必然的なヒストリー

クソムシが歴史系映像の感想を書いたり、妄想キャスティングしています。このブログは純度の高い自己満足で構築されています。

高次元時空ドラマ「鳥羽法皇だけ見えない」

2012-04-07 18:10:47 | 歴史ネオドラマ「平清盛」

さて、裏番組の影響か11%台にまで視聴率が落ちた平清盛。いやいや、内容に比べると十分に高い視聴率ですよ。スタッフは歓喜していいレベルだと思います。
お話の内容は1147年に起きた祇園闘乱事件をモデルにしたオリジナルストーリーだったわけですが、今回はその顛末というかストーリーのオチについて考えてみたいと思います。

「矢が宝殿に当たった事件」については頼長著の「台記」によると坊主と清盛一行の小競り合いの最中に名もなき郎党が放ったとありますが、物語では清盛が当てたことになっていました。それはどうでもいいです。オリジナルストーリーを貫いているのですから、勝手にやればいいです。
問題は、鳥羽法皇の裁決です。
鳥羽法皇としては、この事件を利用して延暦寺をやりこめたかっただけだと思います。その方法が「清盛を罰金刑に留める」であり、その結果が延暦寺の強訴を退けた実績を残すことになるのです。今回利用した武士の力は、後々、朝廷を脅かす存在となるのですが、それはもう少し先のお話。
琉河としては、武力を取るか、寺院の権威を取るか、それに悩む鳥羽法皇の姿を見たかったのですが…。

鳥羽法皇がやったことは常人では理解できない一人芝居
しかも本気だ

まずは「上のたつものは自分の目で真実を見出さなければならない」という国民としては誠にありがたい思し召しのもと、神の子孫が自ら検非違使庁に向かっていく!
凄いです。歴代天皇では絶対出来ない、一歩間違えれば院の近臣が処罰されかねないことを次から次へとこの人物はやってのけます。
それもダメですが、この後がもっといけなかった!
清盛を目の前にして鳥羽法皇の思考回路が破滅します。
こんな感じで正しいか?文章に起こすと随分間の抜けたことになりますが…。

「清盛君はわざと矢を放ったのかね?朕は真実を問いただすぞ!問いただすぞ!」→
「ィヤッホー!じゃあ朕を討て!でも、真似だけでいいからね。実際に矢を放つと神の子孫とはいえ死んじゃうからね。」→
「当たった、当たった!朕しか見えない矢が当たりおったわ!おお、見よ!ワガミニスマウモノノケノチガ…云々」→
「清盛よ!君自体が、神輿に放たれた矢なんだ!荒廃する平安の御代に放たれた時代をただす矢なのだ。」
‐完‐

見たか!どんどん移りゆく話題の核心!
それでも我々は知っている!
法皇は一生懸命生きている!
上手いこと言ったつもりの鳥羽法皇カッコいい!
さすがトレンディを極めた法皇!
君の瞳を逮捕する!

律令なんか関係ねえ!理屈じゃない!感じるんだ!

…。
…いやダメだろ。
真面目なことを言ってしまうようだけど、上の立つ者がこの発言。誰がコイツについていくんだ。
ああ、謀反の芽がチラホラ…。
例えば「こうこう、こう言う理由でAという結論に至った」という思考ではなく「AだからAなんだ」という身も蓋もない思考によりたどり着いた今回のオチ。
法皇はこの後、藤原頼長に「ワガミニスマウモノノケノチガ…云々」とか「清盛は矢だ!」と捲し立てたのか。
聞いてて呆れるしかない藤原摂関家の方々。同情します。
まあ、それはともかく。大事なのは次のこと。

今回の言動により法皇様は見事「近所にいたら迷惑な“あーゆー人”」になられました。
誠におめでとうございます!
パチパチパチパチ
今後はいじられキャラとして精一杯頑張ってください!

NHKは公式HPに「今回の鳥羽法皇」とか「鳥羽法皇語録」といった特設ページを作るべき。
もっと言えば、ドラマが終わった後にテリー伊藤の解説による「本日の鳥羽法皇」とか流すべき。
今回だって祇園闘乱事件なんぞ、どうでもいい。番宣は、異様に張り切ってる坊主姿の三上さんだけ流していれば良かったんだ。
退場が刻々と迫っている鳥羽法皇。
いや、鳥羽法皇というより三上博史そのものと言った方が宜しいか!
三上博史こそが、乱れに乱れた大河ドラマを射抜いた矢そのものなのだ!

