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第356回 「地球は平らだ」と信じる人たち

2020-02-07 | エッセイ

 世の中に、「地球は平らだ」と堅く信じている人がいる、というのを聞いたことがあります。その人たちの最近の動向が分かりました。

 「ルポ 人は科学が苦手」(三井誠 光文社新書)は、副題に「アメリカ「科学不信」の現場から」とあるように、科学大国である一方で、地球の歴史、進化論、地球温暖化などについての科学者の提言、説明をまやかし、でっち上げだとして、耳を貸そうとしない人々がいるアメリカの現状をルポした本です。

 さて、同書によれば、「地球(アース)は平ら(フラット)だ」と信じている人たち(「フラット・アーサーズ」と呼ばれています)が、「フラット・アース国際会議」の第1回目を、2017年11月に、アメリカのサウスカロライナ州で開いているんですね。500人の参加者があったといいますから、なかなかの盛況です。

 フラット・アーサーズの動向を研究している(こういう学者がいる、というのもアメリカ的です)テキサス工科大学のアシュリー・ランドラム教授によると、彼らの特徴として、
・白人男性が多い
・聖書の記述を文字通り受け止める傾向があり、地球の歴史も6000年だと信じている
・教会など組織的な活動への不信感が強い
・論理的思考が得意
などを挙げています。

 国際会議を開くくらいですから、「啓蒙」活動にも力をいれています。
「Eric Dubay:200 proofs Earth is Not a Spinning Ball」(地球が回転する球体でない200の証拠)という動画を、ユーチューブで見ることができます(文末にリンクを貼っておきました)。約2時間にわたって、これでもか、これでもかと、「証拠」が示されるのです。(彼らなりの理屈として)比較的「分かりやすい」証拠というか言い分のほんの一部をご紹介しましょう。
(  )内は私の感想、コメントです。

<証拠その1>
 高度に関係なく、地平線は観察者の周りで完璧に360度平らに見える。気球、ロケット、飛行機などのカメラ映像は、高度32キロ以上でも完全にフラットであることを示している。
(「高度に関係なく」というところが、怪しいですね。この画像が証拠だというのですが・・)

<証拠その2>
 もし地球の周囲が4万キロなら、飛行機のパイロットは、軌道から外れて宇宙に飛んで行かないために、高度を下げ続けなければならない。時速800キロの巡航速度なら、毎分850メートル下降しなければならない計算になる。
(その理屈を絵にしたのがこれだというんですが・・・私の場合、海外旅行でも、無事に目的地に着いてましたから、運がよかっただけでしょうか?)

 地球がフラットである以上、地球が高速で回転していることも、彼らは信じません。その「証拠」ですが・・・

<証拠その3>
 地球が時速1600キロ以上で自転してるのなら、ヘリコプターと熱気球は、空中停止してれば、目的地の方から近づいてくるはず。慣性の法則とかは、こじつけにもなっていない。
(あやうく納得しそうになります。)

<証拠その4>
 もし重力が、世界中の海、建物、人々、大気を高速回転する球面に引き付けることができるほど強力なら、同時に小さな鳥、虫、飛行機が離陸して、どの方角にでも自由に飛び回ることは不可能なはず。
(そこまで考えたことありません)

 いかがですか?きっちり反論するだけの知識・スキルがないのが悔しいですが、ユーチューブ映像を見て、「地球は平らだ」と信じるようになったアメリカ人が結構いるというのが驚きです。

 まあ、地球が丸かろうが、平らだろうが、個人の信条にとどまる限りは、実害はないのでしょう。でも、それに、直感的判断、宗教的信条、政治的立場などが重なって、「科学不信」という大きなうねりになるのが心配です。

 現に、自分に都合の悪い報道を「フェイク(にせもの)・ニュース」と切って捨てる大統領がいます。科学万能主義も行き過ぎれば弊害を招きますが、地道な研究、探求をでっちあげ、ウソ、ごまかしと断じる世界観がはびこる世の中にはなって欲しくないですね。

 冒頭でご紹介したユーチューブへのリンクは、
 <こちら>です。

 いかがでしたか?それでは次回をお楽しみに。