Rosa Guitarra

ギタリスト榊原長紀のブログです

2014/12/24//西ノ洞クリスマススペシャル後記 vol:2

2014-12-25 | 過去のライブ後記




目覚ましよりだいぶ早く起きてしまった…

久しぶりの旅先だから興奮してるのだと思う

朝湯にゆっくり浸かってから
支度し終わってもまだ出発までに1時間半あった


こんな時こそこれだ



家から持ってきた首肩圧し
またの名を肩甲骨剥がし「イボ太郎」


これの上に仰向けに寝ながら
部屋が暑かったので窓を開けていたのだが
外から海猫かカモメの鳴き声が聞こえていた


...あれ?

ここは群馬だった
海は無いはず...





あっ
そうか!
大勢の子供の声だな
近くに小学校があって
きっと運動会みたいなことしてるんだ

目視確認しようと窓際まで行き耳を澄ますと
ぱったり聞こえなくなった

首を傾げながら椅子に座ると遠くだがハッキリ聞こえる

窓際に立つと聞こえず
椅子に座ると聞こえる

それを何度か繰り返しているうちに気が付いた

あぁ
風が哭いてるんだ
なんだ
風だ風だ
やっぱり空っ風の群馬だった
と思った瞬間
一際高いトーンで明らかに子供の叫び声が聞こえた


これはもう霊の仕業に違いないと
この久しぶりの旅先のハプニングに
恐怖というワクワクを期待したのだったが外は真っ昼間
ちっとも怖くない

鳥肌も立たず

暇潰しの刺激は得られず



腑に落ちない気持ちだったのでしつこく分析を繰り返し
最終的に結論は
窓から見えない角度に多分小学校があり 体育の授業中
それと空っ風の鳴き声が混じっていたのだろう
ということにしといた





そういえば
この後11時チェックアウトし、朝食を採った後にでも
中村氏が何とか言う神社に連れてってくれるとか言ってたっけ

神社の境内で若かりし頃の巨人軍の川上哲治監督が王貞治をしごいた
という言い伝えがある神社らしい



中村氏は旅先でかなりアクティブだ

パネサンも結構、旅先アクティブがお好きらしい


僕はそういうアクティブな人達の金魚の糞となって
無責任に観るともなくプラプラするのが性に合ってる


多分、興味を示す対象が
一般感覚と少しズレてるのかもしれない

誰かが見せようと用意したものを見たくない
ひねくれ者なのだ


そういう人間が
人前でギターの音を聴かせるのを商売にしちゃったのだから
しょっちゅう自分の首を自分で絞める日々となるわけだ



イボ太郎に圧された背中に血流が巡り
チェックアウト20分前になって眠気に襲われる



。。。。



11時チェックアウト

車に乗り込む



車中では、王貞治がしごかれた神社ではなく
パネサンが30年前に行き感銘を受けたという
焼き物の栗田美術館というとこに行くことになったようだ


会話に参加せず中村氏とパネサンの会話を
後部席で聞くともなく聞いているのが僕には一番心地好い



…心地好いから
寝ちゃうことにした




目を瞑り
シートベルトに頬を持たせかける





頬に触れているシートベルトは
幼い日の僕の親の肩


車窓をかすめて空気が流れる音がする


この車中の気は安定している
ニュートラルより少しだけ「陽」に傾きながら



古い記憶が呼び覚まされてくる



僕は今 大阪に向かう新幹線に乗っている 10歳の少年で

家族と大阪万博に向かっている



少し「陽」に傾いた気配と安定の中
僕の脳は今
演奏時と似た状態になっている


演奏時にどんな心情風景を観ているか
その一端に触れている



少し「陽」に傾いた気配と安定がきっと僕が求める家族であり

悲しい罵りも冷たい仮面も
僕にとっては家族であっても家族ではない...




泣いて



そして

祈っている








。。。。

。。。

。。










栗田美術館に到着

広大な駐車場
貸切状態




入場料を払って館内へ
















かなり広い敷地内を進み
本館に到着

撮影禁止

しかたないので
焼き物など全く素人なのだが直感的に感想を携帯でメモってゆく


無責任な自由発想の中で心を遊ばせるのが好きだ





自分は藍単色が好きらしい

藍単色
伊万里の蛸唐草は普段使いの机に置いて眺めているか
紋様を浴衣に染めて祭りの夜に着たい


藍単色の鍋島萩皿には
小さく切った赤い煮野菜を置いて
いつまでも食べずに眺めて秋の夜を過ごしたい



竹や松の絵はつまらない


伊万里
染付陽刻波鳥文皿には
おちょこにしては少々大きすぎるこの小皿に波々と酒を注いで
賢い性悪花魁を酔わせた上で恋愛問答などしたい


好き勝手なことを考えながら歩いていると
遠くからパッと目に入り惹かれたものが鍋島
青磁染付女郎花文大皿


女郎…か…

さっきからどうも花魁とか女郎とかの方向に行っちゃうな…



最近youtubeで座頭市を22作も観ちゃったからかな...