ちなみに今回、國村さんが語っていた藤原師道は38歳の若さで急死。当時、若く力が無かった息子の摂政・忠実は政治の実権を師道と協力せざるを得なかった白河法皇に事実上奪われ、院政は全盛期を迎えた。こうして藤原摂関家は没落していった

このドラマは時々、こういった琉河の琴線に触れることを言い放ってくれるのですが、如何せん、そのままスルーしてしまうのですよね


18 コメント

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誰のための大河ドラマか? (えびすこ)
2012-04-07 22:36:17
産経新聞によると大河ドラマ視聴率(単回)の史上最低記録は10.1%で、もし1ケタに転落すると史上最低記録更新になります。
「五輪期間中にありそうかも」と予想した人がいますが、上半期のうちにも記録しそうになるとは誰が思った。実際に1ケタを記録したら全国紙の1面になる可能性もあります。スポーツ新聞は言うに及ばず。
あと高視聴率連発・ランキング1位常連の「篤姫」から、たった4年でこのありさまになるとは思いもよらなかったです。実は篤姫の最低視聴率は平清盛の最高視聴率より高いんです。

1日の放送の最後の場面は、「どこかで見たような感じがする」と感じた視聴者も多いのでは?この番組はデジャブの場面が多すぎるような感じがします。
忘れていると思いますがまもなく主人公の人生の折り返し点に届きます。
後半生を約9カ月かけるのは先が長い転換ですね。内容が内容だけに今後の展開に興味がわきません。

最近タイトルの事をよく考えます。
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どつぼ (tomohiro)
2012-04-09 05:45:35
後番にも辛酸をなめさせられそうだな
と思って居ます。
フィルムクルーは色々考えている
かもしれないけれども、やることなすこと
バカにしか見えないように思って居ます。
或サイトで昨今の大河を廃止や変容を
訴えたら、
頭ごなしに其れは出来ないとか
それはアメリカや韓国だから出来た企画だ
という風に今の大河を現状維持を擁護します。
そう言う擁護する人間を囲って
ひたすら守ろうとする大河はどうなるのか
今度の朝ドラは内容こそベタですが
舞台にしたのが蒲田・大田区というのが
斬新です。
これまで深川・浅草・上野あたりが
こういう人情ドラマの舞台になる
事が多かったのですが、
比較的舞台になることが少なく
それでいて、今挙げたテリトリーとは
考えが違うところを舞台にしたのは
斬新だと思います。
廃止を決めた中学生日記のフィルムクルー
同様、現代を見据えた柔軟さを
そこに見いだしますが、大河はこのまま
なのかもしれません。
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「平清盛」にも新たな起爆剤が必要か? (ジェリー)
2012-04-12 20:09:30
来年の大河ドラマ「八重の桜」で新島八重の兄である山本覚馬役に、西島秀俊さんが決まったようですね。音楽も坂本龍一さんに決まり、来年の大河もいよいよ始動してきました。

ところで「清盛」の方は、視聴率的にも苦戦が続き内容にも今一つ惹き付けられるものがない現状では大河史上最低視聴率になるかもしれませんね。ここで何か起爆剤になることをしないとまずいと思うんですよ。
今後の重要人物に実力だけではなく、世間的な知名度の高い役者さんを配役したらまた変わりますかね?
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誰が出ても浮上できそうにない (えびすこ)
2012-04-13 16:19:57
>ジェリーさん
「起爆剤」で最近週刊誌の記事に出てましたが、なんと松ケン夫人・小雪さんの出演構想があるんです。
「リアル夫婦共演」となると、反町・松島夫妻以来10年ぶりとなる(たぶん)ですが、それが起爆剤になり得るとは思えないです。

話変わって来年の方。主人公の兄役が綾瀬さんより1回り上の西島さんになったので、新島襄役は綾瀬さんと年齢の近い俳優になりそうかな。
「好青年でハイカラ紳士」の人物像になれば幸い。

余談ですが、13年度上半期の朝ドラは官藤官九郎さんがシナリオを描くんですね。こちらの主人公は男性になりそうな感じがしますね。
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アッー! (ポケット保持)
2012-04-13 23:26:49
遅れちゃいましたが(汗)さて先日の放送の頼長と家盛のシーンもなかなか・・・
まぁ衆道は平安のころからあったということで・・・

ところで弁慶役で青木崇高さんがキャストされましたが、弁慶は源義経の家来でいるときが一番輝いてる、というイメージがあります。
どーするんでしょうか、でないとせっかくの青木さん起用が無になります。
ところで義経は誰がなるんでしょうね、牛若丸がそのまんま使われたら面白いんですけど(笑)
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使い古されたネタ (琉河岬)
2012-04-15 21:56:29
えびすこさん、こんばんは!

