迷宮映画館

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孤独な声

2011年09月12日 | ロシア映画シリーズ
さて、今回の作品は作家、プラトーノフの原作をもとにした作品。ほとんど原作を踏襲しているという。
そして、前回の「エルミタージュ幻想」や、日本の天皇を描いた作品で、物議をかもし出した事のあるソクローフの作品。ただし、これが卒業制作であり、あまりに突拍子もないというか、変というか、特異な作品であったために、卒業作品として認められず。別の作品を提出して、卒業したといういわくつきのものらしい。

このままお蔵入りになるところを、タルコフスキーらの尽力で世に出たというものということで、そっちの逸話の方が面白く、映画自体は。。。。。なんとも表現が難しい。

かいつまんで言うと、ロシア革命の混乱も終わり、故郷に帰ってきた青年が、それまでは身分違いだった女性と結婚する。しかし、それまでの混乱や、疲労、ダメージ等々で、性生活が営めない。苦しんだ男は家を出て、街でまるで浮浪者、日雇いのような仕事をしていた。

そこに青年の父親がやってきて、妻が身投げをし、そして助かったことを聞く。そして男が決心したのは、妻のもとに帰ることだった。。。

と言うようなもの。極力台詞も少なく、感情表現もわずか。風景が悠久の大地を表すような雄大なもの・・・と言うわけでもない。話も突然脈絡のない映像が入れられたりして、ついて行くのが大変。30本近く見てきたロシア映画。いろいろと難行苦行もあったが、今回が一番わけわかんなかった。

あんまりわけわかんなすぎて、寝るというより、第三者的な目で見てたような気がした。これは結構珍しい。入れなかった・・・と言った方がいいかもしんない。

これはやはり解説がないと、どうにもすとんと落ちない!ということで、いつものように中村先生のお話。この作品は、ソクーロフがロシア国立映画大学を卒業する時の卒業作品として撮ったということだが、やはり荒削りで、まとまりがないように感じた。不思議な難解な映画ってのは、ソ連はなれてるとのこと。私が今まで見たのは、ロシア映画のほんのわずかであって、きっともっともっとわけわかんない映画が山ほどあるんだろうと想像する。

映画はほぼ原作の通りであるが、原作者のプラトーノフと言う人の文章は非常に悪文で、観念的なものらしい。心理的なものや人それぞれのあやなどは、描くものではなく、極力感情を抜きに淡々と描いているのが元の話だとすると、映画は若干饒舌にすぎるのではないか・・・と言う話。私は、それがまだ腕が少々未熟なせいじゃないかなと感じたのだった。

また映像で描く限界もあるという。自然の中にいる人間、その自然との一体感を文章では無理なく表現できるのが、映像では別々に、自然・人間と撮って、続けて表す・・・と言うことしかできない。その辺の限界も感じさせたという。ま、はっきり言ってよー分からんかった。。。というもの。

これでソクーロフ監督の映画は3本見たが、なんともわかんないと言うのが率直な感想。新作「ファウスト」がヴェネツィアで金獅子賞を取ったのこと。はい、見せていただきます。

「孤独な声」

原作 アンドレイ・プラトーノフ
監督 アレクサンドル・ソクーロフ
出演 タチヤナ・ゴリャチョワ アンドレイ・グラドフ V・デグチャリョフ


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