必然的なヒストリー

クソムシが歴史系映像の感想を書いたり、妄想キャスティングしています。このブログは純度の高い自己満足で構築されています。

【功名が辻・感想レビュー】土佐二十万石

2006-11-19 21:23:51 | 大河ドラマレビュー《功名が辻》

最終章に入ってから、石田三成の批評ばかりを行っていた琉河でしたが、気持ちを新たにして物語を拝見しようと思いきや!?

まず
「ほほう、今日のテーマは一領具足の反乱(=浦戸一揆)のお話かぁ」
と、この暗いイベントをどのようにして描くのか楽しみにしていましたが、OPのクレジットを見てその考えは吹っ飛んでしまいました。

その理由は・・・
な、なんと、渡辺哲さんのクレジットがVIP席に表示された為!
いくら役柄が一領具足の幹部とはいえ、このVIPな待遇はスゴイ!唐沢寿明北村和夫でさえこの席に座る事は出来なかったのに!
興味の無い人にはどうでもいい事かもしれませんが、クレジットマニアには格好のネタなんですよ、これ。
だってそこ席(曲調が変わって、バックが『お花畑』に変わるところ)津川雅彦江守徹板東三津五郎中村橋之助近藤正臣、そして一時は西田敏行がいた、いわば大物俳優しか座る事が出来ない豪華な席なんですよ
まさか、そこに渡辺哲が座るとは!スタッフは渡辺哲を津川、板東、中村と同列に扱っていると言えるのです!
どうせなら、徳川秀忠役の中村梅雀さんを繰上げ出演させて、穴埋めさせれば良かったのに。それか、新キャラ(天海とか、今更だけど伊達政宗)を登場させて、大物ゲストを放り込むとか。何か手段が無かったのかな~。

おっと、あまりにもマニアックな語りをしてしまったので、話を本編に。って、浦戸一揆も歴史トピックスとしてはマニアックな部類に入るんですよね。
琉河は、浦戸一揆については
「往生際の悪い長宗我部(ちょうそかべって一発変換できないからややこしい)の遺臣団が旧城に立て籠もっったものの城内で裏切りが起きて勝手に自滅した」
というトンデモ知識しか持っていませんでしたが、全く持ってその通りの展開になりました。
まさかその犠牲者に林邦史郎さんをキャスティングするとは思ってもみませんでしたが、見事な殺陣捌きを拝見する事が出来て、何よりでした。

と、ここで琉河の長宗我部氏についての私見を。
元領主、長宗我部盛親の先代、元親(関ヶ原の前年に死没)は文武両道に優れた優秀な大名でしたが、豊臣秀吉と一緒で家督問題で失敗した大名でした。現に元親は重臣・吉良某を切腹させ「七人みさき」の怪談を残すほど、家督問題で一族をグダグダにさせた人物。
その家督問題が起こった発端は元親の長男で跡継ぎでもあった信親が島津征伐で戦死してしまったこと。誰を跡継ぎにさせるかがこの長宗我部家の明暗を分けることになりましたが、結果的に元親の偏愛を受けて跡を継いだ盛親がなし崩し的に西軍に付いて「お家」を没落させたことを考えると豊臣家、ちょっと遡ると長篠で大敗した武田家と通じるものがありますね。
今回、取り扱われた浦戸一揆はそのようなドロドロ状態の中で跡を継いだ盛親への盲目的な心酔と元親の過去の栄光が忘れられない長宗我部家の狂気染みた執念がなせた業といえるわけで、要するに一豊様が貧乏くじを引いてしまったと思うのですよね。この直後に完成された格差身分「上士」「下士(≒郷士)」が出来上がるのも仕方なし。長宗我部遺臣団に力を与えてしまったら、またいつ反乱を起こすか分からないからね。それほど、長宗我部の不気味な集団は一豊様にとっては驚異的な存在だったのでしょう。

映画「死国」ではないのですが、この時期の四国(特に土佐)は何か不気味な気がする。元親の晩年の愚行もそれまでの人生を考えると「?」ですし、何と言っても盛親は元親の四男なんですよね~(という数字に縁がある)。七人ミサキ伝説といい、浦戸一揆の自滅といい、次週に取り扱われるであろう相撲大会での大事件といい、何か背筋がゾクッとする様な出来事が多いのですよね。
高知出身者の方には不快な表現が含まれていると思いますが、ご了承下さい。幕末~明治期に英雄を何人も輩出した事実は何事にも代えがたい奇跡です。ただ、戦国末期における土佐の気風が不気味だと申し上げているだけです。他意はありません

その他のエピソードの特記事項として、康豊が狙撃されていましたがストーリーの大局には影響無し。
問題は大坂城で「大奥」みたいな展開が繰り広げられていたこと。
高台院からしてみれば、跡を継いだ秀頼はあかの他人なので、秀吉薨去後の豊臣家には興味なさそうです。むしろ、淀殿の方が豊臣家存続に執着し始めた模様。これも先週の三成効果のなせる業か。
「時の流れに逆らってはなりませぬ」
という他人事の様に語る高台院が少し怖くなりました。淀殿に牛耳られてしまったとはいえ、そんな簡単に夫、秀吉が築き上げた天下を家康にくれてやってもいいと考えられるものなのでしょうか。いや~、本当に人間って不可思議なものですね~。

次週、六平太がまさかの・・・。
彼こそ、本当の「義」の武士と言えるのではないのでしょうか。
三成みたいに奇麗事の正論ばかりを述べる事が決して「義」ではない。
彼の勇姿を目に焼き付けたいと思います。
と、ここで小りんが機関銃を持って(まだまだこのネタで引っ張りますよ~。あっ、ウインドウを閉じないで下さい
そして、地味に存在していたクローン文乃の運命は?(謎)

