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「75歳」が老化の節目!? 超高齢化社会で変わる病気の常識

2018-06-07 | 報道・ニュース
「75歳」が老化の節目!? 超高齢化社会で変わる病気の常識 06月05日 AERA dot.


 団塊の世代の約800万人が75歳以上となる「2025年問題」が目前だ。今の高齢者は10年前と比べて、身体機能も知的能力も10歳若返っている。しかし喜んでばかりもいられない。機能がガクッと落ちる年齢があったのだ。好評発売中の『差がつく70歳からの病気 サインと最新治療』より紹介する。



 みなさんは知っているだろうか。2017年に日本老年学会・日本老年医学会は、75歳以上を「高齢者」、65歳以上74歳以下を「准高齢者」とする新たな定義を提言した。これまで、高齢者は65歳以上とされてきた。理由は、1956年にWHO(世界保健機関)が発表した「65歳以上の人口が全人口の7%を超えると高齢化社会とする」という見解がきっかけだ。当時の日本人の平均寿命は、男性が64歳、女性が68歳。つまり、平均寿命を超えた人はみな高齢者だったのだ。

 それから半世紀以上が経ち、日本人の平均寿命は男性が80.98歳、女性が87.14歳(平成28年簡易生命表)と大きく延びた。それだけでなく、肉体的にも元気な高齢者が増えている。その実態を日本老年学会・日本老年医学会は、多くの科学的なデータをもとに検証。現在の高齢者は10年前に比べ、身体の働きや知的能力が5〜10歳は若返っていると判断。65歳以上74歳以下の多くは、活発な社会活動が可能であるとして「准高齢者」に区分した。健康な人には働いてもらって、本当の「高齢者」になる前の準備段階として備えてほしいというメッセージといえる。

 ただし、これは社会保障制度として何歳で高齢者を区切るかとは別の問題で、実際の高齢者の健康状態に関する客観的な事実だ。東京都健康長寿医療センター名誉院長で骨粗鬆症財団理事長の折茂肇医師は、こう話す。

「みんなが長生きするようになった今、これまで常識とされていたことが高齢者では通用しなくなっています。これからは健康や病気について、考え方を変えていく必要があるのです」

 加齢に伴い身体機能は落ちていき、老化により発症する病気も増えていくことは、おおむね自明であろう。ただしそこに、大きな境目が存在するとしたらどうだろうか。

「加齢とともに身体機能は直線的に落ちていくと思われがちですが、実際は段階的にガクッと落ちていきます。そこに節目(境目)があるのです。高齢者は個人差が大きく一律には言えませんが、落ち方が直線的になると思われるのは、大多数の調査で統計的にならした結果、そう見えるだけなのです」(折茂医師)

 その節目が「75歳」だ。骨粗鬆症を例に挙げると、75歳を境に骨折する部位が変わってくる。65〜74歳で多いのは、手首(橈骨[とうこつ])や肩からひじまでの上腕骨、背骨(椎体)の骨折。それが75歳以上になると、太ももの付け根(大腿骨[だいたいこつ])の骨折が急増する。これは、骨粗鬆症によって骨が弱くなり、加齢とともに骨折しやすくなることに加えて、サルコペニアによる筋力の衰えが起こるからだ。サルコペニアとは、ギリシャ語の「サルコ=筋肉」と「ペニア=減少」を組み合わせた言葉で、筋肉量が減少してしまう状態をいう。筋肉の減少速度は75歳前後から急速になり、身体機能の低下も重なって転倒が起こりやすくなることが、大腿骨骨折の大きな原因といえる。

 がんの年齢階級別罹患者数は年齢とともに増え、75〜79歳でピークとなる。加齢・老化に伴って発症しやすくなる病気には、がんのほか糖尿病や高血圧などの生活習慣病や、動脈硬化性血管障害、腰部脊柱管狭窄症、股関節やひざの変形性関節症など、枚挙にいとまがない。長生きすることで臓器が衰え、それが要因となる病気も多い。そのうえ高齢者は、それらの病気が併存する可能性も増えてくる。

 日本老年医学会で高齢者の生活習慣病管理ガイドライン作成ワーキンググループ委員長を務める東京都健康長寿医療センター内科総括部長の荒木厚医師はこう指摘する。

「75歳以上の人には未満の人とは違った考え方で治療することが必要です。75歳未満の人は病気で体調が悪くなっても、その原因を一つ治療すれば回復して社会復帰できる人が多いですが、75歳以上の人の場合、複数の病気や心身の機能低下があるため、治療した後でもさらに生活機能が悪化し、要介護や死亡のリスクが高まります。また、治療による副作用リスクが増すことや、からだに負担が大きいと治療ができないケースもあります」

