Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

こころ

2009-07-12 | ギターの栄養



例えばそれは幼い頃


自分の中の狡さを許し見逃し、無かったことにして
それで済むと思って何年も過ごし
結局その負い目からは逃げ切ることが出来ないと子供ながらに悟ってから
ずっと自分の心の弱さと向き合っている


そしてそれは今も続いているし
生きてる間、ずっと続く






ミュージシャンには音を出す「手前」に
超えなければならない幾つものハードルがある

それは演奏することの何倍も難しく、面倒で苦しい

だがそれを越えられたら、あとは神様に身をまかせるだけ
本番での演奏は忘我の境地に入り
心地良く浮遊しているうちにコンサートは終わる

だから「演奏以前のハードルを越えられるか」
ということの方が大事であり難しいことなのだ


僕にとって、その面倒な課題を乗り切るための力の根源とは何か、といえば
それは簡単なことで
こういう負い目に苦しむより
自分の中の狡さを、根気強く一つ一つ塗りつぶしてゆく方が
結局は楽だから、
それをしているだけにすぎない


例えば今日のコンサートが上手く行ったのだとしたら
例えばこないだの演奏が良かったのだとしたら

その理由は絶対に見間違うこともない
負い目からの自己解放に、何十年も費やして来た
その成果に他ならないし
その途中経過に過ぎない

だから「良いと感じられる演奏」が終了したあと
はしゃぐ自分は、いつも大抵は存在しない

ずっと繋がって続いてってるだけであり
本番が終わればすぐ、次のハードルが待ってるだけなんだから




ただ...


こんな僕でも
コンサートの後に心が華やぐことはある




それは

こんな利己的な営みの

僕の事情で奏でているだけの

そういう場所に来てくれて

そんな僕に

あなたが

タンポポのような心を見せてくれた時



自分の事にのみ没頭していたアンテナが
ハッと気付き、外に向けて覚醒し

初めてそこで、ぼくの音楽が、
一つの楽章を完成していたことを知る



そして惜しみない感謝と愛情が溢れてくるのだ










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