。
男としたら、情けないことこの上ない。自分に経済的な余裕があったら、面倒見てもいいかもしれないが、できれば自分の人生には関与してもらいたくない。傍から見てても、きっといらいらしてくる、どうしようもない奴だ。でも、なぜかいとおしい。破たんした人生をたどる孤高の男をいとおしく思う気持ちがにじみ出ている。なぜか見捨てられないのだ。
その妻の心情というか、佐知の生き方は、共感はしたくないが、わかる。とってもわかる。それが松たか子の表情から、演技から、佇まいからピタッと伝わってくる。いままで松たか子をそれほどうまい女優と思ったことはなかったのだが、これは絶品だった。素晴らしい。そしてきれいだ。
強さと、まっすぐな心根が素直ににじみ出ている。本当にうまい。そして、コメディエンヌとしての才能も発揮。間がいい。この松たか子は一見の価値あり。
そして、浅野。これぞ太宰だ。なんとなくのイメージだが、太宰は、はっきりしない線のぼやけた男という感があったが、そのまんま。乗り移ったかのような演技は、こっちもちょっとびっくり。浅野の映画も、いままで数多く見てきて、彼がさまざまな人物を演じるのを見てきたが、これほどまでにイメージがピタッとくるのは始めてだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/6d/366313dde03f7e3688c1685972cd60b7.jpg)
この役者の妙とともに、時代に映し方のうまさもいい。これはぜひお勧め。10月10日からの、まだちょっと先だが、どうぞご覧になっていただきたい。なかなかの秀作だ。
監督:根岸吉太郎
出演:松たか子/浅野忠信/室井滋/伊武雅刀/広末涼子/妻夫木聡/堤真一
小説家の大谷は、今日も今日とて、金もないのに酒をのみ、くだをまき、妻も子も省みず、勝手をしていた。久々に帰ってきたと思ったら、懇意にしている飲み屋のお金を盗んだというではないか!
愕然とする妻だが、どこかけろっとしている。こういう夫を持つと、妻も肝が据わるらしい。
妻。佐知は翌日からその飲み屋・椿屋で働かせて欲しいと願いでる。美人の小間使いが一人いると、店の雰囲気ががらっと変わる。彼女を目当てに客が集まり、明るい笑い声が店に響き渡る。
しかし、夫は相変わらず。どうにもしゃきっとせず、グダグダと酒ばかり呑んでいる。店には大谷目当ての女も来れば、佐知に惚れた男も通い詰める。何も変わらず、混沌としたままの状態の夫をしり目に、佐知は、日に日に美しくなり、生き生きしてくる。
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そんな妻に嫉妬抱く理不尽な夫。重々、理不尽なことは本人が一番わかっている。でも自らをどう処したらいいかわからない夫は、愛人の女性と心中を図ろうとする。・・・・「夫に心中された妻は、どうしたらいいのでしょう・・・・?」「勝手なようだが・・・・・」
という、太宰治の『ヴィヨンの妻』を中心に、彼の文学のエッセンスを、ところどころにちりばめた彼を描いたものではないのだが、太宰の人となりをうかがい知る作品になっている。
太宰の作品は、若いころにかなり読んだが、本編は読んでいない。若い時は、やけに自虐的になり、太宰でも読んで、自己憐憫にひたって悦に入るような時期があると思うのだが、(・・あたしだけかしら・・・・)そんなときにやたらに読んで、「あたしは太宰をわかっている」みたいにしたもんだ。
しかし、それも一時で、ほとんどその後は手に取ることもなかった。なんだか久しぶりに太宰に、懐かしい人に会ったような気がした。まず、それが映画を観た最初に感じたこと。
男としたら、情けないことこの上ない。自分に経済的な余裕があったら、面倒見てもいいかもしれないが、できれば自分の人生には関与してもらいたくない。傍から見てても、きっといらいらしてくる、どうしようもない奴だ。でも、なぜかいとおしい。破たんした人生をたどる孤高の男をいとおしく思う気持ちがにじみ出ている。なぜか見捨てられないのだ。
