後ろ歩きの不思議おじさん

あっちこっちにポケットを一杯もった不思議なおじさんの特技は後ろ向き歩き。その右往左往振りは滑稽で、ちょっぴりもの悲しい。

怪芸人

2010年01月02日 | Weblog
朝日新聞社出版の新刊を2日間で読んだ
タイトルは「襲撃」
朝日新聞社が出す本にしては珍しい芸能関係

年末年始のテレビは恒例のお笑いもの全開
そのなかに「中田カフス・ボタン」の姿もあった
かつてはテレビ界から敬遠され
ほとんどお目にかかることはなかった漫才師

ところがこの年末年始に露出度を高めている
その背景まで見通せる人は多くは無い

あれっ! 中田カフスといえば
誰かに襲われたり コメ1の前田氏に脅迫されたり
週刊誌・夕刊紙で吉本を牛耳っている影の権力者と騒がれたり
何や分らんけど事件に巻き込まれてたんちゃうかいなぁ

ほとんどの人の感想はこのようなものだろう
この年末年始に関西の重鎮ともいうべき漫才コンビが
テレビ出演を重ねていることについては
吉本興業の強い意志が明らかに見て取れる

創業家を標榜して現経営陣を激しく罵倒する林マサ女史や
彼女を利用して同社乗っ取りを図ろうとする強面の方々に対して
近代化を図ろうとする同社は正面からメッセージを発している
その象徴がこの年末年始における中田カフス・ボタンだ

中田カフス氏を「怪芸人」と名付けたのは
林マサ氏が手記を寄せた週刊新潮である

本を読み進むうち
中田カフス氏が「怪」であるのは
興行する側のカネや権力の問題とは関係なく
まさに狂気を孕んだ芸人そのものであるが故であり
骨の髄まで漫才という芸に
命を尽くしていることによるものであることが分かってくる

ちょっとしたご縁があり
中田カフス氏について関心を持っていたが
漫才師・芸人としての生きざまを
真っ正直に歩む彼の姿を知り
安堵を感じた正月だった

寒風が吹き荒れているが
庭はもう春が来ている