Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

神具

2018-10-05 | ギターの栄養


哲学を持った若い命は
迷うことはあっても信じる力に揺るぎが無い


迷い、というより
信じるものを具現化するための
現実的な方法を模索している
というだけの話なのだ


彼に哲学を伝授した1番の張本人は
音楽の神様だろう




神の子は
音の配列を考えるより
脳内に特別な分泌が起こることを研究する


家庭の愛があるから
決してドラッグには手を出さない
そこがかつての伝説的なサイケデリックスター達とは
違うところだ




己のイマジネーションのみ使って
スペシャルな分泌を促し
肉体の機能を、
そして元々命の持っているスキルを、
究極な状態にまで押し上げ
神に近づこうとする


要するに
彼のプレイは神に捧げる儀式である

だから信じる力も揺るがない





儀式には彼にしか作れない
手作りの神具を用いる



ギターを奏でるための1道具である「ピック」なるものは
通常、先が尖っている角を弦に当てるが

神の子はその儀式に於いて
常軌を逸した忘我の中
激しい舞踏を繰り広げるため
ピックの角はすぐに磨耗してしまう

神の子は「どうやっても削れちゃうから
丸いまま弾けるようになったんです」と言い
どこにも角がなくなった真ん丸のピックを捨てることなく
むしろ儀式に最適な神具として使い続けているという


「鉄のピックなら削れないでしょう?」

と私が尋ねると
彼が財布から出して来た鉄のピックも
角が丸くなっていた


私は爆笑した

これらの神具を机の上に並べて
昨夜私は腹がよじれるほど笑い転げたのだ

あまりにも愉快で
あまりにも正義だったから





昨日私は
この青年を介して語りかけてくる音楽の神様と
12時間近く
音と言葉の両方で語り合った

そしてこの集いが終盤に差し掛かる頃
私は酔った勢いで
「35歳年上の僕はキミより先にこの世を去るだろうから
その後この中の好きなギターを1本持って行ってよ」
と言っていた


一晩寝て
今思い返してみるに

私が亡き後、私の道具も彼の神具として
この世の功徳のために使って欲しかったのだろう
と思うのだ

























コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 10/4 | トップ | 10/6 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。