「ねえ、聴いて。こんな感じ…」
みたいに言って歌い出す
譜面には決して書けないグルーブを説明している
発せられた言霊は
音符という衣を宛てがわれ
グルーブという糸に繋がれて空間に漂い出す
楽器奏者はそれを観じ、捉えようとする
奏者が理屈ではなく霊的な部分でそれをキャッチした瞬間
相互のリンクが始まり
無意識的に歌い手の頭部が左右に一つ振られる
そこから生まれた波は彼の首を伝い
肩から胸、腹、腰を伝って蛇行しながら下降し
最後に足先から抜けてゆく
その気配は水中を泳ぎながら密やかに獲物を狙う肉食爬虫類のような…
宇宙空間を螺旋を描きながら時速7万キロで優雅に進む太陽のような…
波が通過する彼の体の全ての構成物質には
グルーブに反応する高性能のセンサーが埋め込まれていて
筋肉だろうと骨だろうと波が通過する際には
一つ一つ発光しながら解放される
RHの中で彼の天才的な波動に遭遇する時間
そして一番チャーミングな彼を見ることが出来る場面
その波動に巻き込まれ
同調し
こちらもドーパミンがバンバン出て
気付かぬ間に10時間ほど弾き続けて
気付けば24時過ぎ
脳の中が浮かれたように帰宅して
寝て
見たことの無いような類いの夢を見て
次の日、起きてみて
全身疲労
中川晃教くんの音楽は
アスリート性を持ったミュージシャンにしか
乗り越えられない難しさと
何物にも代え難い喜びがある
音を紡いでいく。
頭で考えるより、理屈抜きで、それぞれの内面から溢れ出るものが形となり。
私には想像もつかないくらい。
一度体験してみたいです。
その瞬間を感じてみたいです。
もうすぐですね。