準決勝を壮絶な打ち合いの末に制し、決勝に進んだ米国。女子サッカー最高のストライカー、FWワンバック(32)は前面に闘志をみなぎらせていた。
「私たちこそ金メダルにふさわしいと自負している。決勝は私たちの力を証明する場。W杯では負けたが、今回こそいい成績を挙げたい。金メダルを競う素晴らしい試合になる」
ワンバックの勝利への執念は尋常ではない。「彼女は勝つためなら何でもする」と評したのは、準決勝で敗れたカナダ代表のハードマン監督だ。事実、カナダGKが時間をかせごうとボールを保持すると、わざわざ主審のそばまで走り「1、2、3…」と声高にカウントしてオーバータイムをアピール。最後は遅延行為で笛を吹かせるまで続けた。
今大会は全5試合連続の計5得点。得点ランキングでは、首位のシンクレア(カナダ)と1点差で、決勝では得点女王のタイトルもかかる。
だが、見据えているのはあくまで3連覇。「とにかくチームが勝って、頂点に立てれば、どんなゴールでも気にしない。金メダルを首にかけて、国旗が掲揚されるのを見るのは、何物にも替え難い。あの場面をもう一度味わいたい」と意気込む。対戦成績で圧倒していようが、世界ランク1位であろうが、昨年のW杯で敗れた日本を倒さないことにはおさまりがつかないのだ。
スンダーゲ監督も「米国は成功してきた。チームを信頼することが重要。自分たちを信じている」と静かに自信をみなぎらせた。米国にとっては、世界一であることの誇りを取り戻す戦いになる。