その妻の心情というか、佐知の生き方は、共感はしたくないが、わかる。とってもわかる。それが松たか子の表情から、演技から、佇まいからピタッと伝わってくる。いままで松たか子をそれほどうまい女優と思ったことはなかったのだが、これは絶品だった。素晴らしい。そしてきれいだ。
強さと、まっすぐな心根が素直ににじみ出ている。本当にうまい。そして、コメディエンヌとしての才能も発揮。間がいい。この松たか子は一見の価値あり。
そして、浅野。これぞ太宰だ。なんとなくのイメージだが、太宰は、はっきりしない線のぼやけた男という感があったが、そのまんま。乗り移ったかのような演技は、こっちもちょっとびっくり。浅野の映画も、いままで数多く見てきて、彼がさまざまな人物を演じるのを見てきたが、これほどまでにイメージがピタッとくるのは始めてだ。
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この役者の妙とともに、時代に映し方のうまさもいい。これはぜひお勧め。10月10日からの、まだちょっと先だが、どうぞご覧になっていただきたい。なかなかの秀作だ。
監督:根岸吉太郎
出演:松たか子/浅野忠信/室井滋/伊武雅刀/広末涼子/妻夫木聡/堤真一
役者さんは良かったです。松たか子の可愛らし
さの中にも芯の強さのある女性が素敵だった
し。浅野さんの自堕落だけど、妻を愛していた
大谷もどこか子供っぽくて好きです。ただしス
トーリーは別に面白くもないとおもったのが正
直なところでした…。
んでもって、みな自分をキチンを演じてた。
浅野君なんか、今まで見た中で、一番似合ってたと思いました。
まあねえ、太宰の話は、みなあんなモンですから。
河村隆一の「人間失格」よりは千倍よかったと思います。
って感じで、得した気分でした。
ひらりんも今回の松たか子に感心・・・
現代ものより、きものもの!のほうが似合ってるかもしれませんね。
だるーーな感じの、厭世的な感じ。
あーー、太宰だあと思いましたもん。
今度、監督のトークを聞きに行ってきますんで、こうご期待。
やっぱり太宰作品を読んではとんでもなく暗いヤツだなぁ!
なんて言いながらも、やっぱりちょっと分かるなぁ~
なんて気になっていたもんですよね。
妻夫木くんを家に泊めるシーンでは笑いも起こってました。
なかなか面白く、見応えのある映画でしたね。
あたしも、中学校や、高校の頃に読みふけった覚えがあります。
その影響覚めやらず、高校のとき、学級目標に、「『人間合格!』にしよう」提案して、却下されたのを思い出した・・・。
全編、結構笑いが起こりますよね。
こんだけ楽しく描いたのか!と感心しました。
コメント&TBありがとうございました。
根岸監督のお話、聞けていいですね!
そうですね。女は男より断然強いですからね。
やっぱ母性ですよ。これが凄いんです。
男はこの母性にクラクラもんです。
松たか子嬢は上手く演じてました。
二次会の方が、色々と口を滑らしたらいのですが、二次会に行けなかったから残念です。
うーーん、さちの強さは、母性とも違うような気がするなあ。
もっと、おんなの根っこにあるしたたかさ?
いや、これはあたしの想いですが、なんかもっと恐ろしい何かです。
忠信の飄々とした持ち味が生きていたという感じでしょうか。
ゼロの焦点といい、だめんず映画が多くて萎えます。
沈まぬ太陽は、ある意味協調性に欠けるし。
最近でいい男は、駅伝の小杉しかいません。
勝手にきっと、陰隠滅滅の話だと思い込んでたんですが、劇場は、結構笑いも起こってました。
飄々とした雰囲気・・・というのが、ぴったりでした。
まあ、最近の日本の風潮を考えると、どうしようもないですね。
起死回生のナンかがほしいですわ。