迷宮映画館

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69 Sixty-nine

2004年07月14日 | さ行 日本映画
1969年、とっても有名な年。何で有名かというと、学生運動華やかなりし頃で『東大が入試を中止してしまった』ことで記憶にとどめられるととになってしまった。知り合いにこの年、東大受けようと思っていたんだけど、やむなくトンペイにしたなどという御仁もおられる。ちなみに私はこのとき小3だったと思われる。連日のデモ、なんか知らんけど世の中騒然としていた。赤軍派は毎日のようになんかしてるし・・。何にもわからんけど、小学生だった私はのんきに遊んでいた。きっとそんときの高校生もそんな気持ちだったんだよ。

てなことで、口は立つけど実行力は伴わないケンと、頭がよくて、クールな高校生アダマ(ただし、なまりがきつい)は、他の全共闘かぶれの奴等とともに、何の因果か、バリ封(バリケード封)をしてしまうことになった。そのエネルギーは女の子にもてたーーい。その一点のみ。いいです、いいです。高校生の男の子から助平心を取ったら、何にも残りません。

あっさり見つかってしまう彼等の犯行だったが、反省なんかするわけがない。フェスティバルに他校との乱闘まがいの事件に、女の子に、もう楽しさ満載。

村上龍の若い頃の自伝的小説『69』が原作。原作は流れるような軽い文体と、はったりのケンのちゃらんぽらんさと、びしっと決めてくれるアダマの存在がなんともいえない魅力満載で書かれている。映画を見る限り、その雰囲気が十二分に出ている。少々セピアがかった画面と、マジソン・スクエア・ガーデンのバッグが69年を思わせないでもないが、70年代生まれの監督と脚本家の開き直りが感じられる。すっこーんと突き抜けたバカだ。好きです、こういうバカ。

最後の高校生役かなと思わせる妻夫木君は、すでにオーラを発してる。安藤君の高校生役は、やっぱちょっと無理があったかなあ。でもきっと、あの頃の高校生って、あんなふうにませたガキばっかだったかも。それにしても、おそるべし柄本ジュニア。うまいわ。

でも、原作にあったそこはかとないわびしさが消えていたのが少々残念。戦後をまだ引きずっていた心の傷をちょっとだけ、描いて欲しかった。管理教育をしようとする教師側が完全に悪の象徴とするのではない、何かがあったんだけどな。

『69 Sixty-nine』

監督 李 相日  
原作 村上 龍  
脚本 宮藤 官九郎  出演 妻夫木 聡 安藤 政信  柴田 恭兵  2004年 日本作品


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