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“グエルチーノ展:よみがえるバロックの画家” 国立西洋美術館(2015.3.11)

2015-03-11 18:36:58 | Weblog
グエルチーノ(1591-1666年)はイタリア・バロック美術を代表する画家。ボローニャに近いチェントの出身。彼は師を持たず、絵を描く。最初の彼にとっての模範は、ルドヴィコ・カラッチだった。

 「聖母子と雀」(1615-16年頃):グエルチーノの初期の作品。柔和な聖母の指先にとまる雀は、将来のキリストの受難を示す。明暗の対比は、カラバッジョ派からの影響。


 「キリストから鍵を受け取る聖ペテロ」(1618年):金の鍵は天上の権威つまり教皇位を示す。銀の鍵は地上の権威を示す。ティツィアーノ、ヴェロネーゼなどのヴェネツィア派の影響をうけ、色彩が鮮やかになる。


 「聖イレネに介抱される聖セバスティニアヌス」(1619年):聖セバスティニアヌスは何本もの矢で射られる刑を受ける。矢の傷がペストの跡に似るので、聖イレネはペスト流行期に崇拝される。グエルチーノのグラン・マッキア(光の偉大な斑点)の典型例。


 「聖母被昇天」(1622年頃):本来は教会の天井画。聖母マリアは死後、神によって天に引き上げられる。


 「聖母のもとに現れる復活したキリスト」(1628-30年):バロックから、落ち着いた古典主義様式への過渡期の作品。衣(紫色、黄色、青色)が素晴らしい。