11月に入ってからは今までの暑さは無くなり、ティーシャツ1枚で歩いて汗をかかない気持ちの良い天気になった。
亭主は坂道を歩くとすぐ足が痛くなると言うので、山側はなるべく避けて海岸線の平野を選ぶ。
この日はファーロへ行く道路と平行に走っている線路近くの農道を散策に行くことにした。
農家の壁に這っているブーゲンビリヤは今が盛り、光を浴びている色彩はいつも心奪われる。
南ポルトガルの海岸線一帯はアルガーヴと呼ぶ。単線の鉄道がスペインの国境ヴィラ・リアル・デ・サン・アントニオからポルトガルの最南端のサグレスまで伸びている。
11月となれば英国や日本の農家は野菜の育成はほとんど望めないが、こんなに生き生きと育っている野菜畑を見るとうらやましくなる。
マメ科の花を咲かせるこの灌木の自衛は恐ろしいとげ。土埃の激しい農道わきにズラーと生えていて、触りたくない枝ぶり。
ポルトガルの昔からある水道システムがこれ、こんなに大きくしっかりと建っているのは今も稼働しているのだろう。地下水をくみ上げてオレンジ畑や、野菜畑へ灌水している。
遠くから見たらいったい何の花だろうと思った地面を這うブーゲンビリヤの花。ここは立ち入り禁止の私有地でこの奥に何があるのか判らない不思議な場所だった。
素敵な白壁の新しいヴィラが立ち並ぶペドラス・デル・レイの新興住宅地。ほとんどが別荘らしく、人影は見えない。
2軒の屋敷の白壁を覆っているブーゲンビリヤの派手な色。
サンタ・ルチアはタヴィラの隣町で一本の海岸通りにレストランが立ち並ぶ小さな漁村だった。
この町へ来るまで、サンタ・ルチアという名前が聖女ルチアだということを知らなかった。昔から日本ではサンタール・チーアと歌われていたから、子供心に意味も知らないでそんなものだと思っていたことが多い。サンタ(Santa )は聖女、男性はサン(聖)と呼ぶ。サン・セバスチャンとか、サン・アントニオとかキリスト教で祭り上げられた聖人の名前が地名になっている。
街路樹がこの素晴らしい色彩の花を咲かせている。黄緑色の葉にこの藤色の花と青空がなんともいえぬコントラストで、並んでいる街路樹一本づつ写真を撮りながら歩いていた。