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やられました。
まいった。
宮部みゆきさん、見事です。
2012年、途中で投げ出したままだった「ソロモンの偽証」
映画
「ソロモンの偽証前篇」を見終えたあと、
原作本、
最後まで読まねば!!読み終えねば!と、決心。
宮部みゆきさんの小説には、最近、
優等生の子どもたちが、登場します。
この「ソロモンの偽証」もしかり。
ページを開く手が止まるほど そう、
子どもたちの分別のありすぎる思考回路が、そらおそろしかった。
そこで
勝手に設定をかえました。
この登場人物たちは、中学生ではない。ということに、
しておこう。
≪第三部法廷 あらすじ≫
この裁判は仕組まれていた!? 最後の証人の登場に呆然となる法廷。驚天動地の完結篇!
その証人はおずおずと証言台に立った。瞬間、真夏の法廷は沸騰し、やがて深い沈黙が支配していった。事件を覆う封印が次々と解かれてゆく。告発状の主も、クリスマスの雪道を駆け抜けた謎の少年も、死を賭けたゲームの囚われ人だったのだ。見えざる手がこの裁判を操っていたのだとすれば……。驚愕と感動の評決が、今下る!
第三部法廷は、
中学生が、ただ単に謎解きをする探偵ものではない、あくまでも状況証拠と証人喚問をしながら、検事側、弁護側が出方をうかがうというスリリングな法廷ものです。
中学生というのは難しい時期です。
思春期、反抗期、そして大人の世界に翻弄される小舟。
その嵐のような思惑におしつぶされて
結局、
柏木くんは、死を選んでしまう。
嵐を背負った柏木くんと、
嵐から必死に背を向けようとした神原くん、
こじれた感情に支配された二人の物語
うなるような、結末でした。
そして、
一番取り扱いの難しい三宅樹里の心を
こういうかたちで救済したところも、
うなって、しまいました。
学校で不祥事があった場合、
誰かが責任をとって謝罪をし、とりあえず、くさい物には蓋をして、
世の中が忘れるのを待つ。
けど、それで当事者たちは「忘れることができるのか」
こころに貯まる偽りの証言。
それは、
その年頃の子供たちが、一番濃いのかもしれません。
その諸々を風化させることに待った
をかけたのが、この法廷です。
学校というのは、社会の縮図でもあります。
この物語の主人公は、中学生。
はい。
納得しました。
一気に読み終えましたよ。722ページ。
さて
次は、映画「ソロモンの偽証後篇」です。
あのこたちは、どう描かれていくのか。
エピグラムです。
今年といわず、幾度目の夏が来ようと、
その子どもたちが青春を謳歌することはない。
今年の夏はもう、こっそり蓄えていた強さや
勇気を見いだす必要はない。
大人の世界の複雑さに立ち向かって、
より悲しくより賢くなり、生涯の絆で結ばれながら
離れ離れになるのだから。
--タナ・フレンチ「悪意の森」
福岡は3月22日発表。
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