川勝平太知事が東静岡駅北口の静岡市有地活用について「サッカー競技場を造った方がいい」と発言したことを受け、市議会最大会派の自民党市議団が反発している。
川勝知事がたびたび市の対応を批判することについても「越権行為だ」と不快感を示し、9日、鈴木和彦会長ら執行部が田辺信宏市長に発言力を強めるよう申し入れた。
鈴木会長は静岡市が県草薙総合運動場体育館の建て替えを受け多目的アリーナを誘致した経緯を振り返り、「新設の体育館では大規模な国際大会を誘致できない。サッカー競技場が必要なら県が県有地に造ればいい」と述べた。
三保松原の対応などで川勝知事が「(静岡市は)政令指定都市を返上してもらいたい」と発言したことにも触れ「権限の逸脱。市民は憤っている」とした。
田辺市長は懇談終了後、記者団に「市と市議会が丁寧に手続きを踏んで進めてきた政策のプロセスを大事にする」とし、川勝知事と面会する意向を示した。一方、市議団の要望事項となっている東静岡への多目的アリーナ整備については「知事の発言一つ一つに反応するのではなく、市政の主体的な判断で決める」と述べるにとどめた。
川勝平太知事は8日の定例記者会見で、静岡市葵区の駿府城公園への駿府城天守閣再建について「決意をすべき時に来ている」との考えを明らかにした。再建した駿府城を災害時に食料などを備蓄する避難の場として活用する構想も示し、「駿府に住む人にとって、頼りがいのあるランドマークにするにはどうすべきか考える時」と持論を展開した。
駿府城を再建するかどうかは静岡市の課題だが、同日、知事を訪ねた市民グループの関係者から「再建に向けた世論の高まりを後押ししてほしい」と要請を受けた。知事は「本来、これは市の仕事だが、県に協力してほしいと言われたので、渡りに船」と語り、自らの関与を強める姿勢を鮮明にした。
駿府城天守閣をめぐっては、指図(設計図)が発見されず、再建が困難とされてきた。知事は「指図がないから建築できないという言い訳はそろそろやめにしたらどうか。(絵図などを通じて)今、分かっている範囲で造ればいいし、ある意味指図がないというのは自由度があるということ」と指摘した。
三保松原の松枯れ対策や東静岡駅周辺整備など静岡市の取り組み姿勢に厳しい批判を浴びせ続けている知事。駿府城再建に関する自らの考えについては「田辺(信宏)市長に既に申し上げている」と述べた。