さいかち亭雑記

短歌を中心に文芸、その他

雑感

2021年10月29日 | その他
二〇二一年も余す所あと二ヶ月。コロナの影響で毎月の例会も何度か休会になった。あらためて思うことは、この間の政治の無策である。コロナ禍が長引いたのは、圧力団体の日本医師会にまったく手出しのできない政府とそれへの反対キャンペーンも張れないマスコミの惰弱に責任の一半がある。夜七時代のNHKの番組編成が、ニュース番組から衆愚路線に変更されて、即効的な報道の実をあげられなかったことも、コロナの抑え込みに失敗した原因の一つだと私は考えている。自粛警察なる現象も飛び出して、日本人が公的な動きをする際の後ろ暗い一面を再び見せられた。

最近私は馬場マコト著『戦争と広告』(二〇一〇年白水社)という本を読んだが、戦争の時代の日本人の行動について知ることは、今を反省するうえでとても大事なことだ。

それとは別に、同時並行で岩波文庫の『ローマ皇帝伝 上・下』を再読し始めた。そこには、よくもここまで赤裸々に描いたものだというような、むき出しの野望や感心できない振る舞いが歴代皇帝の姿として描かれている。ローマ時代も今もやっていることが変わりない人間の姿というものが、そこにはあって、短歌を含む詩歌はそうした「人間苦」の諸相を止揚するためにあるものだと、私なりに思ってみたりもする。しかし、怒りや憤りといったものは、なかなか歌になりにくい。
    一首。
  志操なく廉恥心なく生き延びて「はりつけ」の字を指にかき居り 

  
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