>1日の放送の最後の場面は、「どこかで見たような感じがする」と感じた視聴者も多いのでは?
このドラマは結構、少年漫画的な使い古されたネタが多いように思えます。故に史実に沿ったドラマが見たい人もアレンジされたドラマが見たい人、両方の視聴者を逃しているように思えます。
視聴率が悪くなるのも、必然と言えるのかもしれませんね。
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温故知新を知らないのでは… (琉河岬)
2012-04-15 22:00:15
tomohiroさん、こんばんは!

今の大河ドラマに求められるのは過去の成功作を分析し、成功を収めた要因を把握し、今のニーズに沿った形を作ることだと思います。根幹にある史実性を大事にしていかに面白い作品を作るかが、受信料を我々から分捕っていくNHKの使命だと思います。
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西島秀俊、坂本龍一 (琉河岬)
2012-04-15 22:05:11
ジェリーさん、こんばんは!

西島さんも坂本さんも、絶妙な人選だと思いました。坂本龍一さんはもしかして何かの役で出演されるかもしれませんね!

>今後の重要人物に実力だけではなく、世間的な知名度の高い役者さんを配役したらまた変わりますかね?
…もう手遅れかと思います。
ここまで評判が落ち込んだら、旬な役者さんをキャスティングしても(藤木さん・松田翔太さん・深田さん)との兼ね合いでアンバランスになるだけで、却って悪目立ちしそうです。
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何と発音するのでしょうか?(笑) (琉河岬)
2012-04-15 22:11:27
ポケット保持さん、こんばんは!

>アッー!
その擬音はよく見かけるのですが、実際にはどうやって発音するのか、すごく気になります(笑)。息を止めているのでしょうか。
頼長は「そういう人」なので今更感はありますが、あまりにも自然にそのシーンが出てきたので家族団らんで見ている方々は気まずい思いをされたのでは…。

>弁慶は源義経の家来でいるときが一番輝いてる、というイメージがあります。
青木さんは終盤に再登場する可能性もありますよね。しかし、「五条大橋」のエピソードを盛り込んだとしたら、どうしても清盛より目立ってしまいますよね。それもある意味面白いと思います。
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批判される理由 (えびすこ)
2012-04-16 09:58:38
最近10年ほどの大河ドラマで、番組の内容・脚色に疑問や批判が多いのはなぜか考えてみました。
「主人公が(中央や地方の)行政に関与する立場の人物だからではないか?」と言う一応の結論が出ました。今年は特に政治に大きく関与しているので、変な意味での批判もありますね。ただし、登場人物の子孫が公の場で批判した話はあまり聞かないです。
来年は政治に直接関与しない人なので、おおっぴらな批判は出ないと思います。
「武蔵」や「義経」の様に直接関与しない人が主人公でも、別方面で批判や疑問の声があります。

朝ドラにおいて実在人物(がモデル)が主人公の作品があっても、本人や家族から内容に対して苦言が出た話は聞かないです。朝ドラと大河ドラマはコンセプトが違うので、よっぽど問題のある場面が出ない限り外部から疑問視されないでしょう。
話変わりますが、3月で終わった「中学生日記」は今世紀になってから、群像劇の方式を改めて生徒個人の日常の事を取り上げましたね。生徒の日常の事には教師があれこれ言わない。このスタイルの方がいいと思ったんですが、終わって残念です。

ただ、来年の「八重の桜」は1回目のこの記事のタイトルの意味をはき違えると騒動になりそうな予感。
来年は「震災復興支援事業」と言うテーマがありますが、大河ドラマとは「主人公の末裔のため」か?いや、直系子孫がいない人の場合は該当しない。
「主人公の出身地の自治体のため」か?いや、何十年も「大河恩恵」がある訳ではない。
ならば、主役のキャリアアップのためか?あるいは時代劇担当スタッフの生計のため?
これは難しい問題ですね。
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