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伊能忠敬 -子午線の夢-

2001年12月03日 | あ行 日本映画
伊能忠敬という名前は、歴史を勉強すれば必ず出てくるので、お聞き及びのことと思う。いわずと知れた日本国中をくまなく歩き、日本地図を作成した人物である。その地図の正確さは驚嘆すべきもので、出来上がった地図を江戸幕府は思わず隠してしまったほどであった。しかし、さらに驚くべきことは、彼が地図を作ろうと日本を測量したのは、50歳を過ぎてからなのである。

それまでは現在の千葉県の佐原の百姓であった。百姓といっても名主の身分なので、苗字帯刀を許されていた。50歳までは婿に入った伊能家の本業に精を出し、隠居してからのことなのが彼の業績なのだ。ある程度の蓄えがあったからこそ出来たことなのかもしれないが、シュリーマンのように、将来、発掘をするために若い頃、一所懸命蓄財をしたというのともちょっと違う。根が本当に真面目で、こつこつと努力を怠らなかったというその結果がこれなのだ。(シュリーマンが真面目ではないというのことではないので、とりあえず。)

その測量たるや、どんなことがあっても絶対、私にはできません。それこそ一歩一歩、歩き、数え、測り、計算し、ただそれだけの積み重ねなのだが、それができるかといったら、無理。単純な誰にでもできることなのだが、だからこそ難しい。それをやり遂げたこの人というのは、文字通り非凡なる凡人だ。頭が下がります。それを演じた加藤剛がまたすごい。真面目実直という言葉はこの人のためにあるようなものだが、乗り移ったかのような伊能ぶりだった。

実際にどのように測量をしたのか、ご公儀の仕事で日本国中を歩くのだが、その勘違いやら妨害やらもよくわかるように描かれている。測量した結果を紙におろす作業もまた興味深かった。

この難しい仕事をやることになった大きな動機が、研究者の気持ちをくすぐる「子午線を測ろうじゃないか」という夢に托したのもいい。映画のエンターテイメント性には少々欠けるかもしれないが、私には大変勉強になりました。

彼を支えた高橋至時の力が大きかったのだが、シーボルト事件で、シーボルトに地図を渡したのがその息子の高橋景保。きっとシーボルトに日本にこんなすごい人がいたんだよと教えたかったんだろうな。

「伊能忠敬 -子午線の夢-」

監督 小野田 嘉幹  
出演 加藤 剛  賀来 千賀子  西田ひかる 2001年 日本作品


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