■国内女子ゴルフ「伊藤園レディース」最終日(15日、千葉・グレートアイランドC=6639ヤード、パー72、賞金総額1億円=優勝1800万円)
「日本で今最も愛されている韓国人」と評した国内メディアもあったほどだ。女子ツアー史上初の獲得賞金2億円を突破し、賞金女王に輝いたイ・ボミ(27=韓国)。日本選手より多いギャラリーを引き連れて回った最終日が、人気の高さを証明していた。
3バーディー、ノーボギーの69で回り、通算14アンダーで今季6勝目、ツアー通算14勝目となる完全優勝だった。
イ・ボミへの大声援は、深刻な日韓摩擦を一瞬忘れさせるようだった。
日本ツアー参戦5年目。韓国で“スマイル・キャンディ”のニックネームがある笑顔と流ちょうな日本語。最近は国内ゴルフ雑誌の表紙を毎週のように飾り、売り上げに貢献している。関係者や報道陣にも丁寧に対応し、プレーだけでなく人柄が支持されている。
テレビのバラエティー番組などにも出演し、日本で行われるファンの集いには1000人以上が集まる。韓国で開かれるイベントにも日本からファンが押しかけるというから驚きだ。
韓国ツアーで2010年に賞金女王となり、11年から日本ツアーへ。昨年9月に56歳で亡くなった父、ソクジュさんとの最後の約束が日本ツアーでの賞金女王だった。「お父さんの夢がかなったよ」と優勝後に語ると集まったギャラリーの涙を誘った。
「トレーナーさんも(キャディーの)清水さんも今年で3年目だから私のことを分かってくれてる。(一緒に暮らしている)お母さんも、契約メーカーも助けてくれた。1人じゃ無理だったと思う」と感謝のあいさつをした。
今季賞金額は2億781万7057円で、残り2戦。2001年に男子ツアーで伊沢利光が記録した年間最高賞金2億1793万4583円も射程圏内となってきた。海外メジャー挑戦にも意欲を見せている。
イ・ボミの活躍に、惜しみない声援と拍手を送った日本のギャラリーも見事だった。「ここまで愛されている外国人選手は珍しい」(女子ツアー関係者)という。