迷宮映画館

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シベリア物語

2013年01月22日 | ロシア映画シリーズ
難解な作品が多いイメージで、解説をお聞きしないと、理解ができないことが多い中で、何の解説も要らない、とってもわかりやすい楽しい作品と言うのも、気分転換で良いです。

いきなりの戦場からの始まり。若干、古めかしい様子から、これは第一次世界大戦?と思ったら、あとでからスターリンの肖像画とかが出てきたんで、第二次世界大戦だったことが判明。戦場で怪我を負ったピアニストのアンドレイは、久しぶりに都会の華やかな音楽界に帰ってくる。そこにいたのは、(多分)相思相愛のソプラノのナターシャと、同じピアニストのボリス。

戦争に行く前は、アンドレイに到底かなわなかったボリスの上達ぶりが見事。その様子をうっとりしている見ているナターシャを見て、居たたまれなくなったアンドレイは姿を消す。手に致命的な怪我を負ったアンドレイは、二度とボリスのような演奏をすることはできない。ピアノが弾けなくなった自分など、何の価値もないと思い込むのも道理だ。

故郷のシベリアに向かうアンドレイは、たくさんの人を乗せた船の中にいた。その中に、下手なアコーディオンを弾いて、超音痴な声を披露している男がいた。みんなからブーイング。雑音にしか聞こえない!!といわれる。音楽家だと知られたアンドレイは、皆に請われてアコーディオンを手にし、シベリアの歌を歌って聞かせた。

そのお見事なこと!!さすが、一流の音楽家!!聞くものをグイグイと引き込む力は尋常ではない。アコーディオンを譲り受けたアンドレイは、船で一緒になった食堂の主人の所に世話になることになった。そこで、アンドレイは、アコーディオン片手に、歌を披露していくことになる。観客は、それまでの着飾った紳士淑女でもなく、設備の整ったコンサートホールでもない。スポットライトもなければ、オーケストラのバックもない。

でも、食堂に集う人たちの生き生きとした目!アンドレイに合わせて、自然に声が出る。うらぶれて、恋破れ、都落ちするしかなかったアンドレイ。生きる気力もなかったはずの彼に、光が見えた。

そこに、偶然やってきたのが昔の仲間。ナターシャにボリス。その仲間たち。アメリカに演奏旅行に行く途中、飛行機のトラブルでシベリアにとどまるしかなかった。宿もないところにいるしかないといわれた彼らは、食堂を紹介される。そこなら泊まれるし、食事もできる!そして、アンドレイを見つけた!!ここにいたんだ!!!!

生き生きと市井の労働者たちの前で演奏するアンドレイを見て、ボリスたちは白い目で見る。こんなところで落ちぶれたもんだと。。でも、ナターシャは違った。音楽に垣根はない。たばこの煙のむんむんとする中、酒を片手に音楽を本当に楽しんでいる人たちと一緒に演奏する!アンドレイが、ここで生き生きと演奏している気持ちがよーくわかる。

突如、ここに残ると言い出したナターシャ。それはない!!!必死で止めるボリスたち。結局、ナターシャはここを去ることになったのだが、失意のアンドレイは、極寒のシベリアにこもり、壮大な交響曲に取り組んでいた。

元の生活に戻ったナターシャたちだが、かつて持っていたボリスへの尊敬も、恋心(?)も消えた。彼の演奏には心がない!そこに行方が知れなかったアンドレイが、傑作を引っ提げて帰ってきた!!

というようなとってもわかりやすい展開で、こうなるだろうなあ~という見る方の気持ちも裏切らず、とっても気持ちよく見た。ソ連で作られた二番目のカラー作品ということで、最初の作品の「石の花」同様、単純明快!いい意味の王道を行く作品だった。

アンドレイが従軍していたときに同じ軍にいた後輩の女性に慕われ、その女の子を好きなおっさんもいると。思う人には思われず、思わぬ人から思われて!!の5角関係のドタバタがらし過ぎて笑えます!

この映画がきっかけになって、かつて日本で大流行だった≪歌声喫茶≫の影響を与えたんだとか!なるほど。とってつけたようなコルホーズや、計画経済の素晴らしさ、これからソ連は躍進するぞ!!!というプロパガンダもありましたが、それもご愛嬌で、よろしいのではないでしょうか。

うーーーん、わからない。難解だ!!眠気との勝負!!みたいな作品も多々ありますが、こういったわかりやすく、楽しめる作品も大いにあるのがソ連映画です。これは解説を聞かなくても十分理解できましたが、やっぱ先生のお話、聞きたかった。受験のはざまで、ならず。。。。受験生の母の宿命でした。

◎◎◎○

「シベリア物語」

監督 イワン・プィリエフ
出演 ウラジミール・ドルージュニコフ マリーナ・ラディニナ ヴラジーミル・ゼリディーン ヴェーラ・ワシリェーヴァ ボリス・アンドレーエフ


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