さいかち亭雑記

短歌を中心に文芸、その他

諸書雑記 

2021年09月19日 | 
〇最近の一押しは、四方田犬彦『世界の凋落を見つめて』集英社新書
 とにかくキレがいい。

〇高校生に読ませて何か書かせたいと思った文章。うそのない文章を書ける人というのは、世の中にいるものだと思った。
岸田奈美「幸せの選択肢」 「朝日」9月16日朝刊掲載 

〇最近読んで面白かった小説。
『大樹の下に』内海隆一郎(1998年 徳間書店刊) 
『紳士同盟』小林信彦(昭和五十五年 五十七年七刷 新潮社刊)

両方とも横浜黄金町「楕円」という古書店の出品。何となく自分で読んでおもしろかった本を売っているという気配で、外れがない。しかも安いんだよなあ。

<机辺積読記録>

〇『開拓の美名の下で 満蒙開拓青少年義勇軍の記録』(昭和59年8月15日 第三文明社刊)
〇『朝凪夕凪』小見山輝歌集(2015年 潮汐社刊)この著者も少年義勇軍に参加して九死に一生を得て帰った人。
〇『僕の東京地図』安岡章太郎(世界文化社刊)
〇『壺中の歌 わたしの群書群像』秋山清(1974年12月 仮面社刊)
〇『竹久夢二』木村毅(夢二郷土美術館発行 昭和五三年刊) 
〇『森鷗外の百首』坂井修一(2021年刊)
〇『ラジオの昭和』丸山鐡雄(二〇一二年 幻戯書房刊)  
〇『上海狂想曲』高崎隆治(2006年刊 文春新書)
〇『戦場の聖歌(カンタータ)』森村誠一(2017年 光文社文庫)
〇『詩から死へ 安楽死・尊厳死をどう受け止めますか』秋山素子(2016年 幻冬舎刊)
筆者は長く「鹿火屋」に所属した人。竹下しづの女の句をもとにつづった書。
〇『ドストエフスキー 謎とちから』亀山郁夫(2007年刊 文春新書)
〇『詩の逆説』入沢康夫(一九七三年 サンリオ出版刊)
〇『日本の若者はなぜ社会的エネルギーを失ったのか』羽角章(2019年8月 七つ森書館刊)
〇『現象学と表現主義』F・フェルマン(1984年刊 86年第三刷 岩波書店)
〇『精神現象学 上』熊野純彦訳(2018年 ちくま文庫)
〇『人間の未来 ヘーゲル哲学と現代資本主義』竹田青嗣(2009年刊 ちくま新書)
〇『万葉集の古代と近代』内藤明(二〇二一年 現代短歌社刊)
〇『万葉集講義』上野誠(2020年 中公新書)
〇『色彩浴』小林英樹(2003年 ポーラ文化研究所刊)
〇『薬師寺 散華妙聚』(昭和六十一年十月九日 薬師寺発行)
〇『人生の伴侶 光本恵子エッセイ集』(2015年 ながらみ書房刊)
  転げ落ちる 蹴り落とされる 雨土を掘ってうねる大蛇に群がる男
御柱祭を活写した歌。
〇『芸術とは無慚なもの 評伝・鶴岡政男』三田英彬(一九九一年 山手書房新社刊)
〇『ボタン落し 画家鶴岡政男の生涯』鶴岡美直子(2001年 美術出版社刊)

 読んでいない本もある。いただいた本もある。以前買ったのを手元に持って来たものもある。最近買ったものは、やはり新刊より古書が多い。直上の二冊は、えびな書店の美しいカタログにあった。画家の鶴岡政男は、言うなればお祭り男だったのだが、その狂騒の底には戦場体験があった。
 
昭和史、特に戦争の時代のものについて興味がある。日本の戦後の画家について、美一般についても。古代については、やはり祝祭論がポイントになるのではないだろうか。
文学というのは、エロス的なものがにじんでいないと研究でもなんでもツマラナイものになってしまう気がする。エロス的なものは自己疎外を経ないとうまく表現できないというところがあるから、そこをうまくクリアできる表現者は実に少ない。見慣れたもので安心するという許し合いの世界もあるが、そういうものは、どこか突き抜けていないので退屈だ。




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