 75歳以上の人と一口に言っても、健康の度合いに大きなばらつきがあり、元気に仕事や運動をしている人もいれば、要介護状態の人もいる。

 健康と要介護の中間で、加齢に伴い心身の活力が低下し、ストレスも重なって生活機能が障害されて要介護や死亡に陥りやすい状態を「フレイル」という。具体的には歩く速度や身体活動が低下したような人がフレイルだ。健康の度合いにばらつきがある75歳以上の人をフレイルという観点でみることにより、治療成績、薬物の有害作用、予後などを予測することができるという。(本誌・杉村健)

※週刊朝日 2018年6月8日号より抜粋
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黒塗り、最後まで隠されていた大物

2018-06-07 | 報道・ニュース
財務省「黒塗り」で隠された安倍夫妻と日本会議系人脈

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AERA dot.2018/06/07


 加計学園が“嘘”をついたと謝罪し、愛媛県の“告発”をなかったことにした安倍晋三首相。佐川宣寿氏ら38人の不起訴処分で森友文書改ざん問題とともに幕引きを図る。だが、財務省が公表した4千ページに及ぶ文書の黒塗りを剥がすと、安倍夫妻に不都合な真実が浮かび上がってきた。

 1年半ぶりに国会で行われた党首討論の翌日の5月31日、加計学園の渡辺良人事務局長らが愛媛県と今治市を訪問し、“嘘”を謝罪した。

 安倍首相と加計孝太郎理事長が2015年2月25日に面会した際のやりとりなどを記した愛媛県の公文書が公開され、国会で問題化。その報告者として名指しされた加計学園は後日、慌ててマスコミにあてたファクスで<当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまった>と釈明した。

 文書を公開した中村時広愛媛県知事に批判され、謝罪に訪れた渡辺事務局長は、記者団に苦しい弁明を繰り返した。

「嘘で認可になったのではない。県と市と加計学園で頑張った」

 その一方で、愛媛県文書に記載されている内容については、安倍首相と加計理事長の面会以外は「正しい内容」と胸を張った。

 しかし、愛媛県文書の記述では、県と今治市に加計学園が会合の申し入れをした理由は、<加計学園から、理事長と安倍首相との面談結果等について報告したいと申出>があったとなっている。

 また、同年3月15日に再度、加計学園と市は会合したが、そこでも<理事長と総理との面会を受け、同(柳瀬唯夫・首相)秘書官(当時)から資料提出の指示あり>などと記されている。記者にここを突っ込まれると、「3年前のことではっきりと覚えていない」としどろもどろ。

「事務局長は加計理事長の側近中の側近で酒席にはほとんど同席している。加計理事長に責任が及ぶような嘘を県と市に話すわけがない。それも理事長の腹心の友、安倍首相に関する話ですよ。事務局長は奥様を早くに亡くされ、再婚した相手が理事長の信頼が厚い弁護士の親族。事務局長の息子たちも加計学園系列の職員です。自ら泥をかぶり、理事長と首相を救ったんじゃないかと、学園ではもっぱらウワサになっています」(加計学園関係者)

 一方、財務省は森友文書改ざんの“主犯”として6月4日、佐川氏や理財局の中村稔総務課長らを停職などの処分に。これまで疑惑の渦中で、数々の“舌禍”を起こした麻生太郎財務相は早々に続投が決定。結局、政治家は誰も責任を取らぬまま、幕引きとなった。

「今や財務省内の最大の関心事は事務次官人事と19年10月に予定されている消費増税です。麻生財務相は自分が辞めたら安倍政権は持たないと公言し、消費増税に道筋をつけるという大義名分で居座り続けるつもりです。そうすれば、自然と安倍3選の流れになるという腹づもりなのでしょう」(政治ジャーナリストの角谷浩一氏)

 安倍政権がここまで強引に幕引きを図るのには理由があった。その鍵となるのが、財務省がホームページ上で公表した約4千ページにのぼる森友学園との交渉記録や改ざん前の決裁文書だ。だが、財務省はあるミスを犯していた。当初、文書は5月23日に公開されたが、約3時間後にすべて削除。翌日未明に改めて公表し直された。なぜこうなったかというと、パソコンである操作をすると、黒塗りで隠した部分が簡単に見えるようになっていたからだ。

