遠くで鳴いている蝉の声と
風にそよぐ葉音が混じっている
何処かで誰かが感情を乱した声を上げている
その言霊が
愛されていないことを訴えている
この世界でこんなに悲しい音はないと考えながら
為す術もなく葉音の中
ただ座っている
爪で淵を軽く叩くと寄って来る三尾たちに
心の拠り所をほんの少しだけ縋ってみる
メダカは卵を産んで次々に命を終えて行った
最後の親メダカが動かなくなり
もうすぐ旅立とうとしている
親が生きた軌跡を子供は知らない
ただ良くも悪くもDNAに伝承されてゆく
また何かの卵
このベランダは徐々に原生化されてゆくような...
本当の原生からしたらおままごとなのだだろうけど
キュウリを吸いまくってだいぶ成長した
後ろの水槽の住人から
「のんびりやれよ」
と諭される
「あまり考えず進めば良いのさ」と