引っかけて引っかけて
グルーブの回転に遠心力をつけて
腕が千切れそうになるギリギリまで
そして心がむせび泣くのを越えて
真空の只の真っ白になって
ポカ~ンと阿呆鳥みたいになるとこまで行かなきゃ
弾いたことになんかならない
長年付き合いのあるピアノの小林くんと二人リハをした
小林くんと二人だと必ずそうなるから
こんなに細かく気難しい僕でさえ、ご機嫌になる
(引きこもるのはやっぱりやめよう..)
気分良くウチに帰って玄関を入ったら
もうすっかり坊主頭が馴染んだ竹斎先生が
猫のような目でジッとこちらを見ていた
無性に抱きしめたくなって
抱き上げ、顔をつけて汗とお乳の匂いを嗅ぐと
それは今日もとても良い匂いだったから
僕はまたポカ~ンと阿呆鳥みたいになって
少し話して
少し遊んで
そして夜ひとりで
阿呆な絵を描いた