ラスト3回(と言う事は今日がラスト四回。四国にちなんで、このタイミングで浦戸一揆か?)、エピローグに向けて物語が動き始めます。

【お願い】
今回、林邦史郎さんと渡辺哲さんが演じた役名が実在の人物と異なるのですが、これって何か理由があるのでしょうか?もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えて頂けますでしょうか。お願いします


16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (おりょう)
2006-11-19 22:24:29
ホントに一豊には手に余る 貧乏くじを引かされた感じですね。
私も高台院の心境には??です。一応 ”もう戦を起こさない為”と言っていますが どうかな? 淀秀頼憎しの気持がのほうが 勝っているんじゃ無いかな?とも思ったり。 恐いですねー。

クレジットVIP席のお話、私は全然気にしてない(・・・というか 歌の時は動き回って見ていない事も多々)ですが、いろいろな裏事情があるんでしょうねー。役者さん達も気にしているのかな? おもしろいですね。
返信する
浦戸タワー ~一領具足と一豊、時々、康豊~ (琉河岬)
2006-11-19 22:35:48
おりょうさん、こんばんは!

一豊のゴリ押し的なやり方は彼の愚直ゆえの行為かと思っていますので、家康に『貧乏くじ』を引かされたな、という思いがあります。豊臣恩顧の大名のうち、世渡りの下手な大名には無理難題な土地を押し付けられていることが多いようです。
一領具足への懐柔策は遺臣団が頑固な姿勢をとっている以上、並の大名では武力制圧以外に道は無かったと思います。黒田官兵衛や竹中半兵衛みたいな優秀な軍師が山内家中に入れば、話は違っていたかもしれませんが・・。
でも、やっぱり必然的に起きた出来事を後世の私たちが感想を述べ合うことって楽しいですね!
返信する
こんばんは♪ (ミチ)
2006-11-19 22:54:18
いつも殺陣を指導していらっしゃる林邦四郎さんが出演で驚きました。
表舞台に立てて嬉しかったのではないかしら。
六平太ですが、いよいよ表立って千代を(山内家を)守る体勢に出ましたね。
なんとなく悲劇の予感が・・・。
返信する
六平太、表へ (琉河岬)
2006-11-19 23:28:31
ミチさん、こんばんは!

六平太が山内家に仕官した時は、すでに覚悟を決めた様な表情をしていましたね。さらに土佐へ向かう船中ではさらに表情が険しくなっていました。
己の役割を理解した上での表情だと思いました。
次週は、久々に目頭が熱くなりそうです。
返信する
こんばんわ (くう)
2006-11-20 01:16:43
詳しい解説、お勉強になります。
この辺の歴史には全く疎くて。。。
(女性史が絡んでこないと、歴史が楽しくない私^^;)
六平太の士官が嬉しかったのと反面、きっとすぐに
死んじゃうんだろうな~と思うと切なく。。。
来週は泣くんでしょうね。
セーラー服と機関銃なみに。
返信する
こんにちは! (さくらこ)
2006-11-20 15:59:31
一豊が言うように、あんなに綺麗な国で、悲しい出来事があったんですね。
この場合、正確には侵略でもなんでもないんでしょうが、そんなイメージがありますね。
先住民を邪魔者にして虐殺、と言う事件は色々あるようですが、あの一豊にもこんな歴史があったのか、と驚き。
ヘタレ、と言って笑っていた頃が懐かしいようです。
返信する
土佐義士伝~六平太~ (琉河岬)
2006-11-20 22:27:27
くうさん、こんばんは!

>詳しい解説、お勉強になります。
ありがとうございます。大変、嬉しいです
これからも頑張りますので、よろしくお願いします。
私の解説には「偏り」がありますので、公平な視点で語ることが出来るようになりたいです。

六平太については、多くを語らぬ義士としてその最期を見届けるつもりです。(正直、こういうキャラは死んで欲しくないです。実は生きていた!という無理な天海でも私は満足です)
返信する
上士、下士 (琉河岬)
2006-11-20 22:35:23
さくらこさん、こんばんは!

土佐に入国してからの一豊は『黒歴史』と言っても過言ではないような気がします。
土佐にいた一領具足は言っても分からぬ者達の集まりです。一豊の苦悩はいかばかりでしょうか。昔みたいに逃げずに、真正面から彼らと対峙しようとしている分ぐらいは評価しても良いと思います。
返信する
こんばんは~^^ (のの雪)
2006-11-20 23:02:49
いつもありがとうございます^^
小りんが機関銃を持って登場してくれるといいですね*^^*
物語はいったいどうんなるんだぁ。。^^;
六平太やはり死ぬのでしょうか。。
返信する
Unknown (tomohiro)
2006-11-21 21:24:31
後の世に活躍する、
杉田玄白、間宮林蔵、
あるい新選組のメンバーの一部は
徳川に召し抱えられた、後北条/武田の旧臣だと
聞きます。
こういう昔いろいろな土地を統治していた
大名の旧臣をうまく使う徳川家康って
いい意味でも悪い意味でも存在が大きな人間かもしれぬと今更思っております。
一豊様は割合小市民だったので、弾圧せざるを
得なかったのかなぁと思っております。
それが幕末になって、坂本龍馬や岩崎弥太郎を輩出した土佐と、新選組を排出した多摩の差なのかもしれません。
因みに本宮ひろしの漫画「猛き黄金の国」を
「功名が辻」の後日談として読むと面白いですね。
あと、一豊様が薩摩にきたらどうなったでしょうか。
想像しただけでも怖いです。
これ以上発言すると鹿児島県在住・出身者や
私の祖母を敵に回しそうなので発言は控えますが。
返信する

コメントを投稿