Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

見栄を切らない江戸っ子に「ちょうどいい」場所を

2009-07-23 | ギターの栄養


僕の作品「夜カフェ」を評して
「ちょうどいい、がここにある」というキャッチコピーを
遊び心で贈ってくれた人がいる



僕は言葉を捏ね回すくせに、いざとなると自分のことはよくわからない

効率悪く、迷路に迷い込んでることもしょっちゅうある




なるほど...

「ちょうどいい」か...




僕自身はといえば、ちっとも「ちょうど良くない」極端人間だから
ちっとも気付かなかったけど
確かに「ちょうどいいライン上」を歩いていたいと思ってる

「自分が思うところのちょうどいい」をキープするために、相対的に自分の位置を常に微調整している

右が重いと感じれば左に行くし
もし世界中が右に行ったとしたら..
多分、一人でそれに見合う重さを身に付けなければ、という強迫観念を抱え込みながら
左に行こうとして
まぁ...
凡人だから多分、自己崩壊するだろうけど...

話がそれたが
結果、音にもそれが反映されていたのだろうか、とボンヤリ思いながら
思考モードに入って行く






でもな
「自分が思うところのちょうどいい」は言い換えれば「エゴ」だ

相手にとってはちっとも「ちょうど良くない」ことも多々ある

それじゃぁ、1ミリも身動きが取れないから
なるべく多くの人と共有できるための真理を探そうとはしてきたが..
最近はこう気付いた


音楽は、決して完璧な共有などありえない、と


強者と弱者の関係性を取り除くべく「共有」を実践しようと試みたミュージシャンは
僕は「ローリー寺西」以外知らない

人から聞いた話だが、ちょっとそのことを書きたい

ロックコンサートで当たり前のように皆が揃ってやる
予定調和の「拳を突き上げながらノル」という形を
「自分の意志ではなく、固定観念にやらされている」と感じるローリーは
自分のコンサートが盛り上がったシーンで「動くなっ!」と
オーディエンスに言ったそうだ

オーディエンスは舵取りから放り出され何をして良いかわからず戸惑った

彼は後に「ファンに理解されないアーチストは僕ぐらい」と語っていたという



固定観念という圧迫に「やらされている」ことに苛立ちを持ちながら
オーディエンスを解放させたいと感じた彼がとったこの行動がまた
あまりに勇気があるというか、鋭角的なものだったため
その時その場は「よくわからない状態」に陥ったのだろうと想像するが
彼の想いは痛いほどわかる




話を戻して
音楽は、決して完璧な共有などありえない、ということは
むしろ、こう言った方がわかりやすいかもしれない

「共有をまず巻頭に掲げる音楽は一種の暴力」なのだ、と

「共有」などと作者が軽々しく提示すべきではない
あくまで受け手の100%の自由意志に任せなければ真の共有は無い


しかし、受け手が「自由のあり方」を知らない場合は多々あり
送り手が過剰な共有を演出する
(もっと言うなら、それが手っ取り早く商売になりやすいから)


そういうことは僕にとっては何よりも苦痛なことなのだ


こういったものたちから迫ってくる「圧迫」は
(例えば「感動」と呼ばれる類いの)多少の興奮状態に入れば一時的に消える

だから常に、この興奮状態に「逃げ込もうとする行為」が
この世のには沢山存在する


だが、無駄な物音を立てぬように生きていれば
常にこういう圧迫が、世の中に充満していることを感じ続ける


この苦しさの中で「ちょうどいい」を模索し続けずにいられない性を持ってしまった生き物

自分である


自分が生まれ育った場所に、ただ居て
そして「その苦しさごと音にした」ものが
たまたま贈ってくれた人にとっての「ちょうどいい」だった..



決して、ファンタジーなどではない
現実の形






ひとつ
愚痴を書きたい





こういうパターンがよくある


若い頃散々エントロピーを上げた人間が歳をとり
自分のしている行為によるものだと気付かぬまま自分が疲れ
自然などに癒しを求めるようになる

そこで休息を得て、パワーを取り戻し
また血気盛んにエントロピーを上げに都会に戻ってくる



そうではなくこの都会の中でエントロピー減少系を見付けてほしい

そうしたら僕みたいな人間ももう少しは生きやすくなる

この東京を「仕事の場」ではなく
「単なる自分が生まれた場所」として出発している僕は
滅多に見栄を切らない


こんな僕に「ちょうどいい場所」がなかなか無いから
音を用いて自分で作ったのだな、と思った


















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