。。。





資料館へ移動

絵付けの行程を観る

ここは撮影可







筆先は宇宙

どんな形へも繋がって行ける



それは、どんな想いへも繋がっていることと同じ




そこは宇宙そのもの




そしてそれは愉快





。。。。











ところで
さっきから右のこの人が話しかけてくるんです




こっちは何も言ってこない




どうもこっちの人が話しかけてくる気配がする







歴史館へ移動




作品を観ながら最上階へたどり着き
ソファーに座って冬枯れの小山を見ながら思った





焼き物も音楽も
芸術も芸事も
延いては日常の良き事も全ては同じだ

人の脳に快楽的な夢を見せるために作者は技を磨くのだ


人の手によって生み出される感動とは決して理屈からは生まれない

作者がどれだけ自然界の一部に成得るか、だ



技は愛だと初めて思えた




無駄口を慎み
ギターを練習しよう










。。。。






二人とははぐれてしまった




広大な敷地内を一人でのんびり歩く












。。。



13時半
美術館出発



渡良瀬川 枝河川



眼前の鉄道を見てなのか
バックミラーに映るMr撮り鉄の目が嬉しそう




30分ほどで会場に戻る
中村さんは別現場でいったん柏へ



パネさんと僕は
会場近くのラーメン屋で遅い朝食しながら
さっき観た焼き物の話など交わした





会場に戻って
ランチタイムが終わるのを見計らって軽く音合わせに入る


リラックスした雰囲気の中
音楽や作曲の話をしながらリハーサルした


愉しい



パネサンのオリジナル曲には
ギターでメロディーを取ると良さそうなのがいろいろある
とのこと

次回のライブは未定ながら
また一緒に演奏させていただく機会も生まれそう
とても楽しみ


二人リハを終えてからも僕は一人でずっとステージで
開場時間近くまで独奏で弾いていました



そのうち
僕の意識からは誰も居なくなり
無心に観念のキャンバスに音の絵具を塗っていた


描いてはみたが気に入らなかった線や色は消して
気に入るまで何度も何度も上描きして
気が付くともうすっかり外は暗くなっていた









精神の深い部分まで到達したまま
灯りのともった会場の風景をゆっくり撮って歩いた













カメラに納まった風景には夢が感じられた


この空間には夢が存在している


夢は僕らに生きる力をくれる


そして夢は
願いという想いによって作られる



そうだ
夢を生み出そうとしている人がここには居る

ここには祈りがある


そう気付くと
なんだか泣けてきた




。。。。




控え室代わりの3階に上がり
パネサンとまた音楽の話をした

本番30分前



嫌な緊張は全く無く身体は指先まで十分に温まっていた

このままもう練習用ギターにも触らず
温かい気持ちでニュートラルにステージに上がろう



。。。




本番終わって

柏まで行ってる中村氏が戻るまで会場でゆっくり過ごさせて頂いた


何人もお客様ともお話しさせて頂いた
直接、感想を聞かせて頂けるのはとても嬉しい








食事を頂いたり
今夜もまたオルゴールの中に頭を突っ込んでトリップしたり
それを残っていたお客様に勧めたり


そして23時半に中村氏が戻ったのをきっかけに
おいとますることに



西の洞さんには
昨日のブログでは4回目と書きましたが
今回で5回目だったみたいです


この空間と
ここの人達が大好きです


西の洞さん
ありがとうございました


クリスマスイブという特別な日に
足を運んでくださったお客様
心よりありがとうございました








帰りの車中で考えていました





アンサンブルの中で音での力押しをせず
かといって遠慮もせず
互いの呼吸をリスペクトし合いながら紡がれる音の帯は
どんな風に聴く人の心に届くのだろう


それは受け取ってくれたご本人にしか解らない


僕ら演奏家は
なるべく良いボールを投げるだけしか出来ないのです


良かったか悪かったかは聴き手の心と
音の神様のみぞ知る


今日の演奏がもし少しだけでも誰かの心に届いてたら
それだけで僕はとても光栄です


パネサンとのコラボライブは
頻繁ではないと思いますが
来年にまたきっと企画されると思います
その折りにはまた告知させて頂きますので
是非清い音を聴きに来てください



今年のクリスマスはこのライブのおかげで
僕にとって良いクリスマスになりました
ありがとう

そして

I wish you Merry Christmas











コメント (3)
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