★ 世の中どうやら旧型バイクブームらしい。
こんな特集記事があって、
その中の大きな部分にカワサキの車が占めていた。
各メーカーの車も当然あるのだが、
何故か、カワサキが人気なのである。
先ずその筆頭はカワサキが1972年に発売して世界的な大ヒットを記録した、
903cc・4気筒エンジンを搭載するスポーツモデル「900スーパー4」で、
その型式名からファンの間で通称「Z1」と呼ばれるこの機種は、
フルレストアされ状態がいい車体なら1000万円を優に超える値段がつく。
また、なかには「プライスレス」と価格がつかない貴重な車体さえあるという。
と言う記事で始まっている。
この当時は、国内市場には750ccまでしか販売できなくて、
国内市場用に750Z2 が開発・販売されたのである。
確か、中古車ではZ1よりは、市販された台数の少ない750Z2のほうが
一般的には値が高かったような気がする。
私はたまたま国内市場には3回出向しているのだが、
販売機種には恵まれて、この750Z2は1回目の出向の最後の頃なのである。
この車が出たお陰で、当時推進中だった特約店制度がスムースに進行したと言っていい。
★ 次に出てたのが、400FXの限定仕様車で
この400FXは1979年から発売されたのだが、
当時のカワサキオートバイ販売はスタート以来の累積赤字が9億円もあったのだが、
この400FXの大ヒットのお陰で、
発売初年度の1979年1年で累損赤字を消去することが出来たのである。
この年が私の2回目のカワ販出向の年で、
川重ではまだ課長職だったのだが、
カワサキオートバイ販売の常務取締役として、全軍の旗を振る立場にあったのである。
記事に出てたのは、1982年度に出た限定仕様車だから、
台数も少ないので、こんな高値がつくのだろう。
348万円とはビックリである。
★ 3機種目に出てたのが「ゼファー400」なのだが、
この車は国内市場では台数的には一番売れた車で、
1990年代のことだが、私は3回目の国内出向で、
カワ販の専務取締役として『7万台の販売に挑戦』していた時期なのである。
この車は発売当時は全く期待されてなくて、
生産台数が極小だったものだから、
直ぐバックオーダーが発生したのだが、生産を増やすことなく増産せずに放置して置いたら、
3年間もバックオーダーが続いて
『7万台の販売目標達成』に大いに貢献したのである。
なぜ、そんなことをしたのかと言うと、
2回目の『カワ販』の出向時の「FX400の時」にも、
3か月以上のバックオーダーが発生したのだが、
生産増強した途端に『バックオーダーは消滅』してしまった経験があったからである。
推測するに、車が足りなくなると、ユーザーは何軒もの店を訪れるので、
注文台数が実際よりは多く出るのだと思う。
そんな経験があったものだから、
ゼファーの時はバックオーダーを放置して置いたことが、結果的には大成功だったのである。
そんなことでこのゼファーは世の中にある台数が多いので、
中古車価格もそんなに上がらないのだと思うが、
この特集に出ていたカワサキの3機種は、
私の3回の国内出向と一致しているのである。
★それからもう何十年も経っているのに、
未だに当時の車のことが雑誌の記事になるのは、
当時を思い出すことが出来て気分がいいのだが、
一言でいうと『私はツイていた』と言えるのである。