 そこで本誌は当初、公表された文書から黒塗りされた箇所をすべて剥がし、改めて内容を精査。すると、不都合な安倍人脈が浮かび上がってきた。

 財務省が改ざんした文書には、籠池泰典前森友学園理事長が日本会議大阪支部の幹部名刺を持ち歩き、安倍首相、麻生財務相らも日本会議と表裏一体とされる「日本会議国会議員懇談会」役員であることが記されていた。また、籠池夫妻は昭恵夫人だけでなく、櫻井よしこ氏、渡部昇一氏ら錚々たる保守系文化人を学内に呼び、講演会を主催。

 文書を見ると、財務省は安倍首相と近い日本会議系の人脈を注意深く分析していたが、最後まで黒塗りされていた大物がいた。

 首相の後見人とされるJR東海名誉会長の葛西敬之氏だ。葛西氏の名前が交渉記録に出てくるのは、14年6月だ。森友学園側は、<〇〇学校の葛西敬之副理事長から、当方の小学校の卒業生を受け入れていただけるとの提携話があった>と近畿財務局に説明。

 JR東海を取材すると、「提携の話をした事実はない」と否定したものの、同年5月7日に葛西氏が籠池夫妻と面会した事実は認めた。

 さらに黒塗りを剥がすと、稲田朋美元防衛相とその夫・龍示弁護士、二階俊博・自民党幹事長の名前も出てきた。稲田氏も日本会議国会議員懇談会の役員を務める。稲田夫妻が登場するのは、土地貸付料の減額などを近畿財務局と交渉していた16年1月。

 籠池前理事長の妻・諄子副園長が「(龍示弁護士に)昔から顧問弁護士をお願いしている」と近畿財務局に説明。近畿財務局のメモとして<稲田龍示弁護士は自民党の稲田朋美政調会長(当時)のご主人><(稲田氏は)二階俊博総務会長(当時)と親密な関係>という注釈がつけられていた。森友問題を追ってきた文筆家の菅野完氏はこう解説する。

「稲田氏の実父・椿原泰夫氏(故人)は、関西の保守界隈ではどんな活動にも顔を出していた有名人。籠池氏とはその中で出会い、その関係から、稲田夫妻は森友学園の弁護士になりました」

 近畿財務局らが話し合いのために龍示弁護士の事務所を訪れた際の同弁護士の挨拶も記録されていた。

<過去から籠池理事長とはお付き合いがあり、尊敬している>

 しかし、龍示弁護士が森友側に<あきらめるしかない>と発言したことに対し、諄子氏が激怒。近畿財務局に<全く納得できないので、先生にも噛みついた>とぶちまけていた。

 注目すべきは森友学園の理事だった柳澤忠麿氏(故人)だ。大阪護国神社の宮司で、日本会議大阪の議長代行・運営委員長という役職を務めていた。

 森友側が日本会議系の安倍人脈を巧みに利用し、財務省を籠絡したことは記録からも明らかだ。

 前出の菅野氏は「日本会議が組織として動いたわけではない」としながらも、こう指摘する。

「森友事件が明らかにしたのは、日本会議に集まるような保守界隈の人たちが籠池氏の教育理念に共感し、政治的な行動をし、小学校建設を実現しようとしたこと。そこに脅威を感じる」

 一方、その籠池夫妻をあれだけ長く勾留しながら何一つ疑惑に切り込めなかった大阪地検特捜部に対する不信が渦巻いている。

 公用文書毀棄容疑で佐川氏らの告発状を提出していた神戸学院大学の上脇博之教授が怒る。


安倍首相夫妻(c)朝日新聞社© Asahi Shimbun Publications Inc. 提供 安倍首相夫妻(c)朝日新聞社
「昭恵夫人付政府職員が財務省に“口利き”したことが文書に赤裸々に書いてあったから、財務省は改ざんしたのです。昭恵氏が関わったからこそ8億2千万円もの無理な値引きが敢行された。それでも罪に問えないなら、政治家の口利き天国になる」

 元東京地検検事の郷原信郎弁護士は上脇教授が提出した告発状に注目する。

「今回は検察が起訴していれば有罪になったはず。なのに起訴しなかったのは、最初から全面不起訴の結論ありきだったからです」

 上脇教授は近日中にも、検察審査会に申し立てを行う予定だ。検察審で「起訴相当」の議決が出てすべてがひっくり返る可能性もまだ残されているという。

(本誌・吉崎洋夫、亀井洋志/今西憲之)※週刊朝日  2018年6月15日号
https://blog.with2.net/link/?